Browse the Deck! Vol.3 Eldrazis in Legacy
タグ:Browse the Deck!, くーやん, エルドラージ, デッキ紹介, ミシュラの工廠, レガシー, 不毛の大地, 日下部恭平, 読み物こんにちは~!
今週はモダンで絶賛大暴れ中の「エルドラージ」デッキのレガシー版をネットから《拾い読み》! モダンのメタゲームを激変させたエルドラージ達は、レガシーでも一線級のようです。 まだレシピが固定されていないので様々な形がありますが今回は良さそうなレシピを2つピックアップしてみました!
いつもは生物から見ていくのですがエルドラージデッキのレガシーとモダンの大きな違いが土地なので今回は土地から見ていきます。
まずはこちらのDADAWSONさんのレシピから。
こちらのレシピはChannel Fire Ball謹製のモダン版無色エルドラージをそのままレガシー版へとアップデートしたような構成になっていますね。
最初に勝ちだしたレシピなのでレガシー版エルドラージの初期型とも言えます。
それでは細かく見ていきましょう。
4:《古えの墳墓》
3:《裏切り者の都》
1:《水晶鉱脈》
4:《エルドラージの寺院/Eldrazi Temple》
4:《ウギンの目/Eye of Ugin》
モダンで2種類8枚しか使えない所謂2マナランドが、レガシーだとこんなに使えます。
モダン以上に安定して2ターン目に4マナ出るのでこれだけで安定性が非常に増しています。
また古くからある「ドラゴンストンピィ」のような2マナランドを多用するデッキと比較しても
エルドラージデッキの方が2マナとして使えるランドの枚数が多いのと、後述する生物の質がいいので遥かに安定していると言えます。
4:《ミシュラの工廠》
モダンでの《変わり谷》の枠ですね。
エルドラージはマナ加速以外部族シナジーの無いデッキなので、複数枚引いた時に有効な《ミシュラの工廠》に差し替えられています。
2:《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
まぁ定番ですね。《ウギンの目》からマナが出ますがレガシーだと相手の《Maze of Ith》からもマナが出て相手を助けたりすることもありそうですね。
2:《魂の洞窟》
説明不要ですね。《Force of Will》や《相殺》などをあざ笑う定番のぶっ壊れランドです。
土地の合計枚数は24枚とレガシーのデッキの割には多めに取られていますね。
《猿人の指導霊》まで考えるとかなりの確率で1ターン目から2マナ以上の動きが取れるように構成されています。
あとはモダンと違って《流刑への道》を打たれることがほぼ無いため《荒地》のような基本土地はまったく採用されていません。
つまり《血染めの月》を貼られるとほぼ100%負けてしまいますね。
それも、出る前に盤面を固めることや早いターンの《難題の予見者》が解決してくれるのでしょうか・・・
固定生物 4:《エルドラージのミミック》
4:《果てしなきもの》
4:《作り変えるもの》
4:《現実を砕くもの》
4:《猿人の指導霊》
4:《難題の予見者》
モダンの「無色エルドラージ」レシピとまったく一緒ですね。
レガシーでも1ターン目ミミック→2ターン目予見者→3ターン目《現実を砕く者》のブン回りを越えていけるデッキはそうそう無さそうですね。
特に《現実を砕く者》は従来の「~ストンピィ」デッキのガンであったコントロールデッキの「《精神を刻む者、ジェイス》でバウンスしてからのブレスト」を許さないので
非常に頼もしいフィニッシャーです。
また生物デッキ全般に強い《真の名の宿敵》を単体で苦にしないのも非常に優秀です。
《果てしなきもの》は流石にレガシーでは弱そうですが、《稲妻》が基本除去のデッキに対しては2ターン目から4/4でプレイ出来ればかなりの脅威になりそうですね。
2:《四肢切断》
2:《歪める嘆き》
メイン戦は自分のやりたいことをやった方が強そうですが、最低限の妨害カードが採用されています。
《四肢切断》はコンボデッキ相手以外では腐りませんし、《歪める嘆き》は特にこの手のデッキが永遠に打ち消せないでいたソーサリーを打ち消せるので革新的なスペルです。
4:《虚空の杯》
4:《アメジストのとげ》
モダン「無色エルドラージ」でもおなじみの《虚空の杯》に加えて、《アメジストのとげ》まで採用されています。
モダンに比べてさらに軽いスペルが採用されるレガシーでは、1マナ重くなるだけでも機能不全に陥るデッキが多いうえにこのデッキだとかなりの確率で1ターン目にプレイ出来るので納得の採用です。
どちらかを1ターン目にプレイして通れば、そこから生物を連続でプレイしているだけであっという間に勝てると思います。
メインボードを見た感じ、当たり前ですがモダンと比べてかなり安定した動きが出来そうです。
フェアデッキに対しては相手より早い動きが出来るため有利に立ち回れそうですし、流行りの「むかつきストーム」などのコンボにも2種類の置物と《難題の予見者》で有利に立ち回れそうです。
反面、墓地を利用する「ドレッジ」コンボや「土地単」のようなデッキにはだいぶ厳しそうです。
それではサイドボードを見ていきましょう。
デッキの特性上ほぼ無色しか出ないため、サイドカードも当然無色のカードのみで構成されています。
1:《歪める嘆き》
サイドから追加する場合はほぼ追加の《否認》と考えて入れることが多そうです。
《実物提示教育》や《終末》を一度打ち消せば、クロックの速いデッキなのでそのまま勝ててしまうことも多いでしょう。
間違っても《死儀礼のシャーマン》を除去するためにサイドから追加しないように!
