岩SHOW マジック:ザ・ギャザリング『時のらせんリマスター』プレビュー
タグ:MTGシングル, プレビュー, 岩SHOW, 時のらせんリマスター, 読み物『時のらせん』の衝撃再び。2006年10月、同セットはリリースされた。『時のらせん』『次元の混乱』『未来予知』いずれも過去のカード名から取ったセット名で構成されたブロックであり、どれもがそのセットの中身を的確に表現している。『時のらせん』はその名の通り、過去から続くらせんが具現化したようなセットだった。『スカージ』を最後にカードの枠のデザインが変更となり、それ以降その旧デザインを旧枠と呼ぶようになった。
個人的にははじめて出会ったマジックのカードが旧枠で、青春を共に過ごしたというのもあって旧枠に対する思い入れは非常に強かった。その旧枠が『時のらせん』にて帰還したのだ。
当時のデザインの枠で構成されたセット収録カードに加えて、1パックに1枚タイムシフトと呼ばれるカードが封入されていた。これが最初の基本セットから『スカージ』までの旧枠時代のセットから厳選されたものの再録で、かつ枠デザインも当時のままだったのだ。エキスパンションシンボルは独自の紫色をしており、一部は当時からテキストがわかりやすく変更されているものなどはあったが、90年代の面影を残したカードがそのまま帰還したことには大きな衝撃を受けたものだ。
その『時のらせん』が再びやってくる。『時のらせんリマスター』は『時のらせん』『次元の混乱』『未来予知』から厳選したカードを再録し、1つのセットへと再編したものとなる。同ブロックのカードの中には未だに再録されておらず、かつモダンや統率者戦などのフォーマットで需要が高まっているものも少なくないため、現行のパックからこれを入手するチャンスが訪れたことは喜ばしいことだ。
そしてそのセットにはサプライズが。らせんブロックのお約束だったタイムシフト枠。これがどうなるのかというと・・・これまで旧枠としてカード化されたことのない、つまり『スカージ』以降のカードの中から、選りすぐりのものをなんと旧枠仕様でカード化し再録しているというのだ。
らせんブロックと無関係なものも含まれており、過去から現在にカードがやってきた『時のらせん』とは逆で、現在のカードが過去に向かうという趣向になっている。
上述の通り、僕は旧枠が好きだ。同じ思いのオールドファンも少なくないだろう。そういったプレイヤーにとってはこれはたまらない。セット発表時に公開された《虚空の杯》《流刑への道》の旧枠が琴線に響いたプレイヤーも多いはず。今回はそんな『時のらせんリマスター』から収録カードを2枚ご紹介しよう!
まずは通常カードから。『時のらせん』では一つの試みが成されていた。それは再録できないカードのリメイクである。純粋にカードパワーが高く、スタンダードに与える影響が大変に大きいカードというものは再録を見送らざるを得ない。しかしそれを再びプレイしたいというプレイヤーの気持ちに応えるように、当時のカードパワーのレベルに調整されたものが多く見られた。
また、再録そのものが禁止されていて出来ないカードというものも存在する。それらのテイストは残しつつ、別のカードへと転成させたものがこのセットのレアのサイクルに見られた。それはコストを持たない呪文。マナコストが書かれる部分に何も記されておらず、コストが払えない=唱えることが出来ない呪文達だ。
これをどのように使うのかというと、待機という能力を用いて唱えるのである。待機コストを支払い、それぞれに定められた回数のアップキープを迎えることで唱えられるのが待機能力。即座にその効果を得ることは出来ず、タイムラグが存在する呪文ではあるが・・・それらのベースとなっているのはいずれも過去に名をはせた呪文である。
今回ご紹介するのはそんなサイクルから・・・
《命運の輪》!おぉ~神話レアとして還ってきたのか。確かに初代『時のらせん』当時は神話レアという概念がなかったから、イメージとしてもそれに相応しいこのカードも通常レアだったもんな。
