松本友樹「新たなるA定食を求めて」第3回 手がかり定食
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こんにちは、マツモトユウキです。Aともいいます。
今回はマジック史上初めての3ブロック制に変わった、新たなスタンダード環境におけるA定食を作りたいと思います!
今回のA定食のお題は・・・
"調査"です!
2.食材紹介
それではまず、今回作成するA定食の食材達をご覧下さい。
これと・・・
これと・・・
これ!
《未知との対決/Confront the Unknown》
もうやりたいことがわかって頂けたかと思います。
ですが、これらを使ったデッキを紹介する前にちょっとだけ前置きをしたいと思います。
私達「デッキビルダー」は独創的なデッキを作り上げてトーナメントで活躍させたいという欲望を持っています。
さらにいうなら、誰も見向きもしないようなものを組み合わせて、シナジーの塊のようなデッキを作り上げたいとも思っています。
例えば「青単信心」ですね。
あのデッキは一見弱いカードばかりでしたが、信心と言うシステムとのかみ合いで環境を制するデッキになりました。
しかし残念ながら、そういったデッキが組み上げられる事は稀です。
「アブザンアグロ」は強いカードと強いカードを組み合わせたデッキで、前スタンダードにおいて長い間王者として君臨していました。
弱いカードと弱いカードを組み合わせて強いデッキを作るよりも、強いカードと強いカードを組み合わせたほうが遥かに簡単です。
その上、たいていの場合その方が強いのです。
さて、今回扱うのはコモンの、いかにもリミテッド向けな《未知との対決》と、こちらもリミテッド向けに見える《不屈の追跡者》です。
つまり弱いカードと弱いカードの組み合わせに見えます。
しかし、あえて言うなれば・・・この2枚のカードは「強いカード」であると、私は信じています。
そもそも強いカード、弱いカードとは相対的なもので、変動するものなのです。
例えば《ゴブリンの熟練扇動者》。
今でこそ誰もが強いカードと認識していますが、発売当初はそう思われてはいませんでした。
あるいは《夜帳の死霊》。このカードはテーロスブロックが登場するまで、明確に「弱いカード」でした。
しかし、信心というシステム・青単、黒単というデッキの誕生に伴い「強いカード」の仲間入りを果たしました。
強いカードの条件とは、実は非常に曖昧なものなのです。
《包囲サイ》は確かに誰が見ても強いカードでした。間違いない。
では《先祖の結集》はどうでしたか?《世界を壊すもの》は?
この未知との対決と《不屈の追跡者》も「まだ強いカードと認識されていないだけの強いカード」だと考えています。
3.献立
さて、それではデッキを作りましょう。
《不屈の追跡者/Tireless Tracker》
《未知との対決/Confront the Unknown》
こちらはデッキの核です。問答無用の4枚。
《継続する調査/Ongoing Investigation》
冒頭でも紹介したこのカード。
能力を使うにはクリーチャーが場か墓地にある必要があり、序盤に手札にダブついてしまうとかなり辛そうです。
しかし、場に2枚以上あった場合はその分誘発型能力で調査を行う事はできます。
そして、ゲーム中に1枚は絶対に引きたいカードです。
3枚でも十分な可能性もありますが...ここは思い切って4枚入れてみましょう。
せっかく《継続する調査》を4枚入れたのですから、上手く使う為に回避能力を持っているクリーチャーを沢山使いたいですね。
そして、もし出来るのであれば1ターン目に出せるようなヤツが欲しいです。
まぁスタンダードにそんなのはいないでしょう・・・ん?
《グドゥルの闇潜み/Gudul Lurker》
いたー!
しかもこのカード、マナフラッドした時に大変異で場に出すことが出来ます!
それでも所詮2/2ですが、おまけがあるのと無いのでは全く違いますからね。
素晴らしいです。4枚です。
さらに、調査といえばこのカードを是非使ってみたい。
《果敢な捜索者/Daring Sleuth》
このカード、一見弱そうに見えるかもしれません。
実は僕も弱いと思っていたのですが、先日リミテッドで使った際思った以上に強くてびっくりしました。
このデッキでは変身能力は当然のように達成できますので、ドローのついでに3/2果敢になる2マナクリーチャーとなります。
果敢という能力が強力なのは皆さんもご存知の通りで、ダメージが通れば調査が出来るというのもおまけとしては十分ですね。
2マナ粋を埋める意味でも、4枚入れましょう。
次はこれ。
《エルドワルの照光/Erdwal Illuminator》
この新しいカードはなんと1ターンに1回調査を(実質)倍にしてくれます。3/2調査マン+《進化する未開地》でトータル調査4!すごい!
