2014/04/03 迎え火のしもべ - Card of the Day -今日の1枚-

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迎え火のしもべ/Balefire Liege

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「謎の邦訳シリーズ」というものがある。文字通り、何故そう訳されているのか疑問しか出てこない日本語版のカード達のことを僕が個人的にそうまとめているだけなのだけども。

これらは多くはないが確実に存在しており、気付いたプレイヤーに「?」と思わせている連中なのだ。今日はそれらの中から1つ、10枚という大掛かりなサイクルを形成しているカードの中から1枚を紹介しよう。


《迎え火のしもべ》は「シャドウムーア」「イーブンタイド」にて登場した、2色ハイブリッドのクリーチャーが織りなす「しもべ」サイクルの1枚である。

さて、これのどこが誤訳なのかというと、もうストレートに言ってしまうと「しもべ」という言葉そのものである。サイクル共通のカード名に含まれる「Liege」。これが「しもべ」と訳されているのだが、この言葉の正しい意味は「領主」「君主」「家臣」といったところである。

これに対して「しもべ」という言葉は身分の低い、召使いなどのイメージがどうしてもある。真逆ではないか。何故この言葉が「Liege」の訳に用いられたのだろうか?これは「テンプレ」というものがもたらした弊害である。

初の日本語版であった「第4版」にて《Gaea’s Liege》は《大地のしもべ》と訳された。これは「Liege」を「家臣」として訳し、しかし「家臣」というのも変だろうと「しもべ」と意訳された…んじゃないだろうか。

ここまでは問題のない話ではあるが、問題はこの訳が「テンプレ」として以降のカード全てに適応されてしまったことである。このカードのような、明らかに「君主」と訳した方が良いカードでさえも「しもべ」になってしまっている。

こいつの上司はさぞかし強力なのだろう。この「テンプレ」という風習は、後に《絡み森の主》という訳が生まれたことで消え去っている。伝統を守るのも大事だが、何よりも本来のイメージを伝えることが大事なのだ。


さて、カードの解説に入ろう。5マナ2/4と頼りないサイズだが、自軍の赤と白のクリーチャーを強化するロード能力はなかなかに強力。さらには赤の呪文を唱えれば相手に3点ダメージ、白の呪文を唱えれば3点回復という能力も強力そのもの。赤白の呪文なんか唱えれば《稲妻のらせん》がおまけでついてくるのだ。

これは馬鹿にならないもので、「マスト除去」とはこういうクリーチャーのためにある言葉だと言って良い。ライフを一気に詰める、脅威の怪物だ。

ちなみにサイクル中唯一のホラーに加えてスピリットのタイプを持っている。部族的観点から視ても強力無比!《未練ある魂》との相性は言うに及ばずだ。


これだけのポテンシャルを持っていながら、構築で大々的に使われるということはなかった。しかし、多くのプロプレイヤーがこのカードは本来強いものだと評価していた。

時は流れ、統率者戦やデュエルコマンダーが盛んなこの時代。このカードの値段に、世間からの今の評価を見ることが出来る。

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