《かき鳴らし鳥》が1回殴ればカウンターが増えて戦場が大爆発!なデッキで、実際にこの鳥が大活躍してくれました。 《太陽の宝球》はぎりぎりまで悩んだもので、本来は色マナを濃く要求する《火想者ニヴ=ミゼット》とこれをセットで入れる予定でした。 しかし、構築時間が足りなくなってしまい、最適なデッキが組めずにこの状態に。 もし、時を遡ってデッキを組みなおせるなら、ここを直したいです。そうしたミスがあったとはいえ、それでもデッキパワーはなかなかのもの。 本戦が始まり、5回戦までは《かき鳴らし鳥》が思うように動いてくれて、大きな苦労をすることなく勝つことが出来ました。
6回戦目もこの調子で!と思いきや、とんでもないデッキに当たってしまいました。 マナ加速から3ターン目《萎れ葉のしもべ》。
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4ターン目に《戦誉の天使》。
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5ターン目に《不退転の大天使》。
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そしてそれらを対処したと思えば、《全ては塵》で全てリセット。
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とどめの《大修道士、エリシュ・ノーン》。
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...恐るべき相手で、流石に0-2、完敗でした。 凄いデッキもあったものです。マジックにおける「理不尽の塊」のようなデッキに負けてしまいました。ここでペースを崩して連敗、というのが怖いのですが、なんとかこらえて、残りを勝利する事ができました。という事で、初日は何とか8-1で乗り切りました。構築ミスはありましたが、カードプールがかなり強かったおかげで何とかなりました。 翌日は睡眠時間を削ったりしながら気合を入れて練習したドラフトです。 体を休めて、万全の状態で明日に臨みたい、そう思っていました。
・5/31(日) GP二日目 ・・・朝5時に目が覚めてしまいました。 二日目が楽しみ過ぎて起きてしまったみたいです。 まるで遠足前の小学生ですが、せっかく出来た時間なので最後の練習をしました。 MOを起動して、ドラフトを1回。 そのまま景気よく3-0! 手応えを感じつつ会場へ移動しました。
ここで、ドラフトの戦略についても少しお話したいと思います。 ドラフトをやっていて感じたことが2つありました。
1.青が強い 2.青が安い
まるで背反しているようですが、これは一体どういう事でしょうか。 それについて説明する前に、『モダンマスターズ2015年版』のドラフト環境認識についてもお話します。
この環境は、 ・「青白金属術」 |
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・「緑白トークン」 |
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練習しているプレイヤー達の間では、この2つのアーキタイプが2強と言われていたと思います。 実際ドラフトの人気度でもそうで、安定して2-1しているデッキ、3-0しているデッキにはこれらが多いです。 という事は、このどちらかを選べば3-0出来るのでしょうか?...決してそんな事はありません。 むしろ人気があるものだからこそ、確固たるサイン(※)が無ければ作りづらく、中途半端な状況でこれらのデッキを作ろうとすれば失敗してしまいます。 (※:ドラフトで流れてきたカードで、明らかに特定の色・戦略のデッキを構築する上で必須なパーツが流れてくること。それを流したプレイヤーはその色・戦略に基づくカードをドラフトしていないということであり、これを読むことが出来れば上家と協調したドラフトを行うことが出来る。)
それぞれのアーキタイプのキーパーツは、金属術なら《錆びた秘宝》や《きらめく鷹の偶像》。 トークンなら《種のばら撒き》や《補強》。 これらが流れてくるようならそのアーキタイプに行ける!という認識になります。
さて、青の話に戻ります。 そもそも「青白金属術」において、青という色が果たす役割とはなんでしょうか。 1つは《突風掬い》や《雲の精霊》に始まる飛行クリーチャー。
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もう1つは、《マナ漏出》や《蒸気の絡みつき》による妨害。
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この2点です。 しかし飛行クリーチャーという点では、白の《きらめく鷹の偶像》の方が点数は高いですね。 妨害という点では、白の《拘引》や《太陽の槍》の方が点数を高く見ている人が多いです。 これがどういう事かというと、青の金属術デッキ関連パーツが流れてくる=青白が空いている!とはならないという事です。 |
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白いカードをより優先してピックをすれば、当然ですが青のカードは流れやすくなります。 金属術デッキにとって青いカードはどちらかというと、足りない隙間を埋めるという立ち位置にされやすい印象を受けました。
さて、ではその優秀な白が無ければ勝てるデッキは作れないのでしょうか? その答えが西国分寺ドラフトの私のデッキになります。
金属術に白は必要ない!
