デッキリスト探検隊 第8回 ~パイオニア環境の先駆者たち! デッキビルダーのフロンティア~



By Riku Imaizumi

こんにちは。「オリジナルデッキを見つけて紹介する」デッキリスト探検隊、第8回です。

面白いデッキリストを見る機会が減ってきた昨今、

「目が覚めるようなデッキリストを見たい、というかあわよくば自分のデッキをみんなに知らしめたい

と思っているデッキビルダーのみなさまの要望にお応えし、今日もデッキリストを紹介していきます。

オリジナリティがあるだけのデッキリストは誰にでも作れます。しかしながらそれで勝つのは至難の業。
だからこそ、オリジナリティを持ち、ある程度の成績を残したデッキリストには大きな価値があるのです。

デッキリストにはビルダーの個性が光ります。
唯一無二、この世に一つしかないオリジナルデッキたち。
そんな「デッキビルダーの作品」を今日も紹介していきます!

今回ご紹介するのは、新しく発表されたフォーマットのパイオニア環境のデッキです。

いちはやくフォーマットに対応したMOでは、既存フォーマットと同様リーグが開催されています。その中から5-0したデッキリストをチェックしてみました。
 

《静電気式打撃帯》シュート

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Designed by MAXIMUSDEE from Magic Online

パイオニアでデッキを考える時のひとつの方法が、「過去のスタンダードのデッキのアップデート」。最初に紹介するのはその考え方で現れた、【赤緑・静電気式打撃体】です。

静電気式打撃体》はカラデシュがスタンダード現役だったころに活躍しました。《暴力の激励》で一度強化すれば、《静電気式打撃体》は簡単にパワー10を超えられるようになります。パワー20でトランプルを備えた必殺兵器となることも珍しくありませんでした。

エネルギーを必要とすることから、パイオニア環境でもその構成は大きく変わっていません。ただし、突然死が起こる可能性が生まれました。

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《静電気式打撃体》を唱えて、《最大速度》で速攻付与! 《強大化》で8/8に強化し、能力で16点シュート!

この16点シュート、赤と緑を含む5マナさえあればいつでも実現可能。「対戦相手に妨害用のマナがない」「ブロッカーがいない」というような状況が重なれば、どれだけ不利な盤面でも逆転勝利が可能です。

また、強化呪文に《ティムールの激闘》や《争闘+壮大》が加わったことで《逆毛ハイドラ》によるフィニッシュもしやすくなりました。
呪禁能力を備えた《逆毛ハイドラ》は、何も備えず4ターン目にプレイしてもあまり除去されません。5ターン目に《壮大》と《ティムールの激闘》を使うだけでこれまた16点分ダメージ。しかもトランプル付きですので、十分にゲームが終わる攻撃力を備えています。


吸血鬼×黒信心

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Designed by CLYDE THE GLIDE DREXLER  from Magic Online

パイオニアでデッキを考える方法のふたつ目は、「過去のスタンダードデッキ同士を組み合わせる」方法。『イクサラン』時代の後期に活躍した【吸血鬼】デッキと、テーロス時代に活躍した【黒単信心】を掛け合わせたデッキが、こちらの【パイオニア版・吸血鬼】です。

『イクサラン』時代の【吸血鬼】からは以下のカードが採用されています。

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当時は白黒のビートダウンデッキでしたが、黒単信心との掛け合わせに従い黒いカードのみが残っています。
傲慢な血王、ソリン》と《薄暮の勇者》の組み合わせはパイオニア環境でも通用するようです。

『テーロス』時代の黒単信心からは以下のカードが採用されています。

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『信心』メカニズムの中でもひときわ使用率が高かった《アスフォデルの灰色商人》。当時の黒単信心の強さを支えたキーカードです。5点以上のドレインをする場面はしょっちゅう見られました。

