2014/04/23 語られざる印 - Card of the Day -今日の1枚-
タグ:Card of the Day, スカージ, 語られざる印語られざる印/Unspeakable Symbol
かつて《憎悪》と呼ばれる強力なインスタントがあった。ライフを支払った分だけクリーチャーのパワーを増長させるそれは、5マナと重いにもかかわらず「全力で使用すれば人を殺せる」という部分が評価され、1ターン目に1マナパワー2クリーチャー、2ターン目にマナブーストを全力で使用して全力《憎悪》で一撃必殺という、ビートダウンのようなコンボデッキ「ヘイトレッド」を生み出した。
自分のライフは最低限1残っていてれば良い、相手のライフが先に0になれば勝ち。この死を恐れぬ戦闘スタイルは「スーサイド○○」という言葉を生み出した。多くのマジック少年たちが、この危ない魅力にとりつかれたものだ。
《憎悪》の後も数多くの自爆スイッチ的カードが量産された。「ヘイトレッド・フォロワー」とでも呼ぶべきそれらは、偉大なる先輩を超えることは果たして叶わなかった。数字を1つ間違えるだけで取り返しのつかない強力カードになってしまうジャンルである。開発はかなり慎重に調整に調整を重ねたことと思われる。そんな後発組のうちの1枚がこの《語られざる印》である。
ライフを3点ペイすることで、クリーチャー1体に+1/+1カウンターを配置することができる。3点払って打点が1上がると考えると、パッと見大損かもしれない。しかし全くそんなことはなく、置いてあるだけで戦闘を円滑に進めることが出来る、リミテッドでは大変優秀なエンチャントだった。本当にライフを払うかどうかはわからないが、「その気になればできる」という状況を作り上げているだけでこのカードは仕事を完了している。
目に見えているもので一方的に討ち取られる可能性があるのに、誰がアタック・ブロックするものか、と相手に躊躇させればその時点で「勝ち」である。
2/2が地上戦の基本サイズだった「オンスロート」ブロックのリミテッドにおいて、3/3以上をマナ無しで増産できるこの印は圧倒的な力を持っていたが、しかし構築においては2/2が3/3になって嬉しいとかそういう環境じゃなかったことが彼の存在を「リアル語られざる」にしていた。これにはこのカードの元になった《魂飲み》もガッカリしていることだろう。
そして語られてこなかったこのカードの現在はどうか、というと実は「激渋」な1枚として一部のユーザーからの高評価を獲得している。統率者戦において《荒廃のドラゴン、スキジリクス》をジェネラルにしている場合に、「パワー増量一撃必殺」系カードの候補にいれるとなかなかいい仕事をすると思うよ。お試しあれ。