2015.05.12 text by Ishida Hiroshi
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どうもどうも、dds666こと石田です。
前回まではレガシー特集ということで少し真面目な考察記事だったのですが、今回は少し趣きを変えて、トーナメントから離れた記事になります。
今回取り上げるのは......
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黒を支える基本土地である《沼》!
「BMワンダーフォーゲル部」では《山》を徹底的に紹介していますが、今週のこのコーナーでは《沼》のみを取り上げます。 あちらで《沼》を取り上げていないからこそ出来る機会です。住み分けって大事ですね、本当。
というわけで今回は独断と偏見で好きな《沼》を紹介していきますが、その前にまず、MTGにおける《沼》についての説明を少しばかりしようと思います。
・《沼》は、実はそれだけですごい! 黒という色そのものが偉大であるのと同様に、その源である基本土地《沼》もすごいのです。
というのも、マジックにおいて基本土地タイプの有無や枚数を参照するカードは多いですが、《沼》を参照するカードはこの中でもダントツに多いんです! しかもロマンと実用性を兼ね備えたものが多く、「元祖土地参照サイズ修正生物」《夢魔》からの流れを次ぐ《黒き剣の後継者コーラシュ》や《鞭打ち悶え》はトーナメントプレイでも活躍しました。
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他にも《精神ヘドロ》や《堕落》《堕落の触手》など、《沼》の数を参照する強力なカードはかなり多いです。 《沼》の数に応じて爆発的なマナを生み出す《陰謀団の貴重品室》や、《沼》を生贄にして大量のマナ加速を行う《Lake of the Dead》など、《沼》を参照する強力な土地カードも有ります。 |
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フォーマット問わず大活躍の《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》は、すべての土地を《沼》にしてしまいます。この強力な土地カードの存在は、黒の利点の一つと言っても過言ではないでしょう。
マイナーなカードですが《夜のとばり》というカードは、このアーボーグの元になっています。考えてみたら、3マナのエンチャントと同じ事をしている土地カードなのですから、そりゃ強いに決まっていますよね。
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良いことばかりを紹介してきましたが...《沼》は、いい事ばかりではありません。 疫病や死体を運んでくるそのイメージとおり、コントローラーにとっての不幸もまた運んでくるのです。まずは「渡りクリーチャー」の存在です。 鬱蒼として視界の悪いイメージからか、それとも沼の中を潜って移動してくるからか、沼渡りを持ったクリーチャーは非常に多いです。 |
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昔の黒の除去は黒い生物を対象にできなかったので、こういった沼渡りクリーチャーには手こずることも多く、特にリミテッドでは決まり手になることもありました。 |
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モミール・ベーシックの記事でも書きましたが、《沼》は重要ですが、渡られやすいというリスクも抱えているのです。
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あとは《沼》というだけで戒めてくる、忌々しい白のカードも有ります。 《因果応報》というカード名からしてなんとも考えさせられるものがありますが、効果は激烈で、だいたい数ターンで負けに直結してしまいます。 |
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黒ではほとんど手出しできないエンチャントという事もあって、これと《黒の防御円》を貼られて悶絶したことも......いやぁ、懐かしい話です。 他にも《怒れる群衆》や《聖戦の騎士》など、沼に応じてパワーアップする対策カードもあります。今なら《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》と一緒に使って、自分から利用することも出来ます。 |
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これで《因果応報》というのも...いや、いかにも白らしい言い分ですがね。
さらにはなんと、《沼》だけに影響するアーティファクトもあります。 《コーマスの鐘》という、《沼》をクリーチャーにしてしまうカードです。 |
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土地のクリーチャー化は緑の得意分野ですが、これは何を意図してデザインされたカードなのでしょうか。 黒を後押しするカードなのか、それとも黒対策のカードなのか(クリーチャー化した土地は召喚酔いしますし、除去も受けてしまいます)、いずれにせよ古のMTGらしいカードです。 |
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実用的なラインだと、こんなコンボもありますね...
このように、《沼》というカードはそれだけでメリットもデメリットも多く、基本土地でありながらゲーム的にも奥深いのです(そう、《沼》だけに深い!)。
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さて、前座はここまで。 ここからは実際に、《沼》カードを紹介していきます。 実に色々な《沼》がありますので、どうぞお楽しみ下さい。
・dds666個人的にお気に入りの沼 『ミラージュ』 《沼》 Bob Eggleton
自分自身、MTGは『ミラージュ』の頃から始めたのですが、これは当時からずっとお気に入りの《沼》です。 夜の《沼》におぼろげに浮かび上がる月の光、実に幻想的で美しい一枚です。 観方を変えれば、まるで《鬼火》のようにも見えますね。
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当時から今に至るまでお気に入りの、個人的に思い入れのある一枚です。 初めての大会に出るときはデッキ内の《沼》をこれに統一していました。懐かしいなぁ......。
『ポータル・セカンドエイジ』 《沼》164 (Susan Van Camp)
横たわる獣の屍に、生い茂った不気味な植物......なんとも冒涜的な雰囲気が印象的な沼です。
モノクロ調の色彩も味わい深く、深い趣きがあります。 死と腐敗に根ざした黒マナが大量に眠っていそうな、正統派で邪悪な土地です。 邪悪さという点では他の《沼》の追随を許さない、黒使いにはぜひともオススメしたい《沼》です。
・リアニメイトデッキにオススメの沼 『タルキール覇王譚』 《沼》258
最近のカードなので見慣れている方も多いでしょう。 巨大な龍の肋骨が目立つ《沼》です。この巨大な龍を蘇らせて自在に操ったら、なんと楽しいことでしょう!
