【GP名古屋2016】スーパーサンデーシリーズ・スタンダード Round1 イカラシサトル(千葉) 対 コンドウケイイチ(愛知)

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text by 岩SHOW イカラシ「いや~《面昌体の連結》2枚で、プール終わってましたよ!」 コンドウ「私のプールもほんとひどくて…」 リミテッドGPのSSSの一試合目開始前には、そこかしこの卓でこのような挨拶が交わされる。 もはや様式美すら感じる。ここにいる俺らは皆、不幸なメンバーだ!3敗で2日目進出とボーダーラインが下がったのに、プールがこのザマだぜ! だからせめて、日曜日は勝ちたい。本戦でドラフトをするメンバーとはまた違った勝利への貪欲さ。ギラギラとした勝ちたい気持ちが溢れている。そんなプレイヤーが集結し、スタンダードの完全新環境で火花を散らす! sss1 右:コンドウ 左:イカラシ そんな中でも、輪をかけて勝ちたいと思ってるんじゃないかな?というプレイヤーに心当たりがあった。 前回のグランプリ神戸2015のSSS、同じくスタンダードで争われたトーナメントで準決勝まで進出し、そこで敗れたのがコンドウケイイチ。このトーナメント、もう一方の準決勝を勝ちあがったプレイヤーは決勝で対戦相手をトスし、決勝戦が争われることなく優勝者が決定したのだ。即ち、コンドウは実質決勝戦で敗れた形となる。これは悔しいはずだ。この日に勝ちたい気持ち、高まってるんじゃないだろうか?そこで、1回戦のフィーチャーマッチに選んでみた。

Game.1

先攻のコンドウが《平地》から《アクロスの英雄、キテオン》と軽快なスタート。 コンドウと言えば、エクステンデッドで開催されたグランプリ神戸2009のTOP8入賞でも知られる。 当時使用していたのは「ナヤZoo」。《野生のナカティル》ら軽量クリーチャーを1ターン目から展開しガシガシ殴っていくビートが好きなのだろう、レガシーでもそういったデッキを愛用しているようだ。 そのコンドウがキテオンを展開する。これは、前述のSSSでコンドウが使用していた「白緑戦士」と同じ動きだ。ということは、前環境から引き続きで使っているデッキなのか? 一方のイカラシは《乱脈な気孔》をタップインで置いてエンド。「アブザンアグロ」か「ダークジェスカイ」か…。 コンドウはキテオンでアタック後、《ドラゴンを狩る者》。1マナ2/1を2ターン連続展開で上々の立ち上がり。 対してイカラシは《樹木茂る山麓》から《森》を持ってきてX=1の《搭載歩行機械》。「アブザンアグロ」のようだが、果たして新カードは飛び出すのか? コンドウも《吹きさらしの荒野》から《梢の眺望》を持ってきて、これで「緑白戦士」であることが確定。《絹包み》で歩行機械を解体し、本体にダメージを与えてゆく。 イカラシはフェッチランドをセットするのみで動けず。 今のうちに押し切りたいコンドウだが、追加のクロックは能力の誘発なしの《白蘭の騎士》ではやや物足りないか。 イカラシは4ターン目に《先頭に立つもの、アナフェンザ》で2/1達の道を阻む。 しかし、このブロッカーが何であろうが、次の瞬間に勝負はついていた。フルパンチからアナフェンザの脇を抜けたクリーチャーに《強大化》! コンドウ 1-0 イカラシ コンドウ「リミテッドの練習ばっかりやってたから、アブザンに何入ってるかな…」 イカラシ「まあまだ僕もちゃんとした大会出てなくて、ゲートウォッチの何が強いかとかはまだ…」 最新セットが発売されて僅か一週間後のグランプリである。日本国内のメタゲームは、ここから始まるのだ。

