【GP静岡2017春】「グレードアップ」争奪レガシー 決勝 高野 成樹(東京都)vs 長北 真(神奈川県)
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by Tatsuo Sekimoto
(写真 左:高野 成樹 右:長北 真)
何とも奇妙なこととなった。
規定により先手・後手を選ぶ権利があるのはスイス7位の高野である。普通はまず権利が回ってこない順位なのだが...
そう、この対決はスイス7位と8位の対決である。だが、その実力が他のプレーオフ進出者に劣っているわけではない。むしろ最高峰の二人と言っていいだろう。
高野のデッキは奇跡コントロール。「エルフマスター」で名高い高野だが、奇跡の腕前も一級品だ。
レガシー選手権2016 Spring優勝、BMOvol.7優勝、GP千葉Top32、エターナルフェスティバル2016Top8...と積み上げた戦績をあげればきりがない。ここまで来ると「ミラクルマスター」と呼ぶべきではないだろうか。
対する長北のデッキはギミック満載のゾンバードメント。と表現したいところだがもはやそう呼んでいいのか分からない。たしかにデッキの代名詞である《ゴブリンの砲撃》は入っているのだがデッキの核はそこではない。
デッキの核は《秘密の備蓄品》だ。レガシープレイヤーで《秘密の備蓄品》と言われてぱっとカード・テキストが思い浮かぶプレイヤーが何人いるのだろうか?だが、このカードがとんでもなく強い。
さらに装備品枠には《融合する武具》が採用されている。二つともレガシーではまず見ないカードだ。興味深いことこの上ない。
全く予想がつかない決勝が始まった。
Game1
(長北 真)
後手の長北は《死儀礼のシャーマン》が初動。
高野は対応して《渦まく知識》。少し考えて《死儀礼のシャーマン》を通す。
2ターン目に高野は《相殺》を場に出す。ライブラリー操作を済ませたうえでの設置だ。
長北は《信仰無き物あさり》で《恐血鬼》を捨てつつドローを進める。さらに《相殺》に動きが無かったことからトップのカードは1マナではないという情報を得られた。長北は《ギタクシア派の調査》で手札を確認してから《陰謀団式療法》を唱える。高野の手札から《議会の採決》を捨てさせる。さらに《不毛の大地》をセットして《恐血鬼》を復活させる。
長北はさらに次のターンには《苦花》を出しゲームを加速させる。
2枚目の《恐血鬼》が出たところで高野も《思案》で《師範の占い独楽》を見つけ《相殺》+《師範の占い独楽》を揃える。
長北は《恐血鬼》2体とフェアリー・トークンで殴りかかり高野の残ライフを7点まで削る。
駄目押しに長北は《梅澤の十手》をプレイするが《相殺》で《相殺》が公開されカウンター。だが、まだまだ長北がゲームの主導権を握っている。
クリーチャーを対処したい高野はフェッチランド、《師範の占い独楽》、《思案》を駆使して《終末》を見つける。
長北はエンド前に《死儀礼のシャーマン》を起動して高野ライフを4点にする。もうあとわずかだ。
だが、高野は長北の戦闘に合わせて《終末》を奇跡する。盤面が一気に更地と化す。
しかし《死儀礼のシャーマン》が死に際に2点を持っていったのと、《苦花》が高野を追い詰め続ける。
そして満を持して登場した《秘密の備蓄品》。紛争により霊基体・トークンが現れる。さらに《墓穴までの契約》まで出し、高野のクリーチャーの生存権がなくなる。
長北の墓地に温存されていた《恐血鬼》と霊気体・トークンが高野に襲いかかるが、高野は《終末》で凌ぐ。
次のターンに長北は《ギタクシア派の調査》をプレイ。
高野は長北の墓地を確認するとそこには《陰謀団式療法》が。2枚の手札は全て《相殺》のため落とされるわけにはいかない。
《陰謀団式療法》を通すつもりがないなら《ギタクシア派の調査》もここで通す理由がない。
《師範の占い独楽》をタップして《天使への願い》を奇跡する。X=2でプレイして天使・トークン2体を出しつつ《相殺》で《ギタクシア派の調査》を打ち消す。
