沈黙の調停者/Silent Arbiter

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Card of the Day -今日の1枚- 2015/06/30

沈黙の調停者/Silent Arbiter

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 沈黙は金、雄弁は銀。皆さんご存知の言葉である。そもそもはイギリスの思想家トーマス・カーライルが「衣装哲学」に記した「Speech is silver, silence is golden.」を和訳したもので書籍における初出はこれとされるが、即ちこれが語源とは言い切れない。東洋には元から似たような言い回しがあって、人類全体が古来から抱いていた感覚のようだ。「当時は銀本位制で実は雄弁の方が上なんだよ」という説もあるがこれは間違い。そもそも、19世紀には銀が大量に取れ、金の価値がそれまでよりも高まっている。故に、沈黙_これはいつでも黙っているというわけではなく、黙るべき時を知っているという意味_は金なのである。

 

 マジックでも雄弁よりも沈黙の方が大事であると主張する1枚が存在する。《沈黙の調停者》がそれだ。調停というのは「紛争当事者双方の間に第三者が介入して紛争の解決を図ること。」であり、即ち調停者とは立会人のようなもの...という認識で良いんだろう。この調停者は沈黙を重んじる。沈黙=静かなる戦闘、攻撃にもブロックにも1体のクリーチャーしか参加できない。集団で殴りかかることや、大型クリーチャーを大軍でブロックなんてことも出来ない。静かに、1対1の攻防が行われる。

 

 この調停者、メインとなる使い方は集団の攻撃を防ぐことだ。ゴブリン、エルフ、マーフォーク...古より、部族デッキとは同族を並べて互いを強化し合い、集団の攻撃により圧殺するというもの。こういった部族デッキや、トークンなど軽量クリーチャーを大量展開して強化して殴るデッキに対して劇的に効く1枚なのである。《ゴブリンの群集追い》なんてコイツを前にすりゃただただ無力だ。単騎でアタックしようにも、1/5というボディが大抵のクリーチャーを受け止めてしまう。

 

 登場した頃よりも、現在の方がその能力の価値が高まっている。その理由は、プレインズウォーカーという存在がこのゲームに加わったことだ。複数のクリーチャーと向き合うのを不得手とする彼らをガッチリ警護する、頼もしい壁役なのだ。他のクリーチャー妨害も絡めればなおよし。

 

 家庭用ゲームでは、バグによりこのカードの肝心なアタッカー制限が働かずに複数のクリーチャーに殴られてしまう悲惨な仕様であった。イラストに描かれているのは、「正義をなさしめる何者か」によって作られた、感情を持ってい無さそうなロボット。スケッチ段階では、この調停者の前で1対1の決闘を行うモリオックとヴァルショク(いずれもミラディン人)の姿もあった。


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