2014/07/11 星の揺らぎ - Card of the Day -今日の1枚-

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星の揺らぎ/Sway of the Stars

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「真面目さ」というものは得難い。得難いが故に、今日ではそれが人物評価につながるものとなっている。真面目に、そして「熱心に」物事に向き合う姿勢は、結果そのもの以上に評価されるものである。


この「真面目で熱心な姿勢」がマジックの世界で炸裂して生まれたカードを、本日は紹介しよう。《星の揺らぎ》、まずはテキストに目を通して欲しい。…うん、無茶苦茶。えげつないほどのリセット呪文だ。全てのパーマネント、手札に干渉する。星が揺らぎ、狂った時間が全てを流し去る。プレイヤーはゲーム開始時の状態にタイムスリップすることになる。ただし、ライフだけは初期の約1/3の7点に減少した状態となる。若返ったのかミイラになりそうなのかわからないが、これもたぶん星が揺らいだせいだ。そういうことにしよう。


さて、これだけ「ふざけた」呪文ではあるが、一体何が「真面目に、熱心に」だというのか。お答えしよう。実はこの呪文には元ネタがある。それは「アングルード」の《Once More with Feeling》。

《星の揺らぎ》とほぼ同じ効果のこのカードは、白マナ×4という見た目にも強烈なマナコストだった。これをこともあろうかそのまま引き継いで、最初期に作られた《星の揺らぎ》は4マナの呪文だったのだ。4マナ…たしかに《神の怒り》も《ハルマゲドン》も4マナ、《意外な授かり物》は3マナだ。しかしこれらの複合体であるこの呪文が、4マナて!悪用されるに決まっとるがな!周りがのほほんとする中「熱心なテストプレイヤー」は声を大にしてこのカードの危険性を訴えた。彼の真面目な主張が通って、《星の揺らぎ》は6マナとなった。

…あんさんら、まだわかってまへん!《激動》、知ってまっしゃろ?あれを越えた呪文を作るつもりでっか?テストプレイヤーは、この6マナという提案にも頷かず、もっと適性のマナコストがあるはずだと主張し続けた。そして最後には、10マナという世にも恐ろしいマナコストの呪文が誕生することになったのだった。


この調整を「真面目すぎる」と思われた方もいるかもしれない。しかし、コノストイックな・妥協しない姿勢のおかげで、マジックは救われることとなった。

「星の揺らぎコントロール」「ターボ星の揺らぎ」というデッキがしっかりとトーナメントシーンに登場したのだが、これが4マナのままだったら?確実に凶悪なコンボデッキとなり、延々リセットを繰り返す遅延発生マシーンとなり、今日のような繁栄を遂げる前にマジック終了、となっていた可能性は大いにある。テストプレイヤー、あなたの真面目さ・熱心さで、我々の星は救われたのです。

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