Ricochet

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Card of the Day -今日の1枚- 2016/12/1

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予期せぬ失敗というものもある。作り手側にとっての灯台下暗し、イベントなんかでも○○で××なことしたら面白いんじゃないか?と企画してみたら××を知っている人がほとんどいなくて予想外に食いつきが悪かったり、なんてことはザラにある。確かに後から冷静に見返すと、そうだよなぁ~的な。今日紹介するカードもそんな感じで、当初の予定とはちょっとはずれてしまったカードとのこと。とは言っても銀枠世界のお話なんで、そうシリアスなもんでもない。ほんの些細なミスだ。

 

初代銀枠セット『アングルード』は通常のセットには含まれない類のカードが多数盛り込まれている。イラストが飛び出している、枠の色とマナの色が違う、次のゲームに影響を及ぼす、プレイヤーに何かしらの動作を求めるもの...イロモノばかりだ。その中にデザイン自体はともかく、アプローチはそれほど奇抜でもないような...いややっぱり特殊かなというカード群がある。チームメイト・サイクルだ。これらは各色1枚ずつ、コモンとアンコモンに散って存在する。いずれもが多人数戦、特にチームメイトが存在する皇帝戦といったフォーマットでその真価を発揮するように作られている。このサイクルに属する赤のカードが《Ricochet》だ。聞きなれない単語だが、リコシェと読む。その意味は「跳弾」や飛び跳ねるさま。転じて、思いもかけないとばっちりを受けることをこのように表現することもあるらしい。イラストでは何かしらの呪文が、その唱えた者の意志とは無関係に柱に跳ね返って飛んで行ってうわぁ危なぁぁぁいというワンシーンが描かれている。

 

カードとしては、呪文がこの図のように跳ね回るようにデザインされている。単一のプレイヤーを対象とする呪文は、狙った相手に飛ぶとは限らない。たとえば《稲妻》をプレイヤーAが唱える。対象はプレイヤーBだ。ここで、ゲームに参加している全プレイヤーは6面体のダイス、サイコロを用意する。皆でそれを振って、最小の目を出したプレイヤーにこの呪文の対象は変更される。プレイヤーCは思わぬダメージを受け、残りライフ3点だったプレイヤーDは額の汗をぬぐう...という、パーティーゲームなワンシーンを楽しんで貰おうとする1枚だ。赤らしい、混沌をもたらす類の呪文である。

 

このカードの何が失敗かというと、チームメイト・サイクルに属するくせにチームメイトという単語がカードに書かれていないことだ。これはサイクルデザインの上では失敗であったが、副産物的にチーム戦以外の多人数戦でも能力が活きるカードとなった。このカードは、後の赤いカードのデザインに影響を与えている。赤特有の、訳わからんことしまっせカードが多人数戦で楽しいということを、マローをはじめとする開発スタッフはこのカードで認識することとなったのだ。後に《混沌の掌握》のようなアッパーバージョンも登場している。

 

こういったカードでEDHのデッキを固めていた僕のようなプレイヤーにとっては、ある種夢のカードだ。最下位のプレイヤーが複数人いると、それらのプレイヤーがサドンデスを行う。学校の居残りみたいで、早くしろよ~と言いながら待っていたいものだ。スタックに乗っているのは《ソリンの復讐》とかがいいな。


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