【BIG MAGIC Open Vol.9】BIGMAGIC Sunday Legacy 決勝 嘉藤 達樹(東京都)vs 川居 裕介(東京都)

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BIGMAGIC Sunday Legacy 決勝 嘉藤 達樹(東京都)vs 川居 裕介(東京都)

by Tatsuo Sekimoto




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赤と白。決勝に残った二つのデッキは奇しくも単色デッキ同士だった。レガシーは多色環境...と言われてるのとは裏腹の結果となった。

赤の嘉藤はバーンを使いここまで勝ち上がった。嘉藤はレガシーはおろかマジック自体最近始めたばかりだという。それでここまで来るというのだから凄まじいポテンシャルだ。

一方の川居はDeath & Taxesを使っている。川居も《師範の占い独楽》で泣いた人間の一人である。奇跡に対する思い入れは本物で、似たようなデッキが作れないか模索してみると語っていた。しかし同時「心が折れたらデスタクを使います」とも語っていた。そして今そのDeath & Taxesで決勝までやってきた。決勝まで来たのだ。川居は折れたのではない。進んだのだ。新しい戦場で戦うために。

内容は違えど、二人とも今まさに新しい体験をしている。その門出を優勝という栄光で飾るのはどちらだ。





Game1

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(嘉藤 達樹)



嘉藤:「どうして頭が動いているかわからない」
そう答える嘉藤はフラフラだ。無理もない。12回戦目だ。だが、考えることを放棄したわけではない。初手は悩ましい内容だ。嘉藤の初手には2枚の《発展の代価》があるのだが、これがどう活躍するのか未知数だ。一見、白単相手には刺さりにくいカードに見えるのだが実はそうではない。Death & Taxesにも《カラカス》《不毛の大地》《魂の洞窟》《リシャーダの港》《地平線の梢》と特殊地形が割と多く入っている。しかし《平地》の枚数が多いのも事実。こればかりはゲームが始まらないとわからない。リスクとリターンを慎重に計算する嘉藤。答えはキープだ。

川居の初動は《地平線の梢》と《リシャーダの港》から《スレイベンの守護者、サリア》。バーン相手に《地平線の梢》を起動しないといけないのは辛いが《スレイベンの守護者、サリア》を出せるのは悪くない。火力を足止めしてくれるだろう。

嘉藤の初動は《大歓楽の幻霊》。《スレイベンの守護者、サリア》の先制攻撃で立ち往生しているがこいつの本領はそこではない。誘発型能力によるダメージだ。

互いに相手の行動を縛りあう展開から始まった。興味深い立ち上がりだ。

川居の手札には《剣を鍬に》があるため即座に除去できる。しかし、手札には《石鍛冶の神秘家》もあるため悩ましい。川居は少し考えて《剣を鍬に》を選択。ライフの損失を最小限に抑える。《大歓楽の幻霊》は今わの際に2点ダメージを与えていくが川居のライフじは16点とまだまだある。

嘉藤は2体目の《大歓楽の幻霊》を出しさらに《裂け目の稲妻》を待機。
川居は《魂の洞窟》天使指定で《セラの報復者》を出す。《大歓楽の幻霊》と《地平線の梢》でライフがじりじり減っていく。

嘉藤のアップキープ。嘉藤は待機があけた《裂け目の稲妻》で《スレイベンの守護者、サリア》を除去する。だが、飛行・警戒3/3が立っているので殴りには行けない。

ターンを受けた川居は《セラの報復者》殴って嘉藤のライフを17点にする。《大歓楽の幻霊》でチキンレースするには《剣を鍬に》のライフゲインが痛い。クロックで上回りたい川居は《カラカス》をセットして《スレイベンの守護者、サリア》。またも《大歓楽の幻霊》が誘発して川居の残ライフは11点。

嘉藤は川居のエンド前に《発展の代価》。川居は《地平線の梢》を生け贄にしてダメージを6点に抑えるがそれでも痛い。これで残り5。
そして嘉藤は自分のメインに初手からあったもう一枚の《発展の代価》を見せた。