・・・とまでは言いません。
ですが、《きらめく鷹の偶像》に《錆びた秘宝》、《太陽の槍》や《拘引》が無くても戦えるデッキ・強いデッキは十分組めるのです。
白いカードは、「金属術」に限らず白いデッキならみんな使います。「緑白トークン」が有力なので、それを狙うプレイヤーも白いカードを集めることになりますね。 テキストに「金属術」と書かれた《錆びた秘宝》は、カット対象としてもわかりやすいですね。 つまり、これらをサインとして見た場合、よほどの流れ出ない限り「金属術」に参入する事が出来ないのです。
しかし、《突風掬い》や《蒸気の絡みつき》をサインとして見た場合。 「金属術」に参入する壁は、途端に低くなります。 そして実際、これらを使う人はあまり多くありませんでした。
西国分寺でも、MOのドラフトでも、青いカードの点数を高く見て、それらが流れてきたら真っ先にピックする。 その方法でドラフトをしている時に、色が競合する事はありませんでした。 こちらが青を枯らすことで、ただでさえ白のカードで競合しやすいのに、もう一色の青すら流れて来ないとなれば、同卓の人達は青白を作ろうという気には中々ならないのではないでしょうか。
白の強力なカードは受けが広いので、色変えをしやすいというのも、青白放棄を後押しします。 もちろん、環境に対する理解度が進む=他のプレイヤーも青のカードを優先的にピックするようになるようになれば、こうしたピックが通用しなくなるとは思います。 しかし、準備期間僅か1週間というこのGPの時点では、これは非常に有効だと考えたのです。
こうして、ドラフトにおける私の方針は決まりました。 積極的に青いカードピックし「青を使っていることを主張する」というものです。
・ドラフト1回目 二日目の最初のドラフトです。 朝早くから始まったこのドラフト。 昨日の疲れからか、同卓で1名遅刻してしまった方がいまして、なんと変則的な7人ドラフトになってしまいました。 それによって開始が少しごたついてしまいましたが、何はともあれ無事にドラフトが始まりました。
初手は《謎めいた命令》。
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文句なしに強力な1枚で、かつ「青を使いたい」という自分の願いにもぴったり。 勿論、これに固執して駄目にならないよう、青に行けるかどうかの流れはしっかりと見極めたいと思います。 そんなこんなでピックをして、デッキが出来ました。
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青が強いとは言いました。カウンターも強いと思っています。 でも、さすがにこれはやりすぎた・・・と思いましたが、ピック中に楽しくなってしまったので、割り切ってカウンターをいっぱい取りました。 そうしたらフィニッシャーとなる《狡知》も流れてきたので、喜んで「青白パーミッション」的なものに。
結果:3-0 《狡知》がいる場で相手の天使を打ち消せたり(つまり、こちらの手駒として使用できます)、ここで引ければという場面でカーンをトップデックしたりと、幸運にも恵まれました。 また、相性の良い「ドメイン」に2回当たったのもあり、全勝出来ました。 いよいよこれは、プロツアーの権利が見えてきました! (編:現在のGPでは、マッチポイント39点、即ち13-2の成績を残せばプロツアーへの参加権利を獲得出来る。かつてはこのスコアはTOP8に入れるものだったが、参加者が増えた最近のGPでは2敗でTOP8残れずということがザラにある。それに対する救済として出来た制度だろう。)
・ドラフト2回目 いよいよ、予選ラウンド最後のドラフトです。 ここを2-0できればIDで、13-1-1でTOP8。 2-1でも、プロツアーの権利獲得です。 もともとの目標はプロツアーの権利だったので、それに手が届くところまできたここでは何とか獲得したいところです。
そう気合を入れて臨んだところ、一番卓となりフィーチャー席に呼ばれました。 回りをジャッジやスタッフなど色んな人に囲まれて緊張せざるを得ないのですが、幸いGP静岡で同じような経験をしているため、初めての時に比べて多少はマシでした。 冷静に、普段通りに、を心がけながらピック開始です!
