2014/09/11 夜の土 - Card of the Day -今日の1枚-

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夜の土/Night Soil

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 思い出話編。マジックを始めたばかりの頃。僕とその仲間たちは、地域のキッズにとって定番となっていた商店街のおもちゃ屋さんでパックとスターター(もはやこの存在も懐かしい)や構築済みデッキを買って、何もわからないまま組んだデッキを持ち寄って友人宅で遊んでいた。

僕らは雑誌を買うようになり、フォーマットというもの・過去のエキスパンションセット・各種専門店の存在を知った。徐々に、各々のプレイスタイルが確立されていった。それと同時に、より多くのカードが欲しくなった。

そこで僕らは活動の範囲を広げ、噂に聞いたちょっと大きなゲーム屋さんへと通うようになった。そこではシングルカードや、見たこともない様々なセットのパックが売られており、それらと初めて遭遇した時の感動は今でも忘れられない。

そして、それらの中に1つ、妙に渋いパックがあることに気付いた。名を「フォールン・エンパイア」という。そのワインレッドのようなチョコレートのようなメインカラーと、クリーム色、そしてロゴによってのみ構成されたパックは、僕らが慣れ親しんだ「ウルザズ・サーガ」のような派手さはなかったが、しかし「激シブ」に見えた。

しかも値段を見て驚いた。250円!?サーガの半分の値段やん!とりあえず、買うことにした。

手に取ったパックがやたら薄く、少々の不安は覚えたがとりあえず剥いてみた。このクールなパッケージは、なんとなく保管しておいた。さあカードを見てみよう。思った通り、枚数は少ない。まあ安いんだからそれもそうだ。問題は中身である。

まるで別のカードゲームかのように材質の違うカード達、デザインがやや異なるマナシンボルやタップシンボル、そして全体的に暗く渋すぎるイラストたち。うーんやっぱり激シブだ。そして、英単語を調べながらのカードの能力チェック。うーん、あまり強そうに見えないもの、そもそも何を言ってるのかわからないカードなど、積極的に使おうと思うカードは少ない…それでも《Hymn to Tourach》は抜群に、そしてこの《Night Soil》は少々良さそうに見えた。

イラストはひたすらに不気味であり、カード名を調べてみると「夜の土」とのことだった。死んだクリーチャー達が夜の間に分解され、新しい生き物へと生まれ変わる。なるほど、「ペット・セメタリー」(※)とかそういう感じのカードねと思ったものだ。

それから10年は経っただろうか。このカードをよく目にする機会が訪れた。Elder Dragon Highlanderが浸透し、一大ブームを巻き起こした頃。緑でも使える墓地対策、ということで白羽の矢が立ったのだ。この激シブな1枚が大好きな僕には、このカードの認知度が上がり皆が購入していく様が嬉しい光景として映ったものだ。

その後、《漁る軟泥》といったカードの登場により、御役御免となったのか姿を見る機会は激減。一人残念に思っていると、「統率者2013」でまさかの新規イラストで再録。日本語名も出会った時に直訳した《夜の土》そのままで、何か「再会」のように感じたのを覚えている。皆にもこういう1枚、あるよね。

※1989年に公開されたスティーヴン・キング原作のホラー(色の強い)映画。派手さはないが、愛するが故の過ちを描いた悲しい物語。

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