2:《終末を招くもの》
息の長いデッキと対戦する時にサイドから入れたいカードですね。
「奇跡コントロール」や「Nic-Fit」の様なデッキと対戦する時は追加の脅威としてぜひサイドインしたいです。
2:《墓掘りの檻》
墓地対策兼「エルフ」などのライブラリーから場に出てくる生物対策ですね。
しかし2枚は心もとないような・・・《虚空》の杯を採用しているので自分でキャスト出来ずに首を絞めてしまうこともありますし、
「土地単」のようなデッキには墓地対策として機能しないので《フェアリーの忌み者》や、展開を阻害しないで《虚空の杯》にも引っかかりにくいであろう《トーモッドの墓所》などに差し替えてしまってもいいような気がします。
あとは元々フェアデッキには有利なデッキなので、もう少し墓地対策に枚数を割いた方が良いような気がします。
4:《ファイレクシアの破棄者》
このデッキには採用されていない《真髄の針》と比較すると、殴れる、《虚空の杯》に引っかかりにくい、《ライオンの瞳のダイアモンド》などのマナ能力を止められる、除去されやすいと、どちらがいいのかはメタ次第ですね。
逆に《真髄の針》は《虚空の杯》に引っかかりやすいですが、苦手な《不毛の大地》や「土地単」の《演劇の舞台》+《暗黒の深部》コンボを止めることが出来るので、個人的には針の方に軍配があがります。。
2:《漸増爆弾》
こちらもモダンと同じく、無色デッキがエンチャントやアーティファクトに抗うために採用されています。
《罠の橋》や《血染めの月》を張られてしまった場合、このカードを気合いで3回寝かせないと勝てなくなります(笑)
実は《天使への願い》トークンや裏返った《秘密を掘り下げる者》など、プレイ後即起動でやっかいなパーマネントを破壊出来る場面もあるので、見た目よりは優秀です。
2:《次元の歪曲》
追加の生物除去ですね。
あんまり自身のエルドラージのパワーを上げる場面も無さそうですので、追加の《四肢切断》や他のカードで良さそうだったりするのですが果たして・・・
2:《梅澤の十手》
ご存じ対生物デッキ最終兵器。
ミラーでも強力ですし、メタによってはメインに入れてもいいくらいのカードです。
無色しか取れないためサイドカードには限りがありますから、どうしても出来ることが限られてくるカード群になってしまいがちですね。
この構成だと《罠の橋》のようなカードに苦戦してしまうため、相手の置物に対処しながら単体で勝ててしまう《絶え間ない飢餓、ウラモグ》や《解放された者、カーン》などを採用してもいいと思います。
また《全ては塵》のような一枚で劣勢を跳ね返せるカードも面白そうです。
それではこちらのレシピを踏まえたうえで...別の方のレシピを見てみましょう。
それではこちらも土地から見ていきましょう。
4:《裏切り者の都》
3:《ウギンの目》
先に紹介した方のレシピと比較すると《ウギンの目》が1枚減って《裏切り者の都》が増えています。
伝説である《ウギンの目》が複数枚手札に来ることを考慮しての調整でしょう。
3:《魂の洞窟》
こちらもほぼ固定ですね。
後述する《変位エルドラージ》をプレイするために枚数が1枚増えています。
4:《不毛の大地》
先ほどのレシピでは《ミシュラの工廠》の枠でしたが、《アメジストのとげ》とのシナジーや苦手な土地コンボに対抗するために《不毛の大地》に差し替えられています。
2:《Karakas》
レガシーでは対象に困らないこのカード。
無理なく積める構成なので非常に好印象ですね。
土地の枚数が25枚と、1つ目のレシピより1枚多く採用されていますが、これは後述する《モックス・ダイアモンド》を考慮しているものと思われます。
このレシピも一切基本土地を採用していないのでとにかく《血染めの月》が怖いですね。
生物
3:《変位エルドラージ》
3:《終末を招くもの》
4:《現実を砕くもの》
4:《難題の予見者》
モダンではレギュラー陣の《エルドラージのミミック》《果てしなきもの》《作り変えるもの》が不採用となっています。