1-1:《トゲ撃ちの古老》 |
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かなり強力なレアです。 赤黒が組めれば理想ですが、どんなデッキで使っても強力な1枚。 初手としては十分です
1-2:《銀白のスフィンクス》 |
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!! 来ました。超強力レアです。 上家はどうやら青を避けたようですね。 また、アンコモンには《クムラックス》もありました。 もしかしたら、この2枚を見て両者を戦力として用いる「金属術」で被るのを嫌がったのかもしれません。
1-3:《エーテル階級の騎士》 |
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対抗:《噴出の稲妻》《血塗れ角のミノタウロス》
青白を目指すか、青赤を目指すかの分かれ道です。 すでに《クムラックス》という強力アンコモンを流していますし、これを下家にいるプレイヤーに《きらめく鷹の偶像》と合わせて取られていれば、最低でも1名とは目指すデッキが被ってしまいます。即ち、逆回転の時に必要なカードが流れてくる確率が低くなってしまいます。 その上、《トゲ撃ちの古老》をあきらめる事にもなります。
対して、赤いカードをピックすれば、強力レア2枚をあきらめることなく進むことが出来ます。 しかし、悩んだ末、私は《エーテル階級の騎士》をピックしました。 3手目にこれが流れてきたのは、「金属術をやれ」というサインである事を信じてのピックです。
1-4:《エーテル階級の騎士》 |
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来ました! 完全に成功です。 3手目の《エーテル階級の騎士》は、信じた通り上家からのサインでした。 ここからは、《厳粛な空護り》や《拘引》などをピックしていきました。
そして・・・
1-9:《きらめく鷹の偶像》 1-10:《クムラックス》 |
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一周してきました。 「金属術」、卓1です。 この時、プロツアーの権利は獲得したんじゃないかと思いました。 それほど都合の良い流れです。 その後も無駄ピックもほとんどなく、最終的に綺麗なデッキが完成しました。 |
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マナサポートがない分、色事故だけが怖いですが...それにもデッキは答えてくれました。 2ターン目に《エーテル階級の騎士》がほぼ確実に出てくれまして、危なげなく13回戦目を勝利。 そして挑んだ14回戦目。 ここで勝てばプロツアーの権利、そしてTOP8が確定です!14回戦目:「白黒スピリット」 |
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綺麗な白黒デッキでした。 《名も無き転置》が2枚入っており、シナジーを形成するスピリットだらけ。さらに《オルゾヴァの幽霊議員》といったボムもきっちり入っており、死角は殆ど無いデッキだったと思います。
1戦目 4ターン目《錆びた秘宝》。 5ターン目《錆びた秘宝》。 6ターン目《錆びた秘宝》。 |
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戦場に並ぶ3体の《錆びた秘宝》。 レアの《先駆のゴーレム》を超える最強のゴーレム軍団で地上を制圧し勝利!