変わり谷》は信心との関連は特にないものの、単純なカードパワーや、一部カードとのシナジーを目当てに使用されたカードです。このデッキではイクサラン時代の吸血鬼カードたちのサポートを十分に活用できるため、より一層の強さを見せてくれるでしょう。

ニクスの祭殿、ニクソス》もまた優秀なカードですが、当時の黒単信心では採用率はあまり高くありませんでした。
しかし、以下のような時代を超えた吸血鬼たちの参戦を受け、このデッキでは2枚の採用がされています。

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いずれも黒マナシンボルの濃い吸血鬼たち。スタンダード時代に【吸血鬼】デッキに採用されることはあまりありませんでしたが、カードプールが広がり部族のシナジーを活用しやすくなりました。

序盤から黒への信心を集めやすくなったため、《ニクスの祭殿、ニクソス》はスタンダード時代と比べてかなり使いやすくなったのだと思います。
また、《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》のおかげで《変わり谷》ともども黒マナを出しやすくなったことも関係しているでしょう。

インスタントやソーサリーは《致命的な一押し》と《思考囲い》のみというシンプルな構成も美しいですね。


イルハグシュート

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Designed by NUMOTTHENUMMY  from Magic Online

最後に紹介するのは、「スタンダード時代にはあまり活躍していないけど、広がったカードプールを活用してデッキを組む」方法で生まれた【イルハグ・シュート】

能力で呼び出すのは、都市次元ラヴニカに生息するエムラクールこと《世界棘のワーム》!

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打点だけなら引き裂かれし永劫、エムラクール》に匹敵する意味不明なクリーチャー。永遠衆どころか永遠神すら余裕で蹴散らしてくれそうですが、ボーラスがラヴニカに攻めてきたときは何をしていたんでしょうか。

なお、《猪の祟神、イルハグ》はスタンダード現役のカードですが、あまり目立った活躍はしていないと言えます。
この手のカードは、デッキ構造にある問題を抱えやすいことが構築時の難点となるためです。それは「《猪の祟神、イルハグ》の能力を利用できなかった時にデッキが回らなくなる」ということ。

《猪の祟神、イルハグ》のために重いカードを大量に入れたけど、《猪の祟神、イルハグ》を除去されたり、そもそも引けなかったせいで重いカードが手札に溜まって動けなくなってしまった、という状況は簡単に想像できますね。

しかしこのデッキリストからは、パイオニア環境のカードプールを利用し、キーカードを増やすことで問題を解決しようとする姿勢が見て取れます。

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これらは、《猪の祟神、イルハグ》同様に直接クリーチャーを呼び出すカードたちです。《世界棘のワーム》を戦場に出すためのカードが合計10枚入っていることになるので、少なくとも引けないという状況には陥りにくくなりました。

もちろん《猪の祟神、イルハグ》や《ロナスの勇者》で攻撃できない状況は存在するでしょうが、速攻を付与することで解決を図ります。

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いずれもクリーチャーに速攻を与えるカードたち。
特に《発生器の召使い》を2ターン目にプレイすれば、3ターン目に《猪の祟神、イルハグ》、および《世界棘のワーム》での攻撃が狙えます。合計21点クロックとなり、なんと3ターン目にしてゲームが終わる可能性があるのです。

とんでもない《世界棘のワーム》の打撃力。《龍神、ニコル・ボーラス》の忠誠値3枚分を余裕で超えているあたり、やっぱり灯争大戦時は冬眠してたとしか思えません。


以上、デッキリスト探検隊でした。

発表されたばかりのパイオニア。テーブルトップでの大会もまだまだ少なく、デッキビルダーのフロンティアと言えるフォーマットでしょう。今こそ自分だけのデッキを作り上げる時です。

昨今、自分のデッキを記事にする人も増えてきました。そういった発信も良い流れだと思いますが、デッキビルダーたるもの、自分のデッキが他人の記事に掲載されることこそ本懐。

あなたの作ったデッキを紹介できる日を楽しみにしています。

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