【BMO Vol.8】渡辺雄也 マジック・プロツアー殿堂セレモニー ダイジェスト

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渡辺雄也 マジック・プロツアー殿堂セレモニー ダイジェスト

Text by 森安 元希

マジック・ザ・ギャザリングのプロシーンに燦然と輝く、殿堂入りの制度。
MTGに貢献したプロ・プレイヤーをプロ・プレイヤーたちが選んで輩出する、プロの中のプロを選ぶ制度。

2005年。制度開始年に最多得票を記録したJon Finkelを始め、過去40数人が選ばれてきた。
日本人も選ばれている。

2007年 藤田 剛史。2011年 中村 修平。2012年 津村 健志、大礒 正嗣。
2014年 三原 槙仁。2015年 八十岡 翔太。

そして2016年 渡辺 雄也。

"初プロツアー出場から10年"という被投票権の制度の為にこれまで受賞できず、
今年10年目にしてようやく「殿堂制度が渡辺に追いついた」とも言われている。

殿堂受賞とこれまでについての本人からのコメントは、
公式サイトmtg-jpにて前後編のインタビューが掲載されているので是非一読して欲しい。

マジック・プロツアー殿堂 渡辺雄也の軌跡 前編
http://mtg-jp.com/reading/special/0017720/

マジック・プロツアー殿堂 渡辺雄也の軌跡 後編
http://mtg-jp.com/reading/special/0017721/

そして、2016年10月22日。今日。
彼をスポンサードするCygamesは、BMOを舞台に彼の【殿堂就任セレモニー】を開催した。
その様子をダイジェストにして、会場にいなかった皆さまにもその一端をお伝えしたい。


BMOスタンダードの開会式途中。
中嶋智哉ヘッドジャッジが進行を務めるなか、一筋のレッドカーペットが会場に引かれた。
殿堂就任セレモニーが始まることを会場中央壇上にいる岩Showがコールする。

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そして会場入り口から現れる渡辺 雄也。
蝶ネクタイの正装姿は厳かながら、少し恥ずかしそうな表情も浮かべている。
「恥ずかしいけど、(こうした機会は)有り難い(笑)」

壇上につき岩Showと軽く挨拶をとりかわす。
殿堂受賞おめでとう―...会場のプレイヤーたちも、笑顔の拍手で包み込んでいた。

また、明日開催のBMOスタンダード優勝者とのエキシビジョン・マッチで使用するデッキリストの提出式も執り行われる。
将棋の"封じ手"同様、封筒に紙を入れて、当日、封が切られるというものだ。
「午前5時から考えていた」―...エキシビジョンマッチといえども賞金戦。
本気であると、明るくも熱く語る。
封筒は中嶋 智哉ヘッドジャッジへとしっかりと渡ったようだ。

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「みなさん、気になってません?」
"封じ手"提出後、岩Showが壇上の後ろのスクリーン・モニターを指さしてプレイヤー達の疑問を代弁する。

これまで特になにも映像を流してこなかったスクリーン・モニター。何の為にあるのか。
「これ、本当にサプライズと聞いていて。前日のリハーサルにも来るなと言われました」
渡辺 雄也も知らされていないムービーが、流れ始める。

それはプロたちのお祝いコメントであった。



Owen Turtenwaldのインタビュー。
渡辺 雄也と唯一同時に殿堂を受賞した、世界が認めるライバルだ。

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「この数年、共に戦い、共に生きてきた。彼のいない殿堂なんて、考えられないよ」
「立ち振る舞いも人への接し方も素晴らしい」

共に戦ってきた"殿堂同期"のコメントだ。



続いて、初代殿堂Jon Finkelのインタビューだ。
「殿堂へようこそ」その一言と共に始まり、「君は最高だし、殿堂にふさわしいよ」。

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偉大なる先人のコメントだ。




そしてMINT渋谷のスタッフの面々。
現在Team Cygamesに所属する渡辺だが、以前はMINTがスポンサーしていた時期がある。

Cygamesへの移籍の際も"船出"としてこれを歓迎していたMINTの面々だ。
「坂本龍馬のように、これからも世界へ羽搏いて欲しい。ずっと応援しています」

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暖かい古巣のコメントだ。



続いて、Team Cygamesの市川ユウキ、山本 賢太郎、覚前 輝也ら3人が登場する。

「はい、はい。というわけで、めでたいね」
市川ユウキのいつもの明るく軽い感じもまた、笑いを誘い、セレモニーを彩る。

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「めでたいね」山賢、「めっちゃハッピー」覚前らも親しみ深く、祝った。

そして今の仲間たち。四兄弟とも称される仲間のコメントだ。



そして―...

"超"・シークレットゲストが画面いっぱいに現れた。
この方のムービーだけ、ウェブ上で公開出来ないのが残念でならない。

"彼女"が画面いっぱいに現れたとき、会場中にどよめきが走り、興奮が生まれ、熱気が渦まいた。
なによりも壇上の渡辺の喜びが、会場にいる400人全員に伝わった。


―...皆さんは、"けいおん!"というアニメをご存じだろうか。
2009年2010年に放映され、絶大な支持を誇った作品だ。
そして、MTGプレイヤーたちは、この作品を観たことがない人でも、ある理由で知っていることも多い。

渡辺 雄也その人が、この作品の熱烈なファンなのだ。
厳密には、この作品に登場する"あるキャラ"の熱烈なファンなのだ。

そのキャラとは―...いま、スクリーン・モニターいっぱいに映されている中野 梓。
通称"あずにゃん"だ。

「渡辺 雄也さん、おめでとうございます。中野 梓です。殿堂って凄いことなんですよね―...」

あずにゃんが、"あずにゃんの声で"、その愛くるしい表情を浮かべながら渡辺にコメントを出したのだ。

「毎年わたしの誕生日、いつもツイッター?で祝ってくれていると聞いてます。ちょっと恥ずかしいですけど、嬉しいです」

https://twitter.com/search?q=from%3A%40nabe1218%20%E3%81%82%E3%81%9A%E3%81%AB%E3%82%83%E3%82%93&src=typd

あずにゃんの誕生日、11月11日。
渡辺があずにゃんへの愛を語る日として知られている日だ。
※ついでに、嬉しいことの感嘆詞が時々"あずにゃんペロペロ"になることも知れる。

「応援していきますから、一緒に頑張っていきましょうね」

あずにゃんのコメントが終わるやいなや―...

「がんばりまぁす!!!」

渡辺の、これまでのMTG大会で決して聞いたことのない、咆哮が会場を埋めた。

「―...泣いてるんですか、渡辺さん!?」

岩Showが放心状態の渡辺の肩をゆする。

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「―...もう、悔いはないです」
席にうなだれる渡辺の"喜び"が決してポーズでないことを、会場全員が既に察していた。


「でも開会宣言はしてもらわないと困るんで!」
岩Showに半ば無理やり起こされる形で、マイクが渡される。

「もう、好きにやってよ―...それでは、ゲームを始めてください。よろしくお願いします」
後にツイッターで"殿堂はMTGでの目標だったけど、まさか人生の目標まで叶ってしまうとは・・・"と言わしめた出来事と遭遇した渡辺。
その感動を全身で受け止める余韻にひたるなという方が、無理な話だろう。

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「「よろしくお願いします」」
それを十分に理解しているプレイヤーたちが渡辺の放心を受け取めるように、精一杯の掛け声で応じた。

セレモニーが終わり、BMOスタンダードが始まった。