2014/09/04 ヴィダルケンの解剖学者 - Card of the Day -今日の1枚-
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メタルとおどろおどろしさ・ホラー要素は「共にある」存在である。おそらくは、そのどちらか一方が欠けた世界ではもう一方も今日のような発展を見せることなく終焉を迎えたことだろう。
この両者は運命的に結び付けられている。そして、ご存知の通りマジックとホラーも切れぬ関係である。ホラーというジャンルがなければ、おそらくマジックは黒を除いた4色で構成され、全体的にふんわりとした真面目なカードばかりになっていたことだろう。
この2つが切れぬ関係であるならば、ホラーを中心とした「友好3色」的思考でマジックとメタルも運命的結合があるのでは?と思ってしまう。
数年前に「ソリッド・シチュエーション」というジャンルのホラーが流行したものだが、本日紹介する《ヴィダルケンの解剖学者》のイラストはそれを想起させる、緊迫した密室劇が描かれているイラストが静かなインパクトを放つ。
いかにも「俺たちはダークだぜ」と自己主張するメタルアルバムのジャケットといったところだ。フィンランドなんかの北欧デスメタルの雰囲気がね。
これがもう少しコミカルになると大御所「MEGADETH」のアートワークっぽくなるのだろう。描かれているヴィダルケンも、かなり原形を留めない方向に改造され、すっかり新ファイレクシア人と化している。感情の欠片も伝達する気のない頭部が実に不気味だ。
カードとしてはリミテッドで優秀なアンコモンとして、ケースによってはレアを遥かに超える力を発揮する。3マナという決して軽くないマナとタップを要求するが、クリーチャー1体に―1/―1カウンターを乗せた上でタップ・あるいはアンタップするという起動型能力を持っており、鉄壁のディフェンス力を誇る。タフネスが1のクリーチャーは即座に除去。
5/5の大型生物も、2ターンほど寝かしつければこちらの3/3でキャッチすることが可能になる。そのタイミングで相手は後続を出してきているだろうから、今度はそっちを封じ込めればいい。
この、サイズ縮小が緩慢ではありながらも確実に戦況を有利に進める。多くのタッパーが持つジレンマである「Aを抑えている間にBが出てきた。でもAを自由にするわけにはいかずそのままBへの解答を引けず負け」を完全にではないが解消してくれる可能性のある1枚である。
「All Will Be One」と題された「ミラディンの傷痕」の世界観を伝えるトレイラーでは、このカードのイラストがアニメーションによって不気味に動き、またファイレクシア語のナレーションがあたかもデスボイスであるかのように聴こえて恐怖に満ちた世界観を伝えるのに成功している。