2戦目 《名も無き転置》によってこちらの生物が倒され、《病に倒れたルサルカ》によってさらに生物が倒されながら転置を回収。 とどめのオルゾヴァで負けです。
3戦目 マリガンして初動3ターン目という、非常に苦しい動き。 そして、4ターン目のアクションもクリーチャーですらない《錆びた秘宝》。 本当に錆びついています...。
しかし、5ターン目にもう一枚の《錆びた秘宝》を追加! トップデックした《ダークスティールの城塞》も並べ、金属術達成!これで地上は盤石。 そこから6ターン目に青マナを立たせて《銀白のスフィンクス》をキャストし、空も地上も完璧に! 最後にまた3枚目の《錆びた秘宝》を引いてきて、地上を3体のゴーレムが固める中、悠々とスフィンクスが殴り切りました。
という事で、13勝1敗でプロツアーの権利が確定、続く15回戦をIDしてTOP8確定です。 ゲーム中は集中していてあまり意識しませんでしたが、この瞬間、目標を達成できたのです。 対戦が終わった後、相手の方に「Good Luck!」と応援して頂きました。 これは本当に嬉しかったです。 試合を観ていた友人達にも祝福して頂き、思わず涙腺が緩んでしまいました。
その後、晴れ晴れとした気分で会場を散策。 丁度、GP千葉会場内で行われる結婚式が始まっていました。 普段なら「爆発しろ」と思わなくもない私ですが、今回ばかりは心から祝福です。 満面の笑みで新郎新婦に拍手を送りました。
さて、結婚式も終わりトップ8の発表です。 順位を見てみると・・・1位通過! 決勝ドラフトにおいて、すべて先手を取れる権利を手にしました。 これも本当にラッキーです。 ここまで来たのだから、優勝して帰りたい。 その思いが去来した時、最後のドラフトが始まりました。
・決勝ラウンド 決勝ドラフトが始まる前に、簡単な説明などでしばらく待機する時間がありました。 その間に周りを見てみると、なんと豪華なメンバーでしょうか。 言わずと知れたプロツアー・世界選手権王者、森さんと彌永さん。 リミテッドマスターとして知られる金さん。 ワールドマジックカップ元インドネシア代表のアルバートさん。 新進気鋭のチーム、チーム豚小屋メンバーの松原さん。 カードショップ晴れる屋で行われているタイトル戦、神決定戦でモダン神の称号を手にしていた砂田さん。 また、初日の2敗から6連勝して波に乗っている清水さん。
右を見ても左を見ても強敵ばかりです。 ここで3回勝つという事は、もしかしたらグランプリ初日の9回戦を全勝で終えるより難しいかもしれません。 そう感じさせる程のメンバーです。 特に、彌永さんは私の憧れでもありました。 初めて見たマジックのプロツアー中継・世界選手権2011。 そこに映っていたのが、「ケッシグランプ」、通称「彌永ケッシグ」を使う彌永淳也さんだったのです。 リアルタイムでその活躍を見たというのもあって、私にとって彼は、ジョン・フィンケルよりも偉大な人物かもしれません。
さて、決勝ドラフトについてのお話をしましょう。 といっても、そこで展開された多くの事は公式のカバレージや生放送に載っています。 皆さんも既にそちらをご覧になられたかもしれません。 なのでここでは、私の考えや悩んだ事、感じた事について書きたいと思います。
今回のドラフトは今までのように甘くはありませんでした。 恐らく、私よりはるかに環境を理解している方々が相手です。 今までのような完璧なデッキにはならず、非常に難しい選択を迫られました。 デッキリストに記入し提出したメインデッキは、「青白金属術」です。 しかし、実は時間ぎりぎりまで悩んでいました。 《宮廷のホムンクルス》《マイアの処罰者》《さびた秘宝》の3枚を使わず《ヘリウム噴射獣》や《ヴィグの移植術士》の非アーティファクト・クリーチャーを使う。 あるいは、土地バランスを若干変更し、島を増やして《狡知》と《冷静な反論》を使う。 結局メインボードは金属術で行った方が勝率は高いだろうという考えでこの形になりましたが、毎ラウンド毎にサイドボードでデッキの形に変化を加えていました。
