【BMO Vol.9】BIG MAGIC Open Vol.9 スダンダード Round3 吉森 奨 vs 斉藤 徹

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BIG MAGIC Open Vol.9 スダンダード ROUND3 吉森 奨(神奈川県)vs斉藤 徹(東京都)

text by Seigo Nishikawa

「フィーチャーテーブルに呼ばれることになるとは」そう言いながら席に着く吉森。見ればフィーチャーテーブル3席には3人のBIGsが着席している。永井・光安・そして吉森だ。これもBIGsという看板を背負っている使命と受け入れてもらうより他にないであろう。先に着席していた斉藤はそんな吉森を、にこやかな笑みを浮かべて迎え入れる。

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Game1

吉森はダイスに勝利すると《霊気との調和》から《平地》を流れるように手札に入れることでゲームの開始を宣言する。一方の斉藤は1マリガンを喫してしまうも《平地》から《スレイベンの検査官》とこちらもまずまずの立ち上がりといったところか。

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吉森 奨

《平地》(吉森)、《港町》(斉藤)と土地をセットするのみでそれぞれが第2ターンを終了すると、吉森は《森》から《導路の召使い》を戦場に送り込む。それに対して《鎖鳴らし》をキャストする斉藤。お互いのデッキが概ね判明してきたといったところか。この《鎖鳴らし》を前に少し考え込む吉森。

斉藤のデッキを前に、積まれているであろうカードを頭の中で整理すると、4枚目の土地と《折れた刃、ギセラ》を戦場に送り込む。斉藤はこれをスルーすると、《検閲》をサイクリングすることで、ギセラへの対抗策を求める。

吉森は《折れた刃、ギセラ》で攻撃をしかけると《霊気池の驚異》をセット。斉藤はこれに対し2体目《鎖鳴らし》と、先ほど引き入れていた《排斥》で応じる。本来であればギセラに差し向けダメージレースを挑みたいところであったが、やむをえない。

お互いにここまで土地を引き続けており、マナはしっかりしているのだが、ややゆったりとした展開へと移っていく。《織木師の組細工》で着々とエネルギーをためる吉森。肝心の《霊気池の驚異》は失われたが2枚目を手に入れればいつでも起動できる状態だ。そしてそのためのライフという時間もこのアーティファクトは吉森にもたらせてくれる。

斉藤は2枚目の《排斥》でガンであった《折れた刃、ギセラ》を除去。ライフを削り取る道への算段を取り付ける。

手札が1枚となった吉森。引き入れた《ならず者の精製屋》で、次弾を求めにいくが「うーん」と低い声。そこに合った土地をセットするのだが、続くターンのドローで顔が綻ぶ。そこに合ったのは《絶え間ない飢餓、ウラモグ》!

先の土地が9枚目の土地であった吉森。《導路の召使い》とあわせて10マナを繰り出すと全力で《絶え間ない飢餓、ウラモグ》を唱え、そして斉藤の2枚の《排斥》を処分する。吉森のもとに戻ってきた《折れた刃、ギセラ》。

そして《霊気池の驚異》

ここまで溜め込んできたエネルギーを霊気池に注ぎこむと、そこから満を持して《消えゆく光、ブルーナ》が光臨する。

そしてその行為は、必然的に《悪夢の声、ブリセラ/Brisela, Voice of Nightmares》が誕生することを意味しており、そのことが見せる悪夢を斉藤は誰よりもよくわかっていた。

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吉森 1-0 斉藤


Game2

斉藤は《大草原の川》でGame2をスタートすると、吉森は《森》から《発生の器》と動き終了する。共に2ターン目は《平地》を置くのみでターンを終了すると、自身の第3ターンに《スレイベンの検査官》を送り込んだ。

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斉藤 徹

それを見て《発生の器》を起動すると、そこから手に入れた《ならず者の精製屋》をキャストする吉森。続くターンには《ウルヴェンワルド横断》を使用するがそれは高橋の《呪文捕らえ》が綺麗にキャッチ。

実はGame1と異なり、土地が4枚で止まっている吉森。この《ウルヴェンワルド横断》で追加の土地を手に入れられなかったことが響かねば良いが......続くターン何もせずにターンを終了すると、斉藤から《停滞の罠》が《ならず者の精製屋》に飛ぶ。これを受け入れた吉森は、《排斥》で逆にこの《停滞の罠》を封印し、《ならず者の精製屋》を取り返すと、貴重な1枚のカードとエネルギーを取得。そしてその1枚は待望の土地だ。

