BIG MAGIC所属プロによる『カラデシュ』注目カードTOP3レビュー&『カラデシュ』参入後のスタンダードで活躍するカードを大予想!!

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これまでマジックの歴史に存在しなかった"機体"が登場するなど、新たなゲーム展開が予想される『カラデシュ』発売後のスタンダード環境。

このセットで強いカードはどれなのか?勿論それも気になるが、これまでより大切なことはこのセットの登場により起こるローテーション。
『マジック・オリジン』『タルキール龍紀伝』が退場し、スタンダードが遂に正式な「3ブロック制」に移行することになる。

全く新しい環境において、果たして現存する『戦乱のゼンディカー』『ゲートウォッチの誓い』『イニストラードを覆う影』『異界月』のカードの評価はどう変化するのだろうか。
BIG MAGIC所属プロの3名に『カラデシュ』TOP3と既存のカードで評価が変わるであろうカードTOP3を大胆予想してもらった!

「松本友樹の予想」

『カラデシュ』TOP3

1位:《金属製の巨像/Metalwork Colossus》

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なんともそそられるカードではないでしょうか!
11マナ10/10というサイズは凄いけど、除去耐性もなく回避能力もなし。
...しかし、これが5マナなら。3マナなら。そして0マナなら。

このカードはデッキ構築での大きな縛りと実戦での事故のリスクを併せ持つ、見た目通りの...あるいは見た目以上に扱いづらいカードです。
しかし、そのリスクを乗り越えた先には莫大なリターンが待っています。このカードを5ターン目に2マナで唱えられる構築が許されるのなら、《ウギンの聖域》を含めれば2~3枚を一気に展開することが可能です。そんな動きに対応できるデッキは、スタンダードにはほとんど存在しないはずです。

そしてもし、もし万が一それが対処されたとしても、墓地から手札に回収できる能力で無限に帰ってきます。
その際には《屑鉄場のたかり屋》が最高の相棒になってくれることでしょう。
あるいはこの能力をメインに据えることもあるかもしれません。《霊気池の驚異》を使ったコンボが開発されれば、フィニッシャー兼コンボパーツに任命される可能性があります。
さらに《屑鉄場のたかり屋》、《コジレックの帰還》と《ウギンの聖域》の全部乗せデッキなんかも面白いですね。
いずれも未知数ではありますが、可能性はトップクラスです。

私はこのカードが『カラデシュ』で最高の一枚に為り得ると考えています。

 

2位:《高速警備車/Fleetwheel Cruiser》

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5/3速攻トランプルは4マナのクリーチャーとしては破格のスペックです。
このカードが蔓延してしまえば、恐らくプレインズウォーカーはこの世から消え去ってしまうでしょう。
反面、脆い点も確実にあります。まず1点目。それは"機体"というシステムそのものの弱点です。
このカードは出たターンはクリーチャーであるものの、その次のターンから機体になります。
機体はカード1枚の働きをするために、自身とクリーチャーという2枚のカードを必要とします。このカードの搭乗では合計パワー2を必要としますが、普通、パワー2以上のクリーチャーで喜んでタップしたいものはあまりいません。
そもそもクリーチャーがいなくて搭乗できないという事もあるでしょうし、2体で殴りたいのに1体でしかアタックorブロックできないというもどかしさを感じることもあるでしょう。
もう1点はタフネスが3しかないという点です。

例えば4ターン目に走らせたこのカードが《蓄霊稲妻》で落とされてしまうことや、パワー3のクリーチャーが立っていてアタック出来ないなんて事もあるでしょう。
とはいえタフネスが3しかないというのも、カードパワーの前には許容できる範囲ですし、その弱点よりもパワーが5でトランプルがあるというメリットがより目につきます。
また機体の性質におけるデメリットもメリットとの表裏一体であり、一概に悪くも言えません。
このカードが強力なのは一目瞭然であり、数少ない付け入る点の一つであるタフネス3というポイントに対して、3ターン目までにパワー3のクリーチャーを用意して対抗する、というのが環境の基準になってもおかしくは無いでしょう。

