BIG MAGIC OPEN Vol.13 チームモダン決勝ダイジェスト
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BIG MAGIC OPEN Vol.13(以下BMO)はそれまでのナンバリングタイトルを開催し続けてきた横浜を離れ、初の東京都内での開催となった。
東京にも秋葉原店、池袋店を構えるBIG MAGICにとっては念願の大規模トーナメントin東京だったわけだが、問題は会場だ。
トーナメント開催の条件と合致する会場を確保するのは難しいことだが...2020年にリニューアルされた『東京都立産業貿易センター 浜松町館』は「東京の頑張る中小企業を応援します」と銘打たれた総合支援機関だ。
日本のカードゲーム、マジックシーンを盛り上げるために頑張らせていただいております!というわけで、浜松町駅からも徒歩圏内のこの会場を借りて、初となる東京でのBMOが開催可能となったのだ。
しかし、一つ問題が...都立の施設だけあって、撤収時間は厳守!その時刻は21時で、その時点で会場を完全に空っぽにしておかねばならない。
毎度BMOを開催していたり、その他のイベントを行なってきた会場は22時だったり0時を回ってもOKだったり...それらと比べると速やかな撤収作業が要求される大会となった。
その上で、日曜日のメインイベントはチームモダン。
チーム戦というのは仲間同士で相談できるのが醍醐味...であるのだが、それゆえにプレイ時間が余計にかかってしまうという側面も。この日は150を超えるチームが集結し、日本で最強のモダントリオを決めるために火花を散らした。
負けられない真剣勝負!ひとりひとりの成績がチームの勝敗を分ける...そのために制限時間を超えて延長ターンに入ったり引き分ける卓も多くなった。
これはチーム戦においては仕方のないことではある。
その結果、場内で決勝戦までを執り行うことは困難となった。スタッフ間でも事前予想においてそうなることは想定されていたため、最寄りのカラオケ屋さんパーティールームを予約していた。
本来なら場内で全ての試合を終えて、皆で祝福することが望ましい。
しかし...大人の事情というものもある、ということで...「決勝はカラオケで」というのを事前に筆者も認識していた。
しかしながらトーナメントの進行が予想よりも押してしまったため、準決勝から移動することを余儀なくされた。
そんなわけで予選ラウンド8回戦を終え、TOP8の発表を行った直後に準々決勝を開始。
8チーム24名のプレイヤーが激闘を展開し、勝ち残った4チームのメンバー。
主催者・ヘッドジャッジ・撮影スタッフと共に、ビデオカバレージ実況として携わった筆者も、皆でタクシーにて最寄りのカラオケ屋さんへと移動。
団体でのワンメーター移動に付き合ってくれた運転手の皆さんにも感謝。
さて、まずは会場の設営からだ。パーティールームは30名で使用できる大部屋とのことだったが...準決勝2試合を同時に行うためにテーブルを設置したところ、結構ギチギチに。
そんな状況でもワイワイとテーブル設営を手伝ってくれた12名のプレイヤーには頭が上がらない。
特殊なケースすぎて楽しむしかなかったのかもしれない。
参加者のノリの良さに救われる大会となった。ワンドリンク製だったのでソフトドリンクを人数分頼み、試合開始前にヘッドジャッジのコール(アナウンス)で乾杯!どんな大会よほんまに。
では試合の方をダイジェストで。
準決勝
A卓
Ericチーム:ヨーグモス・ジェスカイコントロール・ルビーストーム
Segoチーム:グルール果敢・マルドゥエネルギー・ナドゥ
Ericチームは《有翼の叡智、ナドゥ》デッキがいない構成。そのスロットを務めるのがヨーグモスだが、これには何もさせずに果敢があっという間に殴り切る。
またルビーストームもマリガンに悩まされ、マナが伸びないところをナドゥ側が《造物の学者、ヴェンセール》で土地を戻すなど、事故を後押しして稼いだ時間でナドゥコンボが決まる。
Segoチーム決勝進出
B卓
Horiチーム:エルドラージ・マルドゥエネルギー・ナドゥ
Matsumotoチーム:ナドゥ・ルビーストーム・ジェスカイコントロール
サイド後《減衰球》でエルドラージの行動を否定したナドゥが勝利。