1回戦目:清水さん(ドメイン) 【観戦記事】準々決勝:清水 亮太(東京) vs.松本 友樹(東京)
1戦目はマリガンスタート。 しかし先手の利を生かし、2ターン目、3ターン目と強力なカードを展開し、上手くかみ合い勝利できました。 最終的には《力強い跳躍》をプレイして《ミラディンの十字軍》を飛ばして勝ったのですが、清水さんのデッキには《噴出の稲妻》が入っていて、それをトップデッキされていた場合は負けなので非常に悩みました。 |
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「結局はやらなければならない」という事で、思い切ってキャストすると運良くこれが通りました。 しかし、これをプレイした瞬間は、冷や汗が止まりませんでした。
2戦目は対戦相手の《軋み森のしもべ》が止まらずに負けです。
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このカードがキャストされる4ターン目。そのタイミングで手札には《冷静な反論》と、戦場には十分な数の土地はありました。 しかし、ドメインで怖いのは5ターン目の《空に届くマンタ》だろうという事で、そのターンはマナを消費して展開してしまったのです。 結局そのまま軋み森に倒されてしまいました。 勝利に向かうには展開しないわけには行かなかったので仕方無いのですが、手札のカウンターを見ながら、もどかしい思いを感じていました。
3戦目は清水さんがマリガン。 こういうのはあまり良くないかもしれませんが、正直に言うとマリガンを宣言された時、思わず心の中でガッツポーズをとりました。それだけ、清水さんのデッキに勝つのが一筋縄ではないと感じていました。 こちらの動きは2ターン目《突風掬い》、続けて《太陽槍のシカール》です。 しかし、手札が芳しくなくこれ以外のアクションはまったくありませんでした。 もし清水さんが2/2のクリーチャーを1体でも出すことが出来たら、私は負けていたと思います。 幸いそうはならず、彼のファーストアクションは《テゼレットの計略》。それも2ライフを支払って。 結局そのまま2マナクリーチャーたちが殴りきって勝利となりました。
ドメインというデッキの性質上、何が飛んできてもおかしくありません。 相手にしていてこんなに怖いデッキは無くて、いつ《大竜巻》が来るか、《噴出の稲妻》が飛んでくるかと気が気ではありませんでした。 何はともあれ、無事勝利出来て良かったです。
2回戦目:森勝洋さん 【観戦記事】準決勝:松本 友樹(東京) vs. 森 勝洋(東京)
プロツアーチャンピオン(世界選手権2005)との対戦です。 楽しみではありましたが、面と向かうとやはり圧倒されるものを感じます。 ちなみに、2回戦目が始まるまで実はかなり長い待機時間がありました。 森さんの準々決勝の試合が長引いた為との事ですが、その間ひたすら一人回しで自分の中の覇気を高める作業に入っていました。 その甲斐があったのかどうなのかはわかりませんが・・・
1戦目、森さんは土地2枚で止まってしまいました。 その間に《ミラディンの十字軍》がぽこぽこ殴り、最後はプロテクションを付けて攻撃を通して勝利。
2戦目もまた、森さんは事故ってしまいました。 マリガンからの土地1ストップ。 こちらは3ターン目の《ミラディンの十字軍》。 今日一番のぶん周りを見せ、プロツアーチャンピオンに勝利することが出来ました!
