2014/09/03 墓穴までの契約 - Card of the Day -今日の1枚-

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墓穴までの契約/Grave Pact


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マジックとメタルの親和度はかなり高い。もはやシナジーの域に達していると言っても問題ないであろう(あるんじゃないか)。

その象徴的な1枚が《墓穴までの契約》である。このカードはメタルの歴史を追体験することが可能な1枚である。一体何の話をしているのか。とりあえずそれは置いといて、まずはカードの解説だ。

黒のトリプルシンボルを含む4マナと、決してコストは安くはないエンチャント。となれば盤面に大きく影響をもたらしてくれなければ・あるいはアドバンテージが稼げなければ使うに値しないだろうと思われる方も多い条件であるが、この《墓穴までの契約》は完璧な物件である。

そもそも、黒のトリプルシンボルのカードを思い浮かべて欲しい。…スッと出てくるカードはどれも強力であったり熱烈なファンがいるカードではないかな?(※1)さらに黒の4マナのオーラでないエンチャント…これまた、構築で活躍した連中が並んでいるではないか(※2)。

というわけでこの《墓穴までの契約》はジンクスの部分でも強者であることが確約されているのだ。その能力は、あなたのクリーチャーが死亡する度に誘発し、他の全てのプレイヤーに道連れを要求する。

これが戦場に貼り付けられるだけで、戦闘の難易度はグンと跳ね上がる。個々の戦力では負けていても数では優位に立っているという状況であれば、もう相手はなんらかの解答なしでは攻撃してくることはないだろう。

戦線に膠着をもたらすだけでは少々味気ないので、今度はこちらから仕掛けてやろう。《ナントゥーコの鞘虫》《ゴブリンの砲撃》といった能動的にクリーチャーを生け贄に捧げることが出来るカード、そして《墓所這い》や頑強・不死といった能力持ちのクリーチャーと並ぶと、相手のクリーチャーを根こそぎ墓場送りにして一種のロック状態に持ち込むことが可能だ。

コンボデッキやコントロールに効果がないのはやむなし、むしろクリーチャーを用いて勝利するおおよそすべてのデッキに中指を突き立てる驚異的なエンチャントである。

僕が「マジック殿堂入りカード」を決めるならば、確実に名を連ねる1枚である。デッキを作りたくなる、適度なパワーと現実性、そしてヴィジュアルが高次元で共存する、本当に素晴らしいカードだ。

前半で記したメタルの進化の追体験どうこうというのは、このカードが多くのセットに再録され、新イラストを獲得する機会が多かったことに由来する。

初登場時「ストロングホールド」の味わい深いイラストは、70年代80年代の「レコードの時代」を想起させる。

続く「第8版」のイラストではCD全盛期、メタルのジャケットイラストもよりコミックチックというか、「メタルイラスト」として独自のジャンルが確立された時代、黄金時代への郷愁を抱かせる。

そして「第9版」以降の顔を務めるイラストは、CGも使用されるようになり音楽フォーマットもMP3へと進化して…という現代らしさを感じさせる。

こうやって振り返ると、ゲームや音楽などのジャンルを問わず、表現方法と言うものは確実に形を変えていっていることがわかる。そして、そのどれもが素晴らしいものであるというのは真に喜ばしい。

※1《ネクロポーテンス》《悪疫》《死の雲》《ゲラルフの伝書士》《戦慄をなす者ヴィザラ》etc.

※2《Nether Void》《The Abyss》《死者の神、エレボス》《無慈悲》etc.

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