ミミックは後手の時に弱かったり、後続次第では腐ってしまったりと強さにムラのあるカードですし、《作り変えるもの》は《剣を鍬に》や《終末》のような墓地に落とさない除去の溢れるレガシーでは少しパワー不足かもしれませんので、より安定を求めた結果これらのカードが抜けていったものと思われます。
また《果てしなきもの》もどれだけサイズが大きくても所詮はバニラなので採用が見送られているようです。
代わりに採用されているのが《変位エルドラージ》・・・。
シナジーらしいシナジーは《難題の予見者》を使いまわすくらいしかありませんが、土地単コンボの《マリット・レイジ》トークンや《昆虫の逸脱者》に変身した《秘密を掘り下げる者》、「SnT」デッキの《引き裂かれし永劫、エムラクール》、強化された感染生物、ミラーマッチの《果てしなきもの》など相手の生物に起動したい場面はそこそこありそうです。
そしてもう1枚が《終末を招くもの》ですね。こちらも1枚でゲームを決めてしまえる性能のクリーチャーですし、同じく苦手としていた《マリット・レイジ》トークンやエムラクールなどの生物に間に合えば対処できるようになっているので、初動が命の《果てしなきもの》よりも優秀な場面は多そうです。
4:《磁石のゴーレム》
定番の《猿人の指導霊》が不採用になっています。代わりにというわけではありませんがエルドラージ以外の種族からこういったデッキ定番の《磁石のゴーレム》が採用されています。
個人的にも《不毛の大地》、《アメジストのとげ》と相手のマナを縛るカードが採用されていますので、ダメ押しとなるこのカードはエルドラージを押しのけて採用しても良いカードだと思います。
相手によっては《虚空の杯》→《磁石のゴーレム》と、この2枚だけで勝ってしまうこともあります。
先に紹介したレシピと比べると《エルドラージのミミック》からのブン回りを捨てた代わりに、序盤は他のカードで相手を妨害し中盤以降速やかに相手を倒すように生物がシフトしています。
また《変位エルドラージ》、《終末を招くもの》のおかげでクリーチャーを介するコンボデッキ体制は以前よりもついたと言えます。
ただし《エルドラージのミミック》からのブン回りや単純なサイズ勝負で強い《果てしなきもの》を捨ててその部分を別のデッキの対策に割いているので、同じエルドラージデッキのミラーでは対処出来なければあっと言う間に負けてしまうこともあるでしょう。
インスタント
2:《四肢切断》
3:《歪める嘆き》
この2枚は同じように最低限の妨害として採用されていますね。
意識するデッキによって枚数は変わるでしょう。
アーティファクト
4:《虚空の杯》
4:《アメジストのとげ》
1:《三なる宝球》
マナ拘束の追加として《三なる宝球》を1枚採用しています。
確率上では9枚あると1枚はほぼ初手にあることになるので、とにかく1ターン目は相手の動きを妨害するぞ!と言うデッキ製作者の意志が読み取れます。
ただし《三なる宝球》は3マナ必要なので、絶対に1ターン目から妨害するならこの1枚は《抵抗の宝球》のような2マナでプレイ出来るスペルの方がいいかもしれません。
3:《モックス・ダイアモンド》
《猿人の指導霊》の代わりのマナ加速として採用されています。
場に出てしまえばその後も使い続けれるので《猿人の指導霊》よりも優秀な場面は多いでしょう。
前述のようにこいつが採用されていることで、土地の枚数が25枚に増量されています。
これなら手札に2枚《ウギンの目》が来てしまっても安心ですね。
《猿人の指導霊》と同様、無色マナは出ないので注意が必要です。
こちらのレシピのメインを見る限りは、より安定感を求めた結果強さにブレのあるカードを極力排除し、序盤は相手を妨害しその後高マナ域生物を展開して勝つ!という、より単純かつ強力なデッキに進化したかなという気がします。
例えばですが相手のデッキが分からなくて1ターン目に《エルドラージのミミック》と《虚空の杯》どちらもプレイ出来るならどちらからプレイするのか?