新しいキーワード能力を強化するカードというのは大体どのエキスパンションにも入っていて、そしてそれらが活躍することはあまりありません(キーワード能力自体があまり強くないことの方が多いからです)。
しかし、調査という能力は別です。
マナこそかかるものの、行うことはカードを1枚引く。
つまり、《エルドワルの照光》のテキストには「カードを追加で1枚引く」と書いてあるようなものなのです!
...というのは言い過ぎかも知れませんが、《未知との対決》で調査の枚数が直接的に打点にも結びつきます。
さらに回避能力も持っている上、タフネス3で序盤の攻防にも役立ちます。4枚!
また、回避能力といえばこいつ。
《棲み家の防御者/Den Protector》
定番カードではありますが、こいつは《未知との対決》と組み合わせると、とんでもない打点を繰り出してくれます。
手がかりが5個くらいあれば、もう+11/+11と本人のスペックで14点!
凄まじいですね。4枚ですね。
《つむじ風のならず者/Whirler Rogue》
最後のクリーチャーはこのカード。
横並びする為時間稼ぎ役にも十分、沢山ある調査をタップして全ての自分のクリーチャーをブロック不可にもできます。
当然、4枚です。
この時点で32枚。
《不屈の追跡者》の為にも、調査を消費してリソースを得るためにも、土地は最低24枚は入れたいので、残りの枠は4枚になります。
そんな最後の4枚はこちら。
《ゼンディカーの代弁者、ニッサ/Nissa, Voice of Zendikar》
多数の回避能力持ちクリーチャーがいるのであれば、それらを強化する事は勝利へと結びつきます。
また基本スペックが小さいクリーチャーが多数いるので、チャンプブロックを繰り返せるというのも大きなメリット。
全体除去で盤面を裁かれたとしても、ニッサの生み出すトークンと継続する調査が生み出す手がかりでアドバンテージを得続ける事ができます。
調査を軸にするというデッキの弱い点をカバーしつつ、強みをさらに生かしてくれるこのカード。
4枚です。
4.完成
土地以外全てが4積みと、ヴィジュアル重視の方にも満足して頂けそうなデッキになりました。
このデッキは遅めのデッキには非常に強そうです。
クリーチャーは何かしらのアドバンテージを得られるものが中心で、対処し辛いエンチャントとプレインズウォーカーも強力です。
1ターン目《グドゥルの闇潜み》から継続する調査は悶絶されること間違いなしですね。
隙を見せたら一瞬でライフを持っていくポスト《強大化》の《未知との対決》もあり、中々戦い辛いデッキになっています。
逆に辛そうなのはこちらよりも早いデッキ。
青緑という色の都合上、相手に触れる手段をほぼ持ちません。
特に飛行戦力が豊富な「赤黒吸血鬼」は天敵になりそうです。
サイドボードで上手く対応できるようにしたいですね。
5.最後に
今回のA定食、「青緑調査」はいかがでしたか?
特に《未知との対決》は私のお勧めの一枚です。
巨大化系のカードがスタンダードで活躍したことは、これまでのマジックの歴史の中でもそれほどありません。
その数少ない活躍したカードの1つが《強大化》です。
このカードは実質1マナ+6/+6というかつて無いスペックでした。
そして、この《未知との対決》。
《強大化》が概ね放たれていたであろう4ターン目には2~4点程度の修正にしかなりませんが、撃てば撃つほど強くなるカードです。
ゲーム終盤にトップした場合、もしかしたら1枚で10点を超える打点をたたき出すことがあるかもしれません。
そして何より、2ターン目に適当に撃ってキャントリップという使い方も出来るという非常に小回りの効くカードとなっています。
《不屈の追跡者》も調査を軸にしたデッキ以外でも十分に活躍できる性能を持っているカードです。
もしかしたら調査要素を減らし、純粋なビートダウンで構成してみるのもいいかもしれません。
あるいはもっと調査に寄せてもいいかもしれません。
新しいメカニズムである「調査」を楽しみながら、是非色んな構成を試してみて下さい!