・・・しかし、まだまだボスラッシュは続きます。 森さんを倒した先には、あの彌永さんが待ち構えていました。
3回戦目:彌永淳也さん 【観戦記事】決勝:彌永 淳也(東京) vs. 松本 友樹(東京)
実は以前、彌永さんと少しお話したことがありました。 それがあったからかはわかりませんが、決勝が始まる際にとても気さくに話かけてくれました。 そこがとても嬉しくて、そして同時に緊張もほぐれていきました。
1戦目の初手は、実はマリガンするか大いに悩みました。 1ターン目《宮廷のホムンクルス》は魅力的ですが、手札を見るとその後が続きません。 1マナのアクションがあっても大した事は出来ないのならマリガンが正解だったのではないかと今でも悩んでいます。 結果としては、ほとんど手札のカードを消化できないまま、いいようにやられてしまいました。 《幽体の行列》を引き込んだことでチャンスは生まれましたが、彌永さんのきっちりとしたプレイングでそれも潰されてしました。
しかし、実はこの試合にも、私に勝つチャンスはありました。 非常に細い道でしたが、最後のターンにサイクリングした《ガラス塵の大男》。
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これを、前のターンの自分のメインフェイズで行い《島》を引くことで、バウンスと打消しを同時に構える事が可能になります。 そして、次のターンに《力強い跳躍》を引くことで勝利となるのです。 これは確率で考えれば本当に小さな可能性です。 しかし、それでも勝利する可能性はあったのです。 このミスは、大きな痛手でした。
2戦目は緑黒デッキに対するキラーカード、《ミラディンの十字軍》によって勝利しました。 このカードのおかげで、決勝ドラフトの多くの試合に勝利出来ました。 本当に頼もしい奴です。
3戦目は非常に悩ましい試合展開でした。 《先駆のゴーレム》をバウンスした瞬間は最高に気持ちが良かったです。 しかし、そこからまさかあそこまで追いつめられるとは・・・。 最後のスピリット3体でのアタックはとても悩みました。 結局、《巨森の蔦》があれば《先駆のゴーレム》率いるゴーレム軍団が21点叩き込んで終わるのであきらめるほかないと考え、また、除去を引かれていた場合を考えてフルアタックを選択しました。 そしてその結果、勝利する事が出来ました。
優勝です。 人生初の、タイトル獲得。 嬉しいかと言われれば、間違いなくそうなのですが...「実感がない」という方が正しいかもしれません。 実際、最後の瞬間も、グランプリ優勝に対する喜びよりも、あの彌永さんとの激闘を制せたという事が嬉しかったのです。
しかし、その後沢山の人から祝福して頂きました。 おめでとうのメッセージを沢山頂いたり、祝勝会を開いて頂いたりと、本当に嬉しい時間が続きました。 この時に「ああ優勝出来たんだ」と思いました。 優勝したというその実感は、勝利の瞬間より随分遅れてやってきました。
勝てて良かった。 これが、私の素直な感想です。
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5.あとがき。プロツアー『オリジン』に向けて マジックは本当に楽しいゲームです。 負けたら悔しいけど、それでも楽しい。 でも、勝ったらもっと楽しいです。 勝ち続けて、優勝までたどり着いた時、その楽しさは何倍にも膨らみました。 競技として、強いプレイヤーと切磋琢磨するのは本当に楽しいです。 1ターンの差、1枚の差、1点のライフの差。 わずかな違いで揺らぐ微妙なゲームを制した時の喜びは、筆舌に尽くし難いものがあります。その競技における最高峰が、プロツアーです。 私は、プロツアーに出場する事をずっと目標にしてきました。 前回のGP静岡でその権利を手にしたものの、プロツアーが開かれる際にはまだ社会人2週間目という状況。とてもではありませんが長期休暇などとれず、参加することが出来ませんでした。 しかし、今回は違います。 夏季休暇が使えるというベストなタイミング! 何も心配することなく、全力で挑めます。 このプロツアーは、スタンダードの1年の間で最も広いカードプールが使えるという、私が一番好きなタイミングでもあります。 私の持てる力を最大限発揮して、5敗以内で終える事(マッチポイント33点以上を獲得すれば、次のプロツアーへの参加権利を獲得出来る)を目指して、頑張りたいと思います。
最後に こんな素敵なイベントを主催、運営して下さったカードショップ晴れる屋様。 また、グランプリに携わった全てのカードショップの皆様。 運営を行ってくれたジャッジの皆様。 皆様のおかげで、楽しい週末を過ごすことが出来ました。 また、本戦サイドイベント問わず、グランプリに参加された皆様。 本当にお疲れ様でした。
一緒に練習して下さった西国分寺の皆様。 沢山アドバイスを頂いた三原さん、市川さん。 優勝する事ができたのは間違いなく皆様のおかげです。 また、応援して下さった皆様。 祝福の言葉を下さった皆様。 とても嬉しかったです。 この結果は皆さんのご協力があったからこそです。 本当にありがとうございました!
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※編注:記事内の画像・リンクの一部は、以下のサイトより引用させて頂きました。 『マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト』 http://mtg-jp.com/ |