最後に再録されたのは『統率者2016』。5年もの年月の間に、嬉しいことにマジックプレイヤーはそれはもう大量に増えた。世界的に見ても競技シーンはもちろんのこと、統率者戦で遊ぶコマンドフェストというイベントが開かれたりとカジュアルシーンの盛り上がりもすごいことになっている。《命運の輪》はどちらかといえばそういったシーンで輝く1枚だ。
待機4なので唱えられ解決されるのは4ターン後。かなり時間がかかるが、その先に待っているのはすべてのプレイヤーが手札をすべて捨て、7枚ドローするという混沌の世界。統率者戦で用いれば4名がそれを行うわけで、一喜一憂するお祭りとなることだろう。
元になったカードは《Wheel of Fortune》。呪文がもたらす効果自体は全く同じで、イラストも元をかなり意識したものである。《Wheel of Fortune》も統率者戦においてクレイジーな展開をもたらす1枚だが、再録禁止カードであるため入手は困難だ。そういう意味でも、普通に唱えることが可能な本家に劣るとはいえ《命運の輪》が担う役割は大きい。
また、コストがない待機呪文であることは本家《Wheel of Fortune》にただ劣るだけのものでもない。続唱を持つカードとの組み合わせにおいてはこちらが勝ることもある。コストがない、つまり0マナの呪文という扱いになるので点数で見たコストが3以下の続唱呪文から唱えられるのは《Wheel of Fortune》にはない魅力だ。《精神破壊者、ネクサル》のような統率者で用いたり、続唱コンボを活かしてモダンなどでデッキを組んでみたり、夢を広げる1枚だ。何せ7枚ドロー、いつだってたっぷり引きたいのがプレイヤーの性!
ちょっと懐かしい1枚を取り上げたところで、続けてもう1枚。こちらは旧枠に生まれ変わったタイムシフトから!《命運の輪》と同じく赤のカードだ。一体何がくるのか、読めるかな?
《ゴブリンの技師》!『モダンホライゾン』からの再録だ。一言・・・旧枠がよく似合う!ゴブリンというのはマジック最古の種族であり、ユーモラスでクセのあるイラストの数々が黎明期より長らくプレイヤーの心を癒やしていたものだ。ニヤッとしているゴブリンにはシンプルなレンガのような赤の旧枠がよく似合う。
このゴブリンは元になったカードがある。《ゴブリンの溶接工》だ。戦場と墓地のアーティファクトを無条件で入れ替えるという能力の持ち主で、たった1マナというコストの軽さもあって開幕から最重量級アーティファクトを戦場に出すという悪さをしていたものである。これをモダン環境に再録するのは少々カードパワーが高すぎるので、3マナ以下のものだけを戻せるように調整されたこのカードが作られた。
それだけでは物足りない、ということがないようにライブラリーからアーティファクトを墓地に埋めることが出来る能力を与えられ、どちらかといえばサーチカードとしての側面を与えられている。戻せるアーティファクトのコストは制限されたものの、このサーチ能力が強い&3マナ以下でも戦場に出すことでゲームを決定づけるカードは存在するので、溶接工とはまた違った働きでモダンを盛り上げてくれた。
《弱者の剣》《飛行機械の鋳造所》の2枚でトークンを大量生産するコンボとの相性は抜群で、《ゴブリンの技師》とアーティファクト1枚からこのコンボが決まるという場面も演出する。いやぁ、しかし旧枠良いなぁ。これは他のタイムシフトもどんな顔ぶれになるのか、気になるぞ。
『時のらせんリマスター』では《命運の輪》のような通常のカードと、1パックに1枚《ゴブリンの技師》などのタイムシフト・カードが封入されている。タイムシフト枠は一定確率でFoil仕様のものも封入されるとのことで、旧枠の色濃いFoilを愛していたコレクターにとってもそそられるものになっている。
発売日は3月19日!ご予約はお近くのBIG MAGICか、当サイトBigwebにてどうぞ!懐かしさにひたるもよし、当時を知らないプレイヤーは未知の体験をするもよし。過去のセットの再編&旧枠での再録というマジックの新しい試み、パックを開ける喜びが満ちていそうでステイホームのお供にはもってこいだ。