【BIG MAGIC Open Vol.9】BIG MAGIC Open Vol.9 スタンダード Round5 木村 憲太(東京都)vs 浅原 晃(東京)

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BIG MAGIC Open Vol.9 スタンダード Round5 木村 憲太(東京都)vs 浅原 晃(東京)

by Tatsuo Sekimoto

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「Pit Cycle」というデッキをご存じだろうか?
《ヨーグモスの取り引き》と《スカージの使い魔》によるこのコンボは、手札、ライフ、パーマネントとありとあらゆるリソースを使い切ることから「コンボ史上最も美しいデッキ」と評された。

「Pit Cycle」が生まれたの日本。奇しくもまたここ日本で「Cycle」を冠する新たなコンボデッキが生まれた。その名も

「Zeus Cycle」

作り手は生ける伝説、浅原 晃だ。
さてその浅原のデッキだが、なんというか...大真面目に《副陽の接近》を唱えるデッキなのだ。7マナが必要な上に7枚先の勝利条件。しかも2回唱える必要があるという何とも気が長いカードなのだ。これだけ聞くと全く強くないように思えるが現在全勝中である。繰り返す、現在全勝中である。

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BIGMAGIC ELDERSである浅原 晃の英知が結集したこのデッキ。Round2の時点で既に生放送に登場したのだが、コメント欄には「わからん」「何やってんの?」「つまりどういうことなの?」というコメントで溢れた。その衝撃のデッキの真実に迫りたい。



Game1
先手は浅原。7枚キープ。

ゲームが動いたのは2ターン目。木村が《キランの真意号》を唱えたところから始まる。
対する浅原は3ターン目に《新たな信仰》をサイクリングしてターンを終了する。

木村は《屑鉄場のたかり屋》を唱え《キランの真意号》に搭乗。アタックして浅原のライフは18点になる。

浅原は土地に《奇妙な森》をエンチャント。手掛かりを出しつつマナを伸ばす。ここまで見かけないカードばかりで首をかしげる木村。それもそうだ。どれもスタンダード...というかどのフォーマットでも見かけないカードばかりだ。

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それでも木村は自分の為すべきことを成すだけだ。《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を出しクロックを加速させる。さらに《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》の忠誠値を使って《キランの真意号》をクリーチャー化。《屑鉄場のたかり屋》と共にアタックする。速やかに相手を倒す。そんな意思が伝わるプレイだ。

これで浅原のライフは11点。木村の盤面は《キランの真意号》《屑鉄場のたかり屋》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》2/2同盟者・トークンと次のターンにはトドメを刺せそうな布陣だ。

そして次のターン。

木村は迷わず全軍を差し向けた。
浅原は《シェフェトのオオトカゲ》をサイクリングしてマナを伸ばしつつ、さらに《排斥》をサイクリング。ライブラリーを掘り進める。最終的に《花粉のもや》で攻撃をかわして生き延びた。

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生き残った浅原には《新たな視点》が見えた。
サイクリング・コストを0にして《砂時計の侍臣》をサイクリング。《奇妙な森》がエンチャントされた土地をアンタップしてマナをブーストする。さらに昂揚した《ウルヴェンワルド横断》で次々に《砂時計の侍臣》を集めマナを増やしていく。

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ここまでユニークなカードが次々に飛び交ったが最後までその流れは止まらなかった。浅原は《葬送の影》でこれまでサイクリングしたカードを全て回収すると《副陽の接近》を唱えた。
7枚先に置かれた勝利条件。だが、《砂時計の侍臣》とサイクリング・カードたちが浅原にすぐさまマナとドローをもたらした。

エルダーの英知が炸裂した。

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木村 0-1 浅原




Game2
先手の木村は7枚キープ。後手の浅原はワンマリガン。

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(木村 憲太)

木村は2ターン目に《キランの真意号》、3ターン目に《屑鉄場のたかり屋》と《スレイベンの検査官》を出すという前のゲーム以上にキレが増した動きを見せる。
《キランの真意号》が浅原に襲いかかり浅原のライフは残り16点。

だが、浅原は慌てず《ウルヴェンワルド横断》を唱えて《沼》をサーチしてエンド。

木村は2体目の《屑鉄場のたかり屋》を唱えて《キランの真意号》に搭乗させる。
《キランの真意号》《屑鉄場のたかり屋》《スレイベンの検査官》でアタックして一挙8点ダメージ。浅原のライフはあっさり8点まで落ち込む。

次のターンにも木村は再度同じメンバーでアタック。
浅原は《花粉のもや》でかわすが、もう一度攻撃を受ければ敗北することは変わりない。崖っぷちだ。

木村は《苦い真理》を唱えて3ドローしたあとに《模範的な造り手》を唱えてエンド。次で仕留め切れるか。

ピンチの浅原。少し考えたあとに《新たな信仰》をサイクリングする。だが、ドローを確認すると投了した。

木村 1-1 浅原




Game3
両者7枚キープ。

木村は3ゲーム連続《キランの真意号》スタート。
浅原は《奇妙な森》を《森》にエンチャントしてエンド。

木村は《異端聖戦士、サリア》を出し、《キランの真意号》に搭乗。浅原にアタックして4点ダメージが入る。
浅原は《ウルヴェンワルド横断》で《平地》をサーチしてエンド。

木村は《先駆ける者、ナヒリ》出し、マイナス能力を起動。《奇妙な森》を追放する。さらに《先駆ける者、ナヒリ》の忠誠値で《キランの真意号》をクリーチャー化し、《異端聖戦士、サリア》とアタック。
これには渋い顔をする浅原。あっという間に浅原のライフは9点に。だが、何よりも《奇妙な森》が追放されてしまったのが痛い。

木村は《先駆ける者、ナヒリ》を起動して、1枚ルーティング。忠誠値を確保して次のエンチャントに備える。木村は《栄光半ばの修練者》と《屑鉄場のたかり屋》を出す。《キランの真意号》と《異端聖戦士、サリア》でアタックして浅原を残り2点まで追い詰める。

エンド前にサイクリングで掘り進める浅原。
さらに自分のメインにも《新たな信仰》をサイクリングしたあとに昂揚した《ウルヴェンワルド横断》をプレイ。《砂時計の侍臣》を手札に加える。

木村は《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》をプレイしたあとに浅原を攻撃するも《花粉のもや》に阻まれる。だが、これは予想していたようで特に落胆した様子はない。

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(浅原 晃)

だが、この1ターンが大きな意味を持った。浅原はフルタップで《新たな視点》唱えると《シェフェトのオオトカゲ》を2枚サイクリング。アンタップインの土地を2枚調達する。
さらに《砂時計の侍臣》もマナを伸ばすことに加勢する。サイクリングが連鎖し遂に《奇妙な森》をエンチャントするところまで漕ぎつける。そして《砂時計の侍臣》で再び起こし《葬送の影》を唱える。
こうなればもう止まらない。

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最後に2枚の《葬送の影》と《副陽の接近》を公開すると木村は投了した。


木村 1-2 浅原
浅原 win!

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