刈り取りと種まき/Reap and Sow

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Card of the Day -今日の1枚- 2015/10/24

刈り取りと種まき/Reap and Sow

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 今週は「プロツアー・ウィーク」と題して、プロツアーにまつわるカードを紹介してきた。一般のプレイヤーからは未だ遠い世界であるプロツアー。しかし今では、その場にいなくとも生放送で激闘を観戦できる。本当にいい時代だ。プロツアーの観戦が楽しいのは、やはり同じ国のプレイヤー達が海外で活躍する姿を観ることが出来るというのが多くの要素を占めるだろう。メジャーリーグでイチローが首位打者となった時と、日本人プレイヤーがプロツアーで悲願の優勝を果たした時は等しく興奮したものだ。そう、その優勝を果たしたのは、他でもないあの...

 

 日本人がその栄冠を初めて手にしたのは、ミラディンブロック構築で行われたプロツアー神戸04。もう11年もの時が経ったのか...僕はまだ高校生だったな。当時、月に1、2回ちょっと遠出して遊びに行くカードショップには、雑誌でその顔を見たことがある日本のプロプレイヤー達が集っていることが多かった。...正直、怖かったのでとても声をかけられず。でも、時に楽しそうに・時にヒリつくような真剣さで彼らがマジックをプレイしているのを、チラっと見るのは良い刺激になったなぁ。なかでも、眼力はイカツイながらも、真剣にマジックをしている姿が絵になるあるプレイヤーを、かっこいいなと思ったものだ。雑誌で名前見るたびに「やっぱりあの人、すごいんだな」と小さく感動していた。

 

 話を戻して...プロツアー神戸。戦前の予想では、「親和」一色に染まるだろうとの声が大きかった。何せ、全力の「電結親和」である。アーティファクト・土地も、《頭蓋骨締め》さえも禁止されていない。すべてをなぎ倒す最強のビートダウン...これを使うのか、対策するのか。メタられてもなお強いと信じて「親和」を使ったプレイヤーも少なくなく、結果二日目進出者数は堂々の1位。そんな環境で決勝まで駒を進めたのは...「親和」2、「赤単(ビッグレッド/バーン)」5、「12post」1というメンツ。対親和デッキが躍進し、これらがぶつかり合う決勝ラウンドとなったのだ。決勝のカードは「ビッグレッド」vs「12post」。「12post」は今日の1枚《刈り取りと種まき》と《森の占術》を追加の《雲上の座》としてカウントすることからこの名がついた、ビッグマナデッキだ。あふれ出るマナから《歯と爪》→《白金の天使》+《レオニンの高僧》で不死の状態を作り出したり、純粋に《ダークスティールの巨像》素出ししてブン殴ったり。この《刈り取りと種まき》は相手の土地を割るもよし、こちらの土地を増やすもよし、シブい仕事をするなかなか優秀な呪文だったのだ。特に、《ちらつき蛾の生息地》《隠れ石》があるこの環境では、それらに対処できることには大きな意味があった。"双呪"で唱えると、両方の効果を発揮し対戦相手とのマナの差をつけることが出来る。これは、他のビッグマナ系デッキに対する絶大なアドバンテージとなる。自身の戦場に持ってくる土地はアンタップインで種類も問わない。これで《雲上の座》を持って来れば、実質マナコスト0のフリースペルになったり、むしろマナが増えたりすることもあるだろう。緑の万能さが溢れており、素晴らしい。

 

 決勝戦でも、クリーチャー化する土地を落とせる除去の本領発揮と《ちらつき蛾の生息地》を割って粘ろう、とするも...「ビッグレッド」側のプレイヤーはこれを《爆片破》で投げつけて、残りライフを2点に減らし、次のターンのトップデックで勝負を決めた。この決勝を戦ったのは、かの殿堂入りプレイヤー・昨日も紹介したGabriel Nassifと、上述の僕があこがれていたかっこいいプレイヤー、ご存じ・黒田正城だ。

 

 あれから11年。憧れだったチャンピオンは、今は僕の隣に座り、モニターを眺めながら「青黒勝ってるの、こら不愉快やわ~」と雑な解説をしている。黒田さん、あの時は直接言えなかったので、この機会に改めて。おめでとうございます、最高にカッコよかったです。いつも無礼なツッコミを許容していただいて感謝しています。二人でのグランプリの実況解説はもうやっちゃったので...いつか一緒に、プロツアーの舞台で暴れちゃいましょう!

 

 その日を夢見つつ...長くなったから、ここいらで筆を置こう。


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