だが、これも長北の計算の内だった。トップが1になったことを確認して長北は《融合する武具》を出して霊気体トークンに付けてアタック。4/3になったため通すことが出来ない高野。
相討ちにより《墓穴までの契約/Grave Pact》が誘発して天使が全滅した。
長北のギミックに対する対抗手段を失った高野は投了した。
高野 0-1 長北
Game2
後手の長北は《思考囲い》を唱えることから始める。が、呻いたのは長北。手札には《島》《天使への願い》《渦まく知識》《瞬唱の魔道士》《意思の力》《仕組まれた爆薬》と強い。
実は高野は《思考囲い》に対応して《渦まく知識》唱えている。その上で公開された手札がこれだ。トップ2枚がもっと強いことを考えると頭が痛くなる。悩んだ末に長北は高野の手札から《仕組まれた爆薬》を捨てさせる。
(高野 成樹)
高野は《師範の占い独楽》をプレイしてエンド。
露払いを済ませた長北は《秘密の備蓄品》をプレイ。
しかし高野の《師範の占い独楽》がタップされ飛んできたのは《呪文嵌め》!アドバンテージエンジンを許さない。
3ターン目に長北は《信仰無き物あさり》で《恐血鬼》を2枚捨て《ファイレクシアの塔》をセット。
次のターンにはフルアタックしつつ第二メインに《未練ある魂》を唱える。そしまたも《融合する武具》を唱える。
どかどか出てくるクリーチャーに装備されてはたまらん!とばかりに高野は《意思の力》でカウンター。反撃の機を待つ。
高野は長北の次のアタックを《天使への願い》でX=3で迎え撃ち返り討ちにする。
すぐさま立て直しを図った長北は、2枚目の《未練ある魂》を両面でプレイして4体のスピリット・トークンを出す。さらに墓地から《恐血鬼》が2体駆け付ける。
高野は天使1体をのこして 2体でアタック。長北は全て通しライフを9点にする。
長北も全力で殴り返して高野の残りライフを7点にする。
その後も高野は長北の3枚目(!)の《未練ある魂》を通常コストの《意思の力》で消すがフラッシュバックが止まらない。都合スピリット・トークン6体と《恐血鬼》2体が場に並ぶ。
長北は《苦花》を唱え、突破を図る。あとは押し切ってしまえばいい。
しかし、高野に2度目の奇跡が起こる。《天使への願い》が再びX=3でプレイされる。
こうなると睨みあいだ。
高野はその間に《精神を刻む者、ジェイス》をプレイ。0能力で赤マナ源と《コジレックの帰還》を見つける。
長北はエンド前に《悟りの教示者》で《ゴブリンの砲撃》をサーチ。これが通れば勝ちだ。
だが、《ゴブリンの砲撃》は高野の《意思の力》が弾く。
耐えた高野はおもむろに《コジレックの帰還》を唱えた。
長北:「どうしようもならないな」
高野 1-1 長北
Game3
長北の立ち上がりは《思考囲い》。高野の手札から《渦まく知識》を奪う。
さらに、先程得た情報から《陰謀団式療法》をヒットさせ《仕組まれた爆薬》も落とす。
3ターン目には《死儀礼のシャーマン》の能力で墓地の《渦まく知識》を消してから、《陰謀団式療法》をフラッシュバック。高野の手札をかき回し続ける。
入念に妨害工作をした長北。今が攻め時とばかりに《恐血鬼》と《未練ある魂》で戦線を構築する。
だが、高野の手札には《コジレックの帰還》がありあっさり全滅する。
しかし、長北にとってこれは問題ない。《恐血鬼》は帰って来れるし、《未練ある魂》もフラッシュバック出来る。第一、長北は高野の手札に《コジレックの帰還》があることをハンデスで確認していた。
勝負往々にして最後まで気が抜けない。全て覆すトップデッキがあるからだ。
そう、高野はこのとき《渦まく知識》引いてしまった。高野の手札から何故いの一番に《渦まく知識》が抜かれたのか。それは横に奇跡呪文があったからだ。
トップに戻らない限りはただの重い呪文。そう思っていた数々が長北に降り注いだ。
高野はまず《終末》で盤面を制圧し、《精神を刻む者、ジェイス》で場を掌握した。
最後に《天使への願い》X=5が長北に襲いかかった。
高野 2-1 長北
高野 win!
「グレートアップ」争奪レガシー優勝は高野 成樹(東京都)!おめでとう高野!!