 

3位:《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance》

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このカードは非常に難しい立ち位置にいると思います。
単体のカードパワーでは恐らく『カラデシュ』の全カード中No,1ではないでしょうか。
しかしながら環境がこのカードを、正確に言えばプレインズウォーカーそのものを許してくれるかどうかが不明です。2位にあげた《高速警備車》が蔓延すれば、トークンを出して身を守ることが出来ないプレインズウォーカーを使う事に大きな躊躇いを持つでしょう。
そして《高速警備車》に耐える事が出来るプレインズウォーカーは、そのどれもが対プレインズウォーカーにおいて非常に強力です。

それらのどちらかでも環境に蔓延してしまうと、チャンドラはその力を生かすことが出来ないでしょう。しかし、チャンドラ自身の実力は本物です。
機体と《生命の力、ニッサ》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を持たない相手に対しては、圧倒的な実力を見せます。
唱えたターンに忠誠値を高めながら相手の盤面に干渉する呪文を唱えたり、《竜語りのサルカン》のように盤面を対処しながら自身という脅威を残したり。ゲーム後半のトップ勝負においても最上級で、リソースを1枚増やすか相手にダメージを与えるか、いずれにせよ決して腐ることはありません。4ターン目に着地したチャンドラが、たとえ忠誠値が1になったとしても生存して5ターン目を迎えれば、そのままゲームを決してしまう可能性すらあります。

《面晶体の記録庫》と同等のマナ加速をしつつ、状況次第ではリソースを増やすか盤面を対処してくる厄介なプレインズウォーカーが場に残るのです。チャンドラは、冒頭でも述べたように4ターン目に唱えた返しのターンで即座にやられてしまう可能性が危惧されています。
しかし、もしそれを即座に対処出来なければ、そのままゲームを決定づけてしまうパワーを持っているカードでもあります。
『カラデシュ』のカードリストを眺めている現段階では「チャンドラというカードは強い!」としかいう事は出来ません。
機体やニッサやギデオンの使用率と、チャンドラがもたらすリターンとを秤にかけた上で、チャンドラは使われる事でしょう。

 


『カラデシュ』環境で評価が変化するカードTOP3

1位:《アーリン・コード/Arlinn Kord》

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『イニストラードを覆う影』発売前、彼女は非常に高い評価を得ていました。
しかし『カラデシュ』発売の直前である現在は...影も形もありません。

その理由は大きく2つあります。

1つは《集合する中隊》擁するデッキに対して、アーリンはあまりにも無力だったという事。
彼女が生み出す狼トークンは、2/3軍団の前に無力であり、+1をして攻めるにも《反射魔道士》という驚異の前には心もとありません。
2つめは《アーリン・コード》の性能を生かし切る赤緑を用いたアグロデッキが成立していなかったという事。

彼女の能力のうち、+1能力で速攻を付与する能力こそが最も強力だと私は考えています。
それに加えて状況に応じてトークンを出しつつ変身し、《稲妻》や小型《踏み荒らし》を扱う選択肢をあわせもつという事が彼女の魅力です。
その魅力を100%生かせるのはアグロデッキなのですが、それが成立できていないのが『カラデシュ』発売直前のスタンダード環境なのです。しかし『カラデシュ』の発売により、この2つの問題は解消されます。

まず《集合した中隊》のローテーション落ちにより第1の問題は自動的に解消されました。
そして第2の問題についても、非常に有望なカード達が収録されたことにより大きな希望が見えました。
《通電の喧嘩屋》というまさに赤緑を組む大きな理由になる1枚の存在。
そして《新緑の機械巨人》や《生命の力、ニッサ》といった《アーリン・コード》の+1能力と非常に相性の良いカード達。
赤緑の2色になるかさらに1色が加わった3色になるかは不明ではありますが、《アーリン・コード》を十分に生かす土台は整ったといっても問題無いでしょう。

 

