2014/10/28 Jumbo Imp - Card of the Day -今日の1枚-
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「撞着語法」って聞いたことあるかな?英語では「Oxymoron」と言ったりするのだけど。oxyとはギリシア語で「鋭い・はっきり」などの意味を持ち、moron(moros)は「鈍い・ぼんやり」といった意味で使われる。つまりOxymoronとは「鋭く鈍い」「はっきりとぼんやり」みたいな意味になって…つまりは「矛盾」しているのだ。
一見意味が通じないこれらの矛盾、パッと見ではただ誤った使い方をしているだけに見えるかもしれない。しかし、状況によっては複雑すぎる内容を、簡潔に一言で表現するに適していることもある。例えば、某野球漫画のエースは「小さな巨人」と実況されていた。これは典型的な、非常にわかりやすい撞着語法だ。「身長・体格では小柄ではあるもののその球威は長身の選手に劣らず、勝負度胸では他を圧倒する大きな存在感を放つ投手」とか、テンポが悪すぎてセリフを読んでいる間に寝てしまう。こういった情報を読み手・聞き手に一発で理解させる、矛盾した言葉の組み合わせは便利なものだ。「フルーティな激辛カレー」とか言ったりするでしょ。
マジックにおいて、この撞着語法を冠するカードの代表格が《Jumbo Imp》だ。Jumboは、大型旅客機や鶴田でご存知の通り巨大なものを形容する言葉である(ジャンボというサーカスで大人気だった象の名前が語源である)。そしてImp、こちらはマジックでもお馴染みの種族だが小鬼や小悪魔など、小さくて邪悪な存在の名称である。この2つが合わさることで「巨大小悪魔」という、一見矛盾した名前になっている。しかしまあ、ニュアンスは伝わるものだ。デーモンとインプでは越えられない壁があり、例え体型だけでもデーモン級に膨れ上がったインプがいたとしても、それはインプであって決してデーモンではない。逆もまたしかりだ。
《Jumbo Imp》は3マナで飛行持ちのクリーチャーだ。そのサイズは、戦場に出る際に、ダイスで決められる。3以上のサイズになれば、上出来ではないか。しかしデメリット能力を持っていて、ターン終了時には同じくダイスを振ってその出目分縮んでしまう。つまりは最初のダイスロールで1を出すと、何もせずに退場することが決定している。というか、概ね死亡することになるだろう。これだけのリスクを持ってはいるが、しかし無事にアップキープを迎えればこれが化ける。またまたダイスロール、出目分+1/+1カウンターgetである。6が出れば最低でも7/7だ。こうなればドラゴンでもなんでも打ちのめす小悪魔の誕生である。
まさに「アングルード」性能といった1枚ではあるが、なんかうまく調整すれば通常のカードとして許されるような気もしてくる。ちなみに、カード名は英語圏で撞着語法の一例として紹介される「Jumbo Shrimp」にかけたものだ。「でかい小エビ」、これはわかりやすい。10年ぐらい前、「小海老のから揚げ」の小エビがデカいと友人間で話題の店、よく行ってたなぁ。