といった、答えの無い選択肢が極力起きないように構成されているので(基本的には《虚空の杯》から置くのがセオリーですが、それではミミックはその後弱く、さらにミラーマッチや《虚空の杯》の効かないデッキの場合1ターン無駄にしているのと一緒)、選択肢が限られるからこそ迷うことなく一貫したプレイを続けられる、ということで個人的にはこの構成は非常に好印象です。
それでは、続いてサイドボードを見てみましょう。
メインから白マナを採用している割にはサイドカードは全て無色マナですね・・・やはり《魂の洞窟》は色マナ換算出来ませんしサイドカードに色マナを要求するカードは厳しそうです。
3:《フェアリーの忌み者》
一番読まれにくい墓地対策ですね。
自分の虚空の杯にも引っかからないので好印象ですがせっかく白をタッチしているのでRest in Peaceのような墓地対策も使ってみたいですね。
ただしその場合マナベースの再構築は必須です。
1:《稲妻のすね当て》
除去がたくさん入ったようなデッキに対して追加のチャリスX=1としてサイドインするのでしょうか?
《磁石のゴーレム》に付くと強そうですが、メインアタッカーの《現実を砕くもの》とあまり噛み合っていなかったり、《終末》のような除去には何の意味もないので本当に必要なのかは懐疑的です。
2:《ファイレクシアの破棄者》
2:《真髄の針》
こちらのレシピでは散らして採用されていますね。
《師範の占い独楽》を指定する場合は針の方が大体優秀ですし、「ANT」のようなコンボデッキを相手にする時は《ライオンの瞳のダイアモンド》を指定出来る破棄者の方が優秀です。
こんな感じで相手によって使い分けが出来るので散らすことには賛成ですが、そもそもこの辺も本当にデッキに必要なのかどうか、研究の余地はあります。
2:《漸増爆弾》
「ベルチャー」のゴブリントークンや《束縛なきテレパス、ジェイス》などまだまだ処理したいカードはたくさんあります。
このデッキで《真の名の宿敵》に対処出来る唯一のカードなので、それらを見かけたらサイドインしましょう。
2:《大祖始の遺産》
追加の墓地対策。やはりレガシーはサイドに5枚くらいは墓地対策を取りたいですね。起動にマナがかかるので、墓地を使うコンボよりもスゥルタイカラーの《タルモゴイフ》や《死儀礼のシャーマン》を使ってくるデッキに対して有効です(とは言え、墓地コンボ相手には全力でインしますが)。
2:《次元の歪曲》
追加の除去的立ち位置。
紹介したデッキ以外にも色々なエルドラージデッキのレシピを見たのですが、ほぼ確実にこのカードが採用されていました。
個人的にはレガシーレベルのカードでは無いと思っているので、《四肢切断》などの他のカードにしてしまった方が良いでしょう。
1:《絶え間ない飢餓、ウラモグ》
「奇跡コントロール」のようなゲームがグダリそうな相手にサイドインすると1枚で勝負を決めてくれるカードですね。
《剣を鍬に》は効いてしまうので過信は禁物ですが、プレイ出来れば大体勝つでしょう。
というわけでSUNYVEILさん型のタッチ白型の「エルドラージストンピィ」のご紹介でした。
何度か文中でも言っていますが、最初に紹介したレシピからブン回りを捨てて安定感を取ったような構成なので、長いトーナメントを戦う場合にはこちらの構成の方がオススメかもしれません。
しかしDADAWSONさんの無色型も、ミミックからのブン回りというどんなデッキにも勝ってしまう利点があるので、どちらが優れているのかはまだこの段階では明言出来ないですね。
2月最後のSCGオープンではミミック、《果てしなきもの》入りで《モックス・ダイアモンド》《Karakas》《不毛の大地》入りという両方のデッキの良い部分を足したような構成のエルドラージを使用した強豪プレイヤーのGerry Thompsonが見事2位に入賞しています。
モダン同様、これから研究が進んで行ってさらなるエルドラージデッキがたくさん出てくるかもしれませんね!
すべてのエルドラージデッキに共通するのは、やはり《血染めの月》に弱いということですね。
とにかくエルドラージをメタりたいなら《血染めの月》や《基本に帰れ》などの触りにくいエンチャントをサイドに取ることをオススメします。
モダンに留まらず、レガシーでもエルドラージ旋風が吹き荒れるのか!?
今後の展開が楽しみですね。
ぜひ皆さんも、それぞれのエルドラージデッキを作ってみてください!
とりあえずこの記事が世に出るころには、僕はグランプリ・メルボルンでエルドラージの海に呑み込まれた後だと思います(笑)
(編:「アブザンカンパニー」を使用してエルドラージデッキには負けてはいないとのこと)