嘉藤 1-0 川居





Game2
先手の川居は《平地》から《ルーンの母》。
嘉藤は返しに《稲妻の連鎖》で即座に焼く。

川居の二の矢は《渋面の溶岩使い》。だが土地が一枚でストップしてしまう。

川居はこの隙に《石鍛冶の神秘家》をプレイ。《梅澤の十手》をサーチする。

次のターンも嘉藤は土地を引けない。《ゴブリンの先達》で2点ダメージを与えるが《石鍛冶の神秘家》を対処することができない。



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(川居 裕介)



4ターン目には、川居は《梅澤の十手》を《スレイベンの守護者、サリア》に装備して攻撃。さらに《梅澤の十手》の能力で《渋面の溶岩使い》を除去する。

嘉藤はまだ土地が来ない。それでも《ゴブリンの先達》をもう1体追加して川居を攻撃。4点与えて川居のライフは残り14。

川居は2体目の《石鍛冶の神秘家》をプレイ。《殴打頭蓋》をサーチして終了する。

嘉藤が《ゴブリンの先達》2体で突っ込むと川居は落ち着いて《石鍛冶の神秘家》で1体ずつブロック。さらに《梅澤の十手》の能力を起動して一方的に討ち取る。

嘉藤が2枚目の土地を見る頃には勝敗が決していた。

嘉藤 1-1 川居





Game3
先手の嘉藤は《僧院の速槍》で飛び出す。さらに2ターン目には2体並べてアタック。しかしまたも土地が1枚でストップしてしまう。
川居は《剣を鍬に》で《僧院の速槍》を1体除去して1点ダメージに抑える。

川居は2ターン目に《石鍛冶の神秘家》をプレイして《梅澤の十手》をサーチ。

嘉藤は《稲妻の連鎖》で《石鍛冶の神秘家》を焼く。

川居は3ターン目に《ルーンの母》と《スレイベンの守護者、サリア》を戦場に展開する。

ここで嘉藤は土地を引き込んだ。《稲妻》で《ルーンの母》を除去してターンを終了する。
川居は《聖域の僧院長》をプレイして宣言は1。コストが1マナのクリーチャーでない呪文が唱えられなくなる。

嘉藤は《渋面の溶岩使い》を出すが、次のターンに川居は5枚目の土地をセットして《梅澤の十手》を唱える。さらに《スレイベンの守護者、サリア》に装備してアタック。《梅澤の十手》が誘発してカウンターが乗り《渋面の溶岩使い》が除去される。

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川居は攻めの手を緩めない。《護衛募集員》で《石鍛冶の神秘家》を徴兵して戦力をかき集める。《殴打頭蓋》も戦線に参加させる。

最後は《ちらつき鬼火》でブロッカーを排除してフルアタックを決めた。

嘉藤 1-2 川居

川居 win!




BIG MAGIC Open vol.9、BIGMAGIC Sunday Legacy267名の頂点に立ったのは川居 裕介(東京都)!

惜しくも敗れた嘉藤。結果こそ2ゲーム続けての土地事故だがこれは結果論でしかない。ドロー操作がないバーンはキープ基準が難しい。ときには「土地を引けば勝ち!」という手札をキープしないといけないだろう。そしてこれはもう想像でしかないのだが、嘉藤は今日これまで同じような展開に何度も遭遇しているのではないだろうか?リスクを冒してでも勝負に出たからこそ経験をはるかに上回るプレイヤーたちを打倒したのだろう。だからこそ一度の土地事故では己が信じたマリガン基準を曲げなかったのだし、最後までそれを貫いた。

そして優勝した川居。デッキを変更してからさほど時間がなかったのにそれを感じさせない熟練したプレイを見せた。《殴打頭蓋》による安易なイージーウィンを決して狙わず《石鍛冶の神秘家》が対処されたときのことを想定して動いていた。12回戦を経ても変わらない冷静さは流石の一言に尽きる。

おめでとう川居!



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