2位:《隔離の場/Quarantine Field》

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『戦乱のゼンディカー』に収録された《隔離の場》は、少なくともメインボードにおいては姿を見せる事はありませんでした。
その最も大きな理由は...ご存知の通り環境を支配し続けた軽量除去カード、《ドロモカの命令》の存在です。
ローテーションにより《ドロモカの命令》が姿を消した事は、《隔離の場》に限らずあらゆるエンチャントにとって朗報と言えるでしょう。それに加えて、『カラデシュ』より新規に収録されたメカニズム、機体の存在も《隔離の場》を後押ししています。

機体は基本的にはソーサリータイミングの除去の対象にならず、インスタントタイミングの除去ですら対戦相手が搭乗しない限り使えないという弱点があります。
しかし《隔離の場》ならそれらの問題を一切気にすることなく対処が可能です。メインボードから対処されてしまう危険性がほぼ無くなった《隔離の場》は、これからの除去として活躍する可能性が十分にあります。

 

3位:《世界を壊すもの》

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環境初期はランプ系のデッキが活躍しやすい時期ですね。
《世界を壊すもの》はそのランプでの活躍が確定しているカードです。
これまでのランプデッキにおける7マナといえば《龍王アタルカ》の存在が強烈で、《世界を壊すもの》はそれと常に競争していました。しかし《龍王アタルカ》のローテーション落ちにより、《世界を壊すもの》が7マナ域として確定しました。
また4マナのマナ加速にチャンドラと《面晶体の記録庫》という2種類の強力なジャンプアップカードが存在することにより、7マナのカードの重要性がこれまで以上に上がる可能性があります。
『カラデシュ』環境で暴れるであろう機体や《ドロモカの命令》から解き放たれたエンチャントを処理できるという点も注目される理由です。

このポイントは非常に大きなものです。
これまで《世界を壊すもの》はその大ぶりな性質から、ランプデッキ以外での居場所はありませんでした。

しかし『カラデシュ』の世界では、もしかするとランプデッキ以外でも採用されるかもしれません。
メインボードではちょっと難しいでしょうが、ある程度土地が伸びる事を想定されているのであれば、サイドボードに居場所を見つける可能性は十分にあります。
「ティムール現出」や「ジャンド昂揚」あたりは丁度いいかもしれませんね。

 


「井上徹の予想」

『カラデシュ』TOP3

1位:《密輸人の回転翼機/Smuggler's Copter》

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2マナで3/3飛行というサイズはアタッカーとして非常に優秀です。
機体なので"搭乗"要員が必要ですが、搭乗1なので乗組員の確保も容易です。
ルーティング能力が攻撃時(ブロック時)誘発なのも使いやすくて良いですね。機体の特性上、除去可能なタイミングがコントローラーに依存するので、
クリーチャー除去への耐性が非常に高くなっています。
無色ということで様々なデッキに採用されることが予想される為、
どのデッキもこのカードに対処する手段をしっかりと用意する必要がありそうです。

 

2位:《生命の力、ニッサ/Nissa, Vital Force》

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同じ5マナの《世界を目覚めさせる者、ニッサ》と比べると初期忠誠度が2も上がり、クリーチャー化した土地は5/5と大幅に強化されています。出してすぐ+1の能力を使うと忠誠度は6となり、《高速警備車》や《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》からの一撃を受けても落ちません。

クリーチャー化した土地がアンタップされることも考えると、クリーチャーの攻撃だけでこのプレインズウォーカーを落とすのは非常に困難です。
さらに-3能力はパーマネント回収となっており、一度破壊しても2枚目以降のニッサが1枚目のニッサを回収出来るため、
リムーブ等で対処しない限り盤面にプレッシャーを与え続けます。
ただし《世界を目覚めさせる者、ニッサ》とは違い、クリーチャー化した土地は次のターンには元に戻ってしまうのでその点は注意が必要です。

 

