仔熊/Bear Cub

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Card of the Day -今日の1枚- 2015/02/27

仔熊/Bear Cub

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 やっぱり冬眠といったら熊でしょう。もうボチボチ、森の熊さん達は目覚めてペッコペコのお腹を山菜で慣らしていって、活動開始した他の動物を食べ...字面では、春の陽気と楽しげな雰囲気が伝わってくるが、現実はハード・サバイバルに他ならない。そもそも、熊みたいな巨体で、しっかりとした脳を持った生物が数か月間絶食して眠り続けること自体、かなり無茶をやっていることなのだ。

 

 それに加えて熊の雌は、冬眠中に更にワンステップ、無茶をしでかす。出産だ。熊の仲間は、着床遅延という生態を持っている。交尾からかなり間をおいて、受精卵が着床して妊娠するという独自の繁殖の仕組みであり、初夏から秋にかけての繁殖期を終えてから秋は脂肪を蓄えるのに費やし、冬になると巣穴で浅い眠りにつきながら妊娠・出産を行うのだ。ただでさえ冬を越すエネルギーが必要なのに、出産して産まれた子どもに春まで乳を与え続けなければならず、一体どれだけのエネルギーを蓄えればそんなことが出来るのやら...と驚かされる。

 

 そんな母熊によって産み落とされ、春の到来と共に姿を現す小熊がマジックのカードとなっている。その名も《仔熊》だ。かわいい。その一言で残りを埋め尽くしても良い、それぐらいかわいい。グロテスク・筋肉担当絵師、Roc Spencer氏が、普段とは大きく異なる愛くるしい方向に全力を傾けた、珠玉の1枚である。それこそ《骨砕き》が「剛」だとすれば、このカードは「柔」と言って良く、剛柔備えつつその筆には氏ならでは表現・世界観が見てとれる。流石、としか言いようがない。

 

カードとしては2マナ2/2バニラ、それ以上でも以下でもないが、既に一般的な《灰色熊》と同等の戦闘能力を誇る当たり、かなり大型で凶暴極まる熊の仔なのかもしれない。同セットの《カミソリ爪の熊》なんかが候補か。この愛らしさにして爪だけは猛獣のそれであるし。背景に顔だけ見える母熊も、穏やかな表情をしているけども外敵を察知すると人(熊)が変わるんだろうな。実際にフレイバーでも母熊の牙によって守られていると記されている。もしかしたら、戦闘はほぼ後ろの母熊が行っているのかもしれない。

 

 いろいろと愛される要素を持った1枚であるため、無限回収しているコレクターは少なくない。ゲームではまず見ることがないカードでも、生半可なパワーカードよりも愛されることだってあるのだ。


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