2014/09/19 名も無き転置 - Card of the Day -今日の1枚-
タグ:Card of the Day, ローウィン, 名も無き転置名も無き転置/Nameless Inversion
「部族」呪文は、何のタイプを割り振られるかによって強弱は大いに変化する。マジックのクリーチャータイプには、明らかに優劣が見られるケースがあるためだ。
「部族ソーサリー:アウフ」とか、ただ《タルモゴイフ》を大きくするだけに過ぎない。逆に、ゴブリンやゾンビ、フェアリーといった「推されている」タイプを戴冠するとそれは他の同効果の呪文に大きく勝る長所となる。
《名も無き転置》は、「ローウィン」にて本格的に登場した部族呪文の中でも、最も使われた1枚である(続く「モーニングタイド」では皆大好き《苦花》が出ましたね)。
当時の除去呪文の事情を言うと、まだ黒が《恐怖》を標準的な除去と定めている時であり、黒をもって黒を征することは困難だった時代だ。そこに、相手が黒くても使用できるタフネス-3修正のインスタントが登場とあっては、「待ってました」と言わんばかりだ。
当時使用されたクリーチャーの大多数がタフネス3以下だったり、《恐怖》で除去できない《叫び大口》の存在、そして部族呪文であるため《タルモゴイフ》の餌に、と使用されるだけの下地は整っていた。
そして、冒頭で述べた「割り振られた部族」も「多相の戦士」という勝ち組っぷりを発揮している。多相の戦士自体には特段シナジーはないが、この「ローウィン」の多相の戦士は皆、「多相」の能力を有していた。
全てのクリーチャータイプを持つというこの能力を、このインスタント除去も備えていたのだ。《光葉の宮殿》や《レンの地の克服者》との相性は言うに及ばず、昨年(2013年)当コラムでもとりあげた《樹根スリヴァー》のようなカードとも類稀なシナジーを形成する。
それらのシナジーの中でも、群を抜いていた組み合わせが「ネームレス・ハーコン」と呼ばれた、《ストロームガルドの災い魔、ハーコン》との魔のコンビネーション。多相は墓地にあっても機能するため、ひたすら《名も無き転置》を打ち続けて対象にとれるクリーチャーは根絶やしにすることが可能だった。
デッキとしても黒単で、所謂「メガハンデス」だったため、多くの黒好きが憧れるデッキとなった。いやー良い時代だったなぁ。個人的には《傷刃の精鋭》と併せて、「殺す」という本能に溢れ返ったデッキを作成してGPに出たことがあるのだけど…開幕2戦連続、ノン・クリーチャーデッキに当たるとは……
カード名の「転置」はそのまま「置き換える」という意味。名も無き置き換え?なんのこっちゃという感じだが、「Inversion」には「逆」や「反転」といった意味もある。イラストも合わせて推察すると顔が裏返ったり(反転)肉体の部位も置き換わって、名も無い異形と化すということだろうか。恐ろしや。