text by Seigo Nishikawa
6勝1敗、残りは2試合。勝てばベスト8に近づき、敗れれば予選敗退が濃厚となる。いつだってバブルマッチというものは切ないもの。それだけに勝てば普段よりうれしいし、敗れればいつもより悲しみがあるものだ。
そこで出会うのが知人同士ともなれば、さらにその思いは倍加するのであろうか。
BIGMAGIC Sunday Legacy Round8 坂本力祐(兵庫)vs原田暖平(大阪)
Game1
先手の原田は6枚でゲームを開始し、《Tropical Island》から《貴族の教主》、続くターンも《Tropical Island》から《思案》《ぎらつかせのエルフ》と自身が感染デッキであることを公開する。
本日二度目のフィーチャー席となる坂本、原田の《ぎらつかせのエルフ》を、自身の第2ターンに即座に《突然の衰微》。感染デッキは、クリーチャーを膨れ上がらせながら守るというスペルを多く持つため、除去は基本的に自身のターンに行うのが望ましい。
それでも坂本がフルタップに成っていることには違いなく、原田は《ぎらつかせのエルフ》を追加すると《不毛の大地》で《Bayou》を破壊する。
これへの対抗手段を求め、坂本は《霧深い雨林》を置くと、《渦まく知識》で不要牌をライブラリーに押し戻すと、即座にこれをシャッフルとレガシーの基本の動き。《突然の衰微》といい、シャッフルといい基本動作を外すことはない。だが直接の除去は見つからず《Bayou》《死儀礼のシャーマン》を出してターンエンド。
ここは待望の攻撃タイミングとなる原田の《ぎらつかせのエルフ》。 坂本のハンドを確認すると、《激励》をキャストする。これは《Force of Will》でカウンターされるも、まずは2つの毒が坂本に与えられ、原田は《墨蛾の生息地》をセットしてターンを終了。
これには坂本から《不毛の大地》が飛ぶのだが、それに対して原田は、これを即座にクリーチャー化すると、《巨森の蔦》をキャストし破壊を防ぐ。《墨蛾の生息地》への直接的な対処法は《不毛の大地》《四肢切断》ぐらいしかない、ということもあり、そのうちの一つをかわされてしまった坂本はやや不利な状況か。
原田の《墨蛾の生息地》が坂本に毒を積み重ねていく。ようやく第二の《不毛の大地》を引き当て、今度こそ破壊に成功しするのだが、原田は《荒廃の工作員》に攻撃の旗手を切り替える。今度は除去カードが求められるのだが、それを手に入れるより先に、坂本の全身に毒が回る。
坂本 0-1 原田
Game2
今度は坂本が1マリガンを喫するが、《Tropical Island》から《祖先の幻視》待機と、上々の立ち上がり。手札には《Bayou》と《突然の衰微》も控え、この《幻視》の待機が解けてしまえば坂本有利となりそうだ。
さらに坂本は《Bayou》から《悪意の大梟》とつなげ、原田の感染クリーチャーにとって強大な防御壁を打ち立てる。
ならばと原田は《悪意の大梟》にブロックされない《荒廃の工作員》を出すのだが、坂本は当然のように《突然の衰微》。それでも《ぎらつかせのエルフ》を《呪文貫き》のバックアップを必死に通し、これを《悪意の大梟》にブロックさせると、満を持して《墨蛾の生息地》がセットする。
攻防を通じてお互いの手札が摩耗していく中、遂に4ターンの時間が経過。坂本の 《祖先の幻視》が解決され、一気にハンドの枚数差をつけると《思考囲い》で《巨森の蔦》を強制ディスカード。これで原田の手札は《激励》のみとなる。
しかし原田、ここで引き入れたのは《ペンデルヘイヴン》。《墨蛾》が突如パワー2となり、坂本に襲い掛かり、まだまだ勝敗の天秤はどちらに転がるともわからない。続くターンも坂本の妨害は無く4つ目の毒。
先に見ているように原田には《激励》が残されている。あっという間に追い込まれた土俵際。それでも坂本は顔色一つ変えずに、静かにドローをし、静かに引きこんだカードを戦場へ。
坂本「あそこで引けたのは完璧でしたね」
そう振り返るトップデッキは《不毛の大地》。
《墨蛾の生息地》が破壊され、場から感染クリーチャーがいなくなると、遂に坂本は《ヴェンディリオン三人衆》で反撃を開始。すべてを裁ききられてしまった原田にできるのは、「負けです」と宣言し次の試合に頭を切り替えることだけであった。
坂本 1-1 原田
Game3
坂本は《Tropical Island》から《死儀礼のシャーマン》と動くと、原田は2ターン目に、《屍百足》を出すことでこれに応じる。だが即座に《Bayou》が調達され《突然の衰微》で《屍百足》が排除されると、原田は第二の矢を打ち出すことができない。
《死儀礼のシャーマン》を重ねる坂本に対し、《貴族の教主》を連弾する原田。こつこつと《貴族の教主》が攻撃をしかけていくのだが、坂本のライフは果てしなく遠い。
原田「今日はここまで、2回教主で殴りきってますからね」
感染デッキはこの「教主ビートダウン」となることが稀に生じ、時に《強大化》や《Berserk》などでとてつもないダメージをたたき出すことがあるのだが、しかしやはりあくまでサブプラン。ある程度ライフを削ってからでなければやはり限界がある。
2度ほど攻撃したところで、坂本から《ヴェンディリオン三人衆》。これでバーサーク・《激励》*2《輪作》という手札を公開され、原田に感染クリーチャーがいないことを確認すると、《湿地での被災》が《貴族の教主》に襲い掛かる。
遂にクリーチャーを全て失ってしまった原田。ならば《輪作》で《墨蛾の生息地》を用意したいところなのだが、それを十分にわかっている坂本は《不毛の大地》がしっかりと準備していた。
そのままライフが尽きるまで、原田がクリーチャーに出会うことは無かった。
坂本 2-1 原田
原田は敗北に悔しがるが、同時に勝者を称え、そして坂本が決勝に出れることを喜んだ。坂本は原田の激励に素直に感謝すると、友の思いも背負いBMSレガシー2度目の優勝に向けて、力強い一歩を踏み出した。
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