2014/07/24 破壊の宴 - Card of the Day -今日の1枚-

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破壊の宴/Wrecking Ball

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英語のお話回。この《破壊の宴》、まさしく「破壊アルノミ」ウィークに相応しい、破壊衝動を具現化したような効果、イラスト、何れも素晴らしいが、今日はそのカード名について解説したい。
 このカードの英名は「Wrecking Ball」。「Wreck」とは難破・海難という意味と共に衝突・破壊という意味がある。「Ball」は言うまでもなくボール・球体を指す。

「破壊の球体」って、何のことかと思われるかもしれないが、あなたはおそらくそれを見たことがあるはずだ。工事現場で、クレーンのような重機から鎖などでぶら下げられている巨大な鋼球・鉄球。ビルの解体時に、グイーンとスイングしてぶつける、あの鉄球の事を「Wrecking Ball」と呼ぶのだ。

マジックで言うと《ヘルドーザー》や《破壊のオーガ》なんかが装備している「アレ」は「Wrecking Ball」と呼んで差支えないだろう。トゲトゲついたり酸をまき散らしているのは気にしないで。


さて、「解体用の鉄球」という意味はわかったが、しかし何故このカードにそのような名前がついているのだろうか?

たしかに、イラストに描かれているゴブリン達はトゲトゲ鉄球のようなものを投げて破壊行為を行っている。しかし、この小さな鉄球自体がこのカードではフィーチャーされるようなものなのだろうか。さらに言えば、《破壊の鉄球》ではなく《破壊の宴》という日本語訳。これは一体…と思ったからには、調べないと落ち着けない性分。なので、いろいろと調べてみた。


「スラング」というものは今では一般的に使われる言葉となったが、改めてその意味を見てみると「特定の集団の中でのみ通用する隠語・略語・俗語」である。かつては、翻訳を行う立場の人間にとってはこれが「鬼門」であった。

アメリカの若者の間では通用する単語であっても、異なった生活圏の人間にとっては辞書をいくら調べても出てこない謎の言語だったり、脈絡もなく意味不明なタイミングで飛び出す謎の単語だったりで、それらを翻訳するには多くの見識と苦悩が必要だったことかと思われる。

そしてこの「Wrecking Ball」も、おそらくはそうしたスラングを含んだ、所謂「ダブルミーニング」な名前であることがわかった。「Ball」とは、主に男性向けの表現で「度胸がある」という意味で用いられることがある。

主に男性向け、という時点でなんとなく察してくれた方もおられるでしょう…暗にそれを意味しています、正解です。そしてこの「Ball」を「I had a ball」と用いた場合、その意味は更に異なるものとなる。「楽しいひと時を過ごした」と。


「破壊」の「楽しいひと時」、即ち《破壊の宴》。いやはや、恐れ入りました。マジックには他にもこういったネーミングのカードがまだ潜んでいるように思えてならない。せっかく情報を容易く手に入れることが出来る時代に生きているのだから、バンバン調べて楽しみたいものだ。

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