脊髄移植/Spinal Graft
タグ:Card of the Day, MTGシングル, Spinal Graft, テンペスト, 岩SHOW, 脊髄移植Card of the Day -今日の1枚- 2015/09/03
脊髄移植/Spinal Graft
意味は分かるが、聞き慣れなさ過ぎてちょっと待ってくれ、となるカード名がマジックには多数存在する。《脊髄移植》、漢字の意味は分かる。ただ、そんな移植手術って聞いたことないぞ...骨髄移植は耳にするが。それは白血病なんかの治療で、骨髄液を患者に注射する手術である。それだけの手術ではあるが、同じ父母を持つ兄弟姉妹間でも拒絶反応が出ずに無事に移植が可能な確率は25%と低く、難しいものであることがわかる。これが液どころか、脊髄そのものの移植となれば...まず元の脊髄ぶっこ抜いた時点で普通は死ぬ。そこは医療の進歩と、魔法の世界を信じよう。その上で、他人の脊髄...つまりは背骨を移植されるわけだ。やっぱり拒絶反応で一発アウトだろ。そこはご安心を、ここで言う脊髄とは、他人のものでは御座いません。
移植されるのはファイレクシアの科学を用いて作られた、どんな肉体も従わせることの出来る機械のそれ。ファイレクシア人でないものを奴隷として隷従させる場合、脊髄をコントロールしてしまうのが最も手っ取り早いようだ。機械の脳を作り移植するのは難しいしコストもかかるのだろう。イラストを見るに、背中を開いたものに脊髄の方が蟲のように自ら侵入しようとしている。生産も手術も簡単、植え付ければこの脊髄がもたらす苦痛により従わせることが出来る。実際にこれを移植されているクリーチャーと言えば《司令官グレヴェン・イル=ヴェク》。彼はこれにより強靭な肉体を手に入れたようだが、同時にヴォルラスに刃向えない立場となってしまった。
カードの能力もそれがもたらす恩恵と苦痛を再現している。2マナのオーラで+3/+3修正と破格のサイズアップ。この費用対効果を上回るカードと言うのは今日でもなかなか存在せず、同色の黒で後年登場した《悪意ある力》でも+3/+1と劣る。《悪意ある力》はデメリットなしだが、一方こちらはデメリットあり。当然な話である。それが...呪文や能力の対象となった場合このクリーチャーを破壊する、というもの。これは...かなり厳しい。一度脊髄を植え付けられたが最後、今後何の呪文も、装備品も、そのクリーチャーには恩恵をもたらさない。もたらすのは、死のみだ。
対戦相手のデッキにクリーチャーを対象にとってくるカードがないのであれば、3つもサイズが上がるのはゲームを決する力がある。ただ、ほとんどのデッキが当たり前の様に触ってくるのが現代のマジック。このカードはいっそ、対戦相手のクリーチャーに貼り付けるのに使用した方が有用かもしれない。各種タッパーのようにリソースを失わない能力でサクっと除去してやろう。人の家臣に強制移植手術を施し傷口に触るたぁ何たる鬼畜。勿論、破壊不能を持つクリーチャーにつければ恩恵のみをただただ得る事が可能だ。