2014/10/04 Farmstead - Card of the Day -今日の1枚-

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Farmstead

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 マジックというゲームが作られた時にタイムスリップして立ち会ってみたいものだ。我らが偉大なる父祖、リチャード・ガーフィールド博士は「20点」という絶妙な数字を奪い合うという神がかったバランスのゲームを生み出した。1993年の時点で、テレビゲームではライフを奪い合う対戦方式は既に存在し広く浸透していた。それを非電源のカードゲームに持ち込み、ブラウン管にドットや目盛りで描かれていたものを「20」という具体的な数字に表したことはエポックメイキングなことだった。

この20という数字を巡る攻防が面白いのは、お互いに唯々数字を減らしあうだけが勝利する手段ではないところだ。裏ワザとまではいかないが、ライフを「回復」させる手段があれば、相手よりも純粋に打たれ強くなる。それが恒常的なものなら尚のことだ。こうして、ファンタジー世界につきものの回復魔法もマジックにはしっかり導入されるが、初期のそれは対戦相手との格差を広げる強力すぎるものになりかねないという懸念から、かなり慎重にデザインされたカードばかりとなっている。

その典型・象徴とも言えるのが「風情ウィーク」のトリを飾る《Farmstead》だ。白白白、堂々たるトリプルシンボルにして土地へのオーラであるという挑戦的な設計。はたしてその能力は…

「あなたのアップキープの開始時に、あなたは(白)(白)を支払ってもよい。そうした場合、あなたは1点のライフを得る。」

待ちたまえ。弱すぎる、弱すぎるんだけども、まあ落ち着きたまえ。前述のように、ライフ20を削り合うゲームにおいて、回復手段というものは強すぎると酷いゲーム(マイルドな表現にしてみました)を引き起こす可能性がある・恒常性のあるものならなおさらである、という懸念がこんな謎のカードを作り上げてしまったのだ。

まずそもそも、土地のタップなどを必要としないのにこれが土地オーラである必要性があるのかという話。これはフレーバーを重視して、土地を開墾して農場(farmstead=農場)に…ということなのだろう。なるほど、納得だ。白白というのは…作物を育て、収穫するには太陽(白マナ)が必要不可欠だろう。なるほど、まあ2つもいらない気もしますが。そして収穫により1点回復!1点か…

もしかしたら、3点や2点では強すぎたのかもしれない。まだまだクリーチャーが弱くてしょうがなかった時代の話だ。今ではマナもいらずオートで回復し続ける《アジャニのマントラ》とかいう数段上のカードがあるが、これですら実用レベルには程遠い。ライフは、そんなにチマチマ回復するものではなくなった。いくなら《スフィンクスの啓示》でドカンと、そんな時代である。

はっきり言ってこのカードをゲームで見ることはまずないだろう。そんな1枚だが、イラストはのどかな農村の、風情に満ちた風景を描いている。僕はそれだけで、それだけで良いと心から思うのだ。

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