Game.2

1ゲーム目と同じく1ターン目は《乱脈な気孔》タップインのイカラシ。 これを処理するか《始まりの木の管理人》のキャストくらいしかやることのない「アブザンアグロ」としては、何もアクションは起こしていないが悪いスタートでもない。 コンドウはフェッチから《平地》→《ドラゴンを狩る者》とこちらも良いスタート。 《ラノワールの荒原》を置き、躊躇せず《絹包み》を使用し、このドラゴンハンターを除去するイカラシ。 コンドウは続くターンにセットのみでアクションはなく、出鼻を挫かれる形となった。 それでもコンドウ、続くターンには変異クリーチャーを召還。これを見届けたイカラシは、コンドウのターンエンドに《アブザンの魔除け》。フェッチと合わせてライフは失うが、序盤殴られていないため余裕を持って2ドロー。 そして4ターン目。お待ちかねの新カード登場! それは、ゼンディカーを裏切りエルドラージを神と崇める《永代巡礼者、アイリ》。 白黒の2マナ2/3接死というスペックは、前環境のアブザンのトレンドだった《荒野の後継者》の上を行くスペック。 クリーチャーを生け贄に捧げる能力も、《搭載歩行機械》と相性が良いので両者がデッキに入っているのも納得。これが、《ドロモカの命令》でサイズアップと格闘を行い、変異クリーチャーは死亡(正体は勿論、《棲家の防御者》)。 いい動きをされてしまったコンドウだが、負けじと二代目ドラゴンハンターを投下しつつ、《勇敢な姿勢》でアイリを破壊。 ならばとイカラシは《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を叩きつける。2/2トークンを出してエンド。 このギデオンが一気に勝負を決めてしまうか…と思ったが、そこはコンドウも同じマナコストのカードで応戦。 《城塞の包囲》だ。モードは”カン”を選び、これにより自身のターンの戦闘を迎えるたびにクリーチャーが二回り大きくなっていくことに。早速《ドラゴンを狩る者》が中級ドラゴンならば狩れる4/3になりギデオンを攻撃。ギデオンの同盟者がこれをチャンプすることに。 イカラシはギデオンに続き「アブザンアグロ」の顔である《包囲サイ》を投下。しかしこれを踏み越えるサイズに育ったハンターがギデオンに向かって直進。これを再び同盟者がチャンプする。 コンドウは攻撃の手を緩めない。4マナしかない状況で2マナで《棲家の防御者》を素出し。攻めっ気全開、次のターンからはドンドンドンと成長してブロックされなくなってゆくことに…。 イカラシはここでなんとか除去を引いて盤面を捌きたいところだがかなわず。 更なる《勇敢な姿勢》で際を除去られ、4/3と6/5に殴られギデオンは撤退。さらには《徴税の大天使》まで展開されるという、もはややられたい放題。 ちょっとやそっとの抵抗ではこの成長する軍団を止められず、《アラシンの先頭に立つ者》を絡めた攻撃で一瞬でライフは溶けてしまった。 2-0 コンドウwin! 試合後、感想戦をする2人に新カードについて聞いてみた。 イカラシは先ほどのアイリと、サイドボードに《自然のままに》。 コンドウはグランプリへ向けてリミテッドしかしておらず、完全に前環境のデッキとのこと。 もし新しいカードを使うのであれば、《ギデオンの誓い》は候補になるそうだ。《絹包み》を割る目的で唱えられた《ドロモカの命令》をスカらせることが出来るエンチャントというのは悪くないのでは、とのこと。 コンドウ「ただ3マナ域が渋滞しちゃうんで、その辺を調整しなきゃですね。」 自身の白単タッチ緑のデッキを、カビの生えたゴルゴンゾーラチーズに例えるコンドウ。前環境のままのデッキというのも、なるほど熟成されたチーズを思い起こさせる。 新カードを使いたい一心で歪な構成になってしまっているデッキを蹴散らして決勝まで駆け抜けたり、あるいは新カードの強さを身をもって知ることになるのか…どちらに転ぶか、結果発表が楽しみである。 グランプリ・名古屋2016 サイドイベントカバレージページに戻る