フルタップの吉森に対して、斉藤は土地に手をかける。
「ギデオンかな?」という吉森の問いかけに対して、「いえ」と言いながら《スレイベンの検査官》を戦場へ。そして残したマナで吉森の《霊気池の驚異》を《呪文萎れ》。続くターンにも飛んでくる2枚目の《霊気池の驚異》にも《賞罰の天使》で、碌なことをしないこの構造物に罰を与え、着々と盤面を作り上げていく。

しかし先ほどまで土地以外のスペルで賑わっていた吉森の手札。斉藤に完全に傾きかけていた流れを一発で取り返すスペルがそこには秘められていた

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これで《霊気池の驚異》と《ウルヴェンワルド横断》を取り返すと、《ウルヴェンワルド横断》を《梢の眺望》へと変えた。

先ほどまでと状況が一変してしまった斉藤。だがそれでもこれまでの攻撃で吉森のライフは削っている。後続を繰り出せばいいだけだ。その後続たる《無私の霊魂》を笑いながら送り出す。勿論十分に貴重な戦力ではあるのだが、さっきあればという思いが拭いきれないか。

吉森は《消えゆく光、ブルーナ》で《ならず者の精製屋》を吊り上げる。これに対して《排斥》で《霊気池の驚異》を奪い取る斉藤。そして《賞罰の天使》を不朽することで、《消えゆく光、ブルーナ》に2度目の罰。

吉森、このアモンケット界でも最上級の評価を受ける天使を見て、2枚目の《燻蒸》をキャスト。だが、斉藤が《無私の霊魂》を墓地に送るのをみて、表情を変えぎゅっと唇をかみ締める。

実はこのとき手には2枚目の《消えゆく光、ブルーナ》を持っており、少なくとも《賞罰の天使》が暴れまわることを止めることは十分にできていたのだ。
「《無私の霊魂》も見落としてたわけではないのに......絶対に打ってはいけないスペルを打ってしまった。こういうことするとケチがつきますね」

それでも、改めて気合を入れなおし《ウルヴェンワルド横断》を見せると「昴揚しています」と力強く宣言。この試合、都合4度目の《ウルヴェンワルド横断》で再び土地を調達すると、斉藤からこの先の未来を察したのか「あー」という声が漏れる。

吉森は先ほどは出せなかった、《消えゆく光、ブルーナ》、《ならず者の精製屋》を吊り上げる。吉森の動きを確認した斉藤はターンエンドに《大天使アヴァシン》を繰り出すと、気合を込めてカードをドロー。そしてそれを見るなり即座にサイクリングすると、そこは《断片化》!
これを《排斥》に向け、《停滞の罠》を取り返し、《消えゆく光、ブルーナ》を追放する

斉藤の《大天使アヴァシン》が吉森のライフを0とし、「ミスったー」と吉森は顔を抑えた。


吉森 1-1 斉藤


Game3

吉森、斉藤ともに相手の攻撃をいなしながら隙を見つけて反撃を繰り出していく一進一退の攻防。試合時間も35分を超え、気がつけばフィーチャー席の周りには多数の観客が訪れ、この一戦の行き先を静かに見守るようになっていた。

吉森、《森》から《霊気との調和》で《島》を調達すると、斉藤は「島ですね」と確認した後、《港町》を《平地》を公開してセットすることで《検閲》の存在を印象付けていく。当然吉森もそれは織り込み済み、《島》をセットした上で再びの《霊気との調和》で今度は《平地》を確保。

斉藤は勿論持っていた《検閲》をサイクリングすると、自身のターンには《無私の霊魂》。続くターンに吉森が土地を置くのみでターンを返すのをみて、《スレイベンの検査官》とつなげた。

吉森の第4ターンに繰り出された《折れた刃、ギセラ》は、斉藤に《排斥》され仕事を全うすることができない。

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そしてこのギセラが追放されたことが号砲であったかのように、ここから斉藤がこの試合を完全に掌握することとなった。

続く《霊気池の驚異》には《断片化》。《織木師の組細工》で延命を図るも、ここにはきっちりと《呪文捕らえ》。吉森の逆転の一手《保護者、リンヴァーラ》には、やや食い気味に《呪文萎れ》が放たれた。

吉森が「負けました」と宣言するのとほぼ同じく、50分のタイムアップを告げるアラームが会場に鳴り響いた。

「霊気池」の「驚異」を見せ付けたGame1。
たった一つのミスがすべてを崩してしまうGame2。
青白フラッシュというデッキの力を斉藤が見せ付けたGame3。

まさにこれぞMtGと言える熱戦であった。

吉森 1-2 斉藤

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