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『アヴァシンの帰還』 《沼》238
『Premium Deck Series:Graveborn』にも再録された《沼》で、大量の墓石が雰囲気抜群。 備えられたシンボルからアヴァシン教の墓地だとわかります。ストーリー上でのミケウスよろしく、生前は信心深かった聖職者たちをアンデッドとして蘇らせてやるのも一興でしょう。 このアヴァシン教の墓碑は、イニストラードの魂の背中部分にも同じものが見受けられます。
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イラスト単体で見ても、うっすらと輝く太陽が非常に美しい逸品です。
・POXデッキにオススメの沼 『新たなるファイレクシア』 《沼》170
『ミラディンの傷痕』ブロックの《沼》は、ファイレクシア病をイメージしてか病的で毒々しいものが多いですが、これはPOXデッキの疫病のイメージにピッタリです。 この《沼》は濃密な瘴気と、黒い太陽が象徴的。いかにもポックスっぽい感じです。
"アリーナ・ランド"《沼》
今では入手困難な、初代"アリーナ・ランド"の沼です。 見るからに禍々しく、そして死の気配が濃厚に漂う一枚。《悪疫》で生物が死滅し土地が荒廃しきった後の世界とは、このようなものなのかもしれません。 異様な雰囲気の漂う、ひと味違う《沼》です。
・フェアリーデッキにオススメの沼 『ローウィン』 《沼》(291:Ron Spears)
黒マナの出る土地としては例外的な、色とりどりの花が咲き乱れる鮮やかな《沼》。 牧歌的世界であるローウィンらしい沼で、もともと『ローウィン』で黒の部族であるフェアリーをイメージしたイラストなので親和性はピッタリです。 《苦花》のように、この花咲く《沼》からフェアリーをプレイしましょう。フェアリーデッキに黒いフェアリー・カードなんて入ってないけど......。
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・アーティファクトデッキにオススメの沼 『アラーラの断片』 《沼》 Chippy
『アラーラの断片』の土地はそれぞれの断片をイメージしたものになっていますが、これは「エスパー(白青黒)」のものです。 ストーリーにも出てくる、エスパーの地下水道がモチーフでしょうか? 無機質な雰囲気が、いかにもといった感じです。 イラスト全体の静謐感が美しく、《沼》としては珍しいタイプのイラストです。
・感染デッキにおすすめの沼 『ミラディン』《沼》298 (John Avon)
緑色の噴煙がいかにも毒々しく、近くにいるだけで感染してしまいそうな色合いの《沼》です。 面白いことに、これはまだ感染が出ていない、そしてファイレクシア病関係の設定も出ていない旧ミラディンの基本地形です。
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すでにミラディンが汚染されていたことを暗喩していたのでしょうか?興味深い一枚です。
・美しい沼 『基本セット2014』 《沼》239
夕暮れの光のコントラストが感動的な逸品です。 《沼》というにはあまりに美しく、観光名所とかになってそう。 こういうイラストがあるのも、《沼》のいいところです。
『アンヒンジド』 《Swamp》John Avon
今でも大人気な、『アンヒンジド』の"フルアート・ランド"の《沼》。 太陽(月)の光とその反射が非常に美しい逸品です。思わず見とれてしまいますね。 さすがは土地絵師Avon氏です。
・由緒正しい?日本の沼 "APACランド" 《沼》(日本の墓地)
こちらはAPACランドと呼ばれるプロモーションカードの基本地形で、アジア地域の土地がデザインされています。 こちらの記事で詳しく紹介されています。→プロモアーカイブ 第10回 APACランド
さてこの沼は、日本の墓地ですね。 それも見た感じ、あまり大事に管理されていないお墓のようで、それが恨めしいのか人魂まで飛び交っています。 お墓=沼ではないのですが、イラストのイメージとしてはバッチリですね。 また面白いのは墓石に彫られた名前で、当時の有名クリーチャーの名前が無理やり漢字で当てられています。 せっかくなので、ここでそれぞれご紹介。
地無=てぃむ(《放蕩魔術師》の愛称です) 世裸円司得流=せらえんじぇる(《セラの天使》) 場論戦義亜=ばろんせんぎあ(《Baron Sengir》)
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独特の雰囲気があって、とても面白い1枚です。
・最強の沼!? さて、今まで様々な《沼》を紹介しましたが、最後にもっとも特殊で、奇妙で、コレクション性が高い《沼》を紹介します。
"沼ルトン"
え......これ《沼》......《沼》!? なんかパワー/タフネスあるし「再生」出来るって書いてあるんだけど......? 《ドライアドの東屋》の《沼》版か!?
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いえいえ、そうではありません。 これは有名なエラーカードで、通称"沼ルトン(Drudge Swamp)"と呼ばれるものです。 ドイツ語版『リバイズド』に混入されていたエラーカードで、絵柄は《沼》ですが、カード名やテキストは《蠢く骸骨》のものです。 ルール上は《蠢く骸骨》として扱いますので、実際には《沼》ではありませんから注意。当然、《ドライアドの東屋》みたいにクリーチャーかつ土地としても扱うわけではありません。
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しかしこれから数年後、再生能力を持ち1/1のスケルトンへと変化できる能力を持った《産卵池》が出たのはとても興味深い事実ですね。
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●今週の「闇より這い出しもの」 《沼》特集にちなんで、今回は《沼》に関係したカードを使ったデッキを紹介! |
モダン対応「沼感染」 |