マルドゥがメインを迅速に殴りきり、サイド後はエルドラージの仇と《減衰球》で勝ち。
ナドゥ対ジェスカイは《召喚の調べ》→《陽光浄化者》でエネルギーを0にして《空の怒り》を回避して1ゲーム取り、続くゲームでは《一つの指輪》の返しに《召喚の調べ》がまたも通ってナドゥコンボを完走。
全ゲームが終わればすかさず感想戦、全員でベストプレイを談義するなど、準備時の空気とうってかわってこれぞ競技マジックという雰囲気に。
決勝
Horiチーム:エルドラージ・エネルギー・ナドゥ
Segoチーム:ナドゥ・エネルギー・果敢
予選ラウンド1位vs2位による決勝戦となった
相手チームの「これどう?」「マリガン寄り」といったやりとりに対戦相手が「僕もマリガン寄りです!」とジョークを飛ばすなど、リラックスした空気。
そんなワイワイとした空気のエルドラージvsナドゥ、エネルギー同型を挟んでのナドゥvs果敢は...3キル、3キルでナドゥが果敢を切る。一方的な圧勝にも思えるが、メインはターンが帰っていれば概ね果敢側が3キルを決められる手札だったようだ。モダンの速度感が凝縮されたマッチアップとなった。
優勝に王手がかかったHoriチーム。エルドラージvsナドゥはお互いに脱線気味のトークで盛り上がり、「喋んのええけど勝ってよ」とチームメイトから檄が飛ぶ。
さて、追い詰められたSegoチーム。
メインを落としたエネルギー、サイド後の初手は...何とも怪しい。
キープする?しない?チームメイトに助言を求める。
ナドゥのプレイヤーは「キープでもマリガンでも恨まないです」と信頼した一言。
一方果敢のプレイヤーは...「僕は携帯いじったので、アドバイスできないです」と驚愕の展開。
チーム戦は対戦中に電子機器を使用したり、対戦相手の手札が見えかねない移動などを行ったメンバーは、以降アドバイスに加われなくなる。
そう、ナドゥにズバッと切られた後に、うっかりスマホでXを見てしまっていたのだ。
ヘッドジャッジが気付いた時にはもうネットを開いてしまっていたので、アウツ。
「止められなかった...」とヘッドジャッジも悔いていた。
しかしまさかのアドバイス不可宣言に、室内の全員がドッと笑ってしまった。競技マジックでもこういう笑いは起こるもの、いやむしろ競技だからこそのおもしろアクシデントか。
悩んだ末にSegoチームのエネルギー「マリガンで」と宣言。その後すかさずライブラリートップをチラリとチェック。「キープで良かった...」ともらすとまたも笑いが。
そういう時に見るか見ないか、プレイヤーあるある談議に花が咲く。「気持ちはわかるけど見ない方が良い」そう結論付けられたところに、もう一度マリガン宣言→トップ確認のムーブが決まり、笑いの波状攻撃。
しかしダブルマリガンでキープが決まると、空気は一転静けさを取り戻す。
ゲーム自体はダブルマリガンも響き、《ナカティルの最下層民、アジャニ》や《火の怒りのタイタン、フレージ》を巡る攻防でHoriチームが競り勝つ。ここに優勝が決定した...のだが。
優勝決定後もまだ続いていたチームキャプテン同士のゲームを継続、もうかかっているものはないのだが、皆でゲームに熱中。勝敗がついてから15分以上プレイが続く。
ちなみにSegoチームキャプテンは決勝戦開始前に「終電が...まあ大丈夫かな」と帰りの手段を気にしていた。
そのためスタッフとしても「終電、いけますか?」と確認はしたのだが、本人らがゲームに熱中した結果、見事に終電時間を過ぎてしまったことを記しておこう。
そんなわけでネタに次ぐネタに満ちた決勝ラウンドとなったが、ゲーム自体はナドゥとエネルギー、禁止改定前のモダンのツートップを含むただただ強いデッキ3つがバチバチの激闘を繰り広げ、見応えのあるものだった。
次にチームモダンの大会を開く時には、なんとしても場内ですべての試合を終えられるようにしたいものだ。多くのプレイヤーにも決勝の模様は見届けて欲しかったね。
最後に、優勝が決まり全ゲームを終えたHoriチームの面々が
「楽しかった」「ほんまありがとう」「このメンバーやから勝てた」
と互いの健闘をたたえ合い念願のトロフィーを手にしていたシーンには、チーム戦からしか得られないものがあるなとグッときたのだった。
150を超えるチームを押し退け、ナドゥが輝いた最後のモダンのトーナメントを制したのは...Horiチーム!優勝おめでとう!