2014/06/12 ゴブリンの勇士 - Card of the Day -今日の1枚-
タグ:Card of the Day, ゴブリンの勇士, ザ・ダークゴブリンの勇士/Goblin Hero
いやー絶妙なグロさである。死体とか、そういうもんが描かれているわけではないんだけど、我々が住む世界にまるっきり存在しないデザインというのは、それだけで薄気味悪く見えるものである。
所々人間と共通のパーツを持ちつつも捻じれ、ドロけてなデザインはまさしく「バケモノ」のそれである。そしてこのバケモノが、ゴブリンであるという事実に驚かされたプレイヤーは多いことだろう。白いし、耳がとがってないし、ユーモラスさというか愛嬌というかそういうものもなく…ゴブリンをズラーっと並べた中にこれが一匹いると、浮きまくること間違いなし。
これにはイラストを担当したMark Tedin氏も自身のサイトでコメントされている。要約すると、勿論これは今日におけるゴブリンの姿はしていない。しかし、このイラストが描かれた時には、まだPete Venters氏が確立した上記のような「ゴブリン像」が完成していなかったのだ、ということである。
Peteさんが築き上げたゴブリン像は、全世界のプレイヤーに愛され、結果ゴブリンはマジックにおいてなくてはならない重要な種族となった。
新セットの内容が発表される時、「この次元にゴブリンは生息していない」という一文で非常にがっかりするプレイヤーも多いことだろう。現に僕がそうだ。ゴブリンデッキは強くて楽しい、これに新カードが入れば最高だし、トーナメントレベルでなくては愉快な彼らの姿を見ることは楽しい。
そんな愛されるゴブリン誕生の舞台裏に、Markさんが描いたこのゴブリンがいたことも、どうか覚えていてほしい。今をときめく作品の初期原案を見て「全然違うね」と思うこと、多々あることでしょう。でも、それらがあるから今があるわけで。どうか、先駆者を否定せずに、それも含めて愛してあげてほしい。
よくこのカードは、3マナ2/2バニラなのに「Hero」なのかとネタにされる。後にはレアにもなっているので、尚更である。僕にとっては、このグロテスクなイラストが上記のようなリスペクトの姿勢をもたらしてくれたし、その後の価値観にも大きな影響を与えてくれた、紛うことなき「Hero」だ。後にイラストをPeteさんが手掛けているのも、感慨深いものがある。イラスト1つでここまで感情が動かされる、改めてマジックって最高だなって…