3位:《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》

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2マナでパワー3という高スペックに加えて、注目すべきはその能力。
墓地から戻ってくるクリーチャーといえばイニストラードブロックのスカーブ達がいますが、
こちらは手札の代わりに墓地を使うので、アドバンテージ面では非常に優秀。更にこちらはアンタップ状態で戻ってくるので、機体との相性も良いですね。
アーティファクトなので、アーティファクト参照系カードの安定した運用にも一役買います。
無色の2マナ3/2というだけでも最低限のスペックは確保されているので、
黒を主体としないデッキにも小量の黒マナと共に採用されたりするのではないでしょうか。

 


『カラデシュ』環境で評価が変化するカードTOP3

1位:《苦渋の破棄/Anguished Unmaking》

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《ドロモカの命令》が落ちることによって使われ始めるであろう各種エンチャントや、
『カラデシュ』で登場した機体にも対処可能と、対象の広さはNo.1。
リムーブ除去であるという点も、《屑鉄場のたかり屋》や《秘蔵の縫合体》といったカードに対して有効で痒い所にも手が届く良いカードです。
3点のライフルーズはビートダウンデッキ相手だとつらいものではありますが、その対象の広さから白黒系のデッキでは間違いなく採用されるカードになると思います。

 

2位:《スレイベンの検査官/Thraben Inspector》

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『カラデシュ』では場のアーティファクトを参照するカードが多く収録されており、
アーティファクトである手掛かりを生み出す調査は相性抜群です。
調査を持つカードの中で最も軽い1マナながら、自身も1/2のクリーチャーということで
前スタンダード環境でも様々なデッキに採用されていましたが、新スタンダード環境では手掛かりがアーティファクトであることや、
1/2のクリーチャーも搭乗要員として優秀ということで、今まで以上に重宝されるカードになりそうです。特に《模範的な造り手》《発明者の見習い》と相性が良く、これらを軸にした白赤ビートダウンデッキの流行が予想されます。

 

3位:《永遠の見守り/Always Watching》

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《ドロモカの命令》が落ちることで、これまで以上の活躍が期待される一枚。
全体+1/+1警戒付与の効果は特にビートダウン同士の対決で大きな優位に立つことが出来ます。
『カラデシュ』はビートダウン向けの強いカードが多く収録されている印象を受けるので、
新スタンダード環境ではこのカードが活躍する場面が増えるのではないでしょうか。

 


「瀧村和幸の予想」

『カラデシュ』TOP3

1位:《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel》

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コストの踏み倒しには夢がある。コンボ好きのおじさん達が使用用途を考えすぎて寝不足になるような伝説のアーティファクトがやってきた。エネルギーの供給自体は《織木師の組細工》等のカードを使えば簡単に達成できるだろう。問題は「何のカード」を踏み倒して使用するかだ。エムラクール?ウラモグ?その答えは世の中のコンボおじさん達が導き出してくれることだろう。

 

2位:《密輸人の回転翼機/Smuggler's Copter》

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《密輸人の回転翼機》は、《空中生成エルドラージ》や《地下墓地の選別者》から登場するトークンと相性がよい。
3マナのカードを出しながら搭乗し攻めたてる美しい流れは、新時代のウェイ・C・ソイヤを感じるほどだ。
また、ルーター能力のおかげで手札でダブつく機体を捨てることができる点にも注目したい。
少し古いカードの例えになってしまうが《海の神、タッサ》同様、気兼ね
なくデッキに4枚採用できるカードだろう。

 

3位:《霊気拠点/Aether Hub》

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アンタップイン、エネルギー供給、5色のマナ&無色マナが出せるとんでもない土地。
おまけにレアリティがアンコモンでお財布に優しいと褒めどころが満載すぎて椅子から転げ落ちてしまう。
1000枚買う必要はないが、4枚は所持しておこう。

 

『カラデシュ』環境で評価が変化するカードTOP3

新環境で活躍するカードについて瀧村プロに伺ったところ、以下のメッセージを受け取りました。
この画像の真意を受け取って、新スタンダード環境で先駆ける者となってほしい!

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これにて今回の発売前予想は終了!
BIG MAGIC所属プロ達の読みは当たるのか...彼ら3名が参加するプロツアー『カラデシュ』にその答えがある!


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