【BIG MAGIC Open Vol.9】BMOスタンダード Round 4 奥村 祐司(千葉) vs 上田 忠彦(三重)

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Text by 森安 元希


Round 4が始まる。


持ち込んだデッキタイプか、或いは"デッキの回り"が噛み合わずに既に撃墜となってしまったトッププレイヤーもいるなか、勝利点9点を稼いでいるプレイヤーたちが今日の強豪であることは間違いない。

今回3卓用意しているフィーチャー・テーブルの1つである「赤のテーブルクロスが敷かれたテキスト・フィーチャー用のテーブル」では、その強豪同士である奥村 祐司と上田 忠彦が相対して座った。


奥村はBIG MAGIC Open Vol.8の準優勝者だ。

【青白フラッシュ】を骨太にした自作の【バントミッドレンジ】で、並み居る強豪たちを打倒していた。
先日、PWCC 2017で優勝した岡井 俊樹と共に新鋭として名乗りを挙げた大会でもある。
BIG MAGIC Open Vol.8ではあと一手届かなかった優勝を目指しての参加だ。

その奥村と正対する上田。
三重からの遠征勢であり、翌々日には関西で開催されるCARD BOX OPEN通称"CBO"に参加予定だという。
彼もまた、強くたくましいマジック・ジャンキーのようだ。




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ダイスロールの結果、奥村が先手を獲得すると上田は「ダイス4連敗だよ」と笑った。
「僕も初めて勝ちました」と奥村が続け、2人とも後手スタートのなかを勝ち進んできたことを暗に示した。




Game 1

互いに占術でトップカードを下に送っての6枚スタート。
アクシデントの予感もさせたが、奥村は《模範的な造り手》スタート。
《スレイベンの検査官》で手がかりを出しての3/2アタック。
そのまま《模範的な造り手》追加と、先手2ターン目にして3体のアタッカーを並べた。
【機体】が誇る先手序盤のプレッシャーの最たるものの一例だろう。

上田も小回りの利くデッキ選択であった。
《町のゴシップ屋》スタート。
第2ターン、《サリアの副官》で《町のゴシップ屋》をサイズアップさせた地点で、デッキタイプが確定する。
【人間】だ。


元々採用されている《永遠の見守り》と非常に相性の良い《栄光半ばの修練者》を獲得したことで強烈に完成度を高めたデッキタイプだ。
奥村は《町のゴシップ屋》に対して《致命的な一押し》を打ち込み、行く道を空けてアタックを仕掛けてゆく。

守勢となった上田だが、《サリアの副官》のパンプアップが頼もしい。
《模範的な造り手》2体アタックに対し、3/3《サリアの副官》と《スレイベンの検査官》2体で2:2交換するブロックを申し出るとこれが成立。

互いに盤面は掃除されたが、手がかり分でカードを補えている上田が《町のゴシップ屋》、《スレイベンの検査官》、《サリアの副官》と再展開してリードを獲得した。
この状況を打開しうる《無許可の分解》2枚、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を握る奥村は赤マナと4枚目の土地がこない。

上田のランドは平地3枚だが実は赤白カラーだ。
《ハンウィアー守備隊》2枚がハンドで泣いているなか、展開を続ける。

上田は《栄光半ばの修練者》を追加したあと、変身させた《町のゴシップ屋》でライフレースを仕掛けてゆく。

ここで先にマナソースにたどり着いたのは奥村。
《感動的な眺望所》、《平地》と続いてセットしてゆく。
《大天使アヴァシン》の瞬速ブロックで上田のアタッカーとなる《栄光半ばの修練者》を一方的に落とし、先ほどまでのリソース差を埋めた。
奥村、ここでマナ不足から一気に解放される。7マナまで順調に伸ばしてゆき、ハンドの濃厚なカードをプレイしてゆく。

《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を着地させたあと、《歩行バリスタ》X=3で上田が築き上げてきた戦線を完全に打ち崩した。

奥村 1-0 上田



《栄光半ばの修練者》は現代に蘇った《殴打頭蓋》だ
と話す上田。


実際、督励で得た絆魂によって上田はライフレースをねばり強く保っていた場面もあった。
そしてその強さは、これから本領を発揮することになる。




Game 2

上田、《スレイベンの検査官》、手がかりドロー、《ハンウィアー守備隊》とスピーディな展開で先手の利を活かす。

最後まで《平地》3枚で止まったGame 1と打ってかわって、赤マナも充実している。

奥村も、後手ながら《屑鉄場のたかり屋》からの《無許可の分解》とライフを攻めてゆく。

しかし今度はハンドを順調に使える上田の展開が、止まらない。
期待の星の新ドラゴン《栄光をもたらすもの》2体で奥村の展開をビタ止めにし、ライフを速やかに奪ってゆく。

奥村も《無許可の分解》で《栄光をもたらすもの》1体を撃墜してスピードダウンを図るが、《永遠の見守り》が貼られてドラゴンの彷徨が"叫び放題"になると、次のゲームへと目線を向けた。

奥村 1-1 上田



奥村「思ってたのと違ったデッキでしたね」
Game 1では結局1枚も赤マナを見せず白単人間的なふるまいをみせた上田。
Game 2では人間シナジーに頼らず、赤のクリーチャーが強烈に盤面を支配することとなった。




Game 3

《リリアナの誓い》《燻蒸》《無許可の分解》と土地4枚。
かなりヘビーなコントロール・ハンドをキープした奥村。

上田は《スレイベンの検査官》、《名誉ある門長》と高速で盤面を構築してゆく。
第3ターンに奥村は引いてきた《ピア・ナラー》を展開して戦場を膠着させる方向へ誘導する。

上田はアタックを仕掛けず《ハンウィアー守備隊》追加して第3ターンを終える。
《ハンウィアー守備隊》は《名誉ある門長》とのシナジーは目を見張るものがある組み合わせだ。

奥村もそれを理解しており、メインの《無許可の分解》で《ハンウィアー守備隊》を除去する。


しかし勢いは止まらず、上田のハンドから軽量級の人間たちが次々に奥村に襲い掛かる。
第4ターン、《サリアの副官》着地。
第5ターンの第1メイン、《ハンウィアー守備隊》、《サリアの副官》着地。

「《大天使アヴァシン》あるからな」と展開のみでアタックは行かず。

―...そして奥村の目論見が成功した。《燻蒸》。大量のライフゲインを伴いながら盤面を一掃する。

上田、《栄光をもたらすもの》速攻アタック。
奥村、《リリアナの誓い》でこれを撃墜。

上田、再び《栄光をもたらすもの》速攻アタック。

奥村はライフをゴリゴリ減らしてゆくが、他にアタッカーがいないことを確認してから《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》をプレイ。プラスからはいってドラゴンの一息で倒れないようにした。そして《無許可の分解》を引き込み《栄光をもたらすもの》を除去すると、上田の展開が遂に止まった。

ここで生き延びた《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》が攻守に活躍するトークンを生み続け、戦線を支配した。

上田は未だ打開出来るカードはライブラリーに眠っているのだが、Game 1の"揺り返し"のように土地を引き続け、減ってゆく己のライフを見つめることしかできない。

奥村 2-1 上田

奥村 Win!



互いにアグロ戦法を得意とするデッキながら、粘り強さが特徴的となったマッチとなった。

《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》そして《栄光をもたらすもの》。

どちらも膠着を打破する強烈な1枚だ。

今回は【機体】が勝ったが、他の卓では【赤白人間】が勝っているゲームもきっとあるだろう。

それほどデッキ的に均衡しているようにみえた対決であった。

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