2015/02/16 狂気の種父 - Card of the Day -今日の1枚-

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狂気の種父/Sire of Insanity

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 耐える、というのは美しい。真の強者は耐える側ではない、とも言うが、苦難や苦痛に耐える姿というのは強く美しい。プロレスは受けの美学、相手の苛烈なキック攻めを倒れても倒れても受ける姿に観客はのめり込む。ただ、これをほんの少し、たったほんの少しベクトルを「自主的」という方向にシフトすることで、ただの「マゾ」と扱われてしまうから不思議なものだ。そして、例えばそれが肉体的にというわけでは決してなくても、マゾヒストな方々はそこかしこに存在するものである。激辛と注意書きしてあるのに食べて苦しむ、そんなノリをマジックでも体現する人って少なくないのだ。自分にとって苦しいカードを愛用する…そんな人たちが。何故彼らはそうするのか?それは、そもそもそんなデザインのカードが多数存在しているからである。今週は「マゾ・ウィーク」。直球で行こう、後悔はしていない。

 マジックでマゾと言えば「ラクドス教団」がその道の総本山だ。ここに所属する連中は、全員がサディストであると同時にマゾヒスト。より苦痛を与えるために、自身が倍苦しむ必要があるのならばそれを実行してしまう。変態にも程があるが、その刹那的な生き方に憧れというか尊敬のようなものを抱いてしまうのは僕だけではないはずだ。勿論、他人を痛めつけることにではなく、あくまで「やりたいことをやりたい時に」という彼らの主義にね。他人を巻き込むのは最低最悪の下劣だ、そこは違う。

まあ、そんな教団の象徴のような1枚がこの《狂気の種父》。6マナ6/4回避能力・除去耐性なしはちょっと残念ではあるが、このデーモンの売りはその能力。各ターン終了時に、全てのプレイヤーはその手札を捨てねばならない。どれだけ手札を蓄えようが、この狂気の存在が降臨した暁には手を空にしてのトップ勝負に持ち込まれてしまう。《核の占い師、ジン=ギタクシアス》の自身へのメリット能力を取り除いたら少し軽くなった、そんなデザイン。ギタクシアスと大いに異なるのは、彼の法務官は対戦相手のターン終了を迎えなければその手札を撃ち落とせないのに対して、この種父は自身のターンにキャストしてターン終了を迎えると対戦相手の手札を奪うことが出来る。能力によりタイムラグが無く速効性が与えられるという形で調整されているのだ(まあギタクシアスも瞬速で唱えればラグはないけど)。

 ただし、自身のターンで効力を発揮するようになったということは手札の上限に干渉するのではなく、純粋に捨てさせる誘発型能力になったということである。これはこれで、狙いが外れることがある。《もみ消し》なんかで対処できるようになったのだ。この能力が実際に打ち消されることなどほとんどないとは思うが、起こりえないものと起こり得るもの間にある隔たりというものはおろそかにできない。また、やはり自身も巻き込んでしまうのがなんとも、ね。誘発してからバウンスで弾かれて自身の能力で自身を捨てる、なんてこともあるだろう。複数バウンスなんてもっての外。それを加味しても、使いたくなる怪しい魅力に満ち満ちているとは思わんかね?ようこそ、こちら側へ。今週は存分に楽しんでくれたまえ。

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