『マジック・オリジン』
「第17版」。 永らくマジック:ザ・ギャザリングを支えて続けてきた基本セットが、いよいよその系譜最後のセットの発売を間近にしています。 公式サイトのカードイメージギャラリーも全てのカードがラインナップに加わりました。 プレリリースも目の前です。
『ゼンディカー』以降のエピソードにて物語の中心的役割を持つプレインズウォーカーたち
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《ギデオン・ジュラ》 《ジェイス・ベレレン》 《リリアナ・ヴェス》 《チャンドラ・ナラー》 《ニッサ・レヴェイン》
5人が幼少期を過ごした次元と、初めてプレインズウォークした先の次元がテーマです。 『イニストラード』にて燦然とデビューし、その異質さ故に未だに語り継がれる"変身"能力の再録によって、 彼らが人間(およびエルフ)から"PWの灯"を点け、多元宇宙での至高の存在・プレインズウォーカーへと成る過程がカード化されました。
変身には条件を必要とするものの、これまで最軽量PWであった《悪鬼の血脈、ティボルト》と同じく2マナのPWも登場しています。
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《ヴリンの神童、ジェイス》/《束縛なきテレパス、ジェイス》です。 加えて、クリーチャー面でのサイズにしかデメリット的な要素がありません。
更にはそれより軽い1マナの《アクロスの英雄、キテオン》/《歴戦の戦士、ギデオン》は、 2/1というアグレッシブなパワー/タフネスを誇っています。
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『再録とリメイク』
今回のテーマのもう一つに、過去登場した"強烈な効果を持つカードのリメイク"が色濃くあります。
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同じマナコスト、同じカードタイプ。《Timetwister》にたった1文だけが追加されている《一日のやり直し》。
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魔巧達成時には限りなく《Demonic Tutor》と等しい《闇の誓願》。
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《オパール色の輝き》は、毎ターンのリアニメイトという要素を加えて《ニクスの星原》として新たな輝きを得ています。
そして厳密には赤と緑にも(これらはサイクルというわけではないですが、)サプライズ的な再録カードを得ています。
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《ゴブリンの群衆追い》と《森の伝書使》です。
レガシーにも及ぶ確かな実績を誇るこれらのカードたちは、より狭いプール、 今までそれらを持たなかったモダンやスタンダードでの活躍を大いに期待されています。
今回はモダン・シーズンの最中ということもあり、"マジック・オリジンを得たモダン"で、 新しい4ターン・キル・デッキが出来るのかを考えてみたいと思います。
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『4ターンキルに影響するカード』
『マジック・オリジン』の中から、4ターン目までに与えるダメージの総点数が大きい"高打点"持ちをピックアップしてみます。 ナンバリング順です。
《領事補佐官》 |
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1マナ→2マナ→3マナ→4マナ(速攻)と続けてクリーチャーを展開した場合、第3ターン 2点、第4ターン6点の、合わせて8打点を持ちます。 先制攻撃という戦闘に強い能力なのも見所ですね。《アクロスの英雄、キテオン》+《歴戦の戦士、ギデオン》 |
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第1ターンのプレイで6打点を持つ典型的な1マナのアタッカーですが、打点以外のメリット能力が多岐に渡る優良カードです。
《潮流の先駆け》 |
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バウンス能力が非常に強力なマーフォークの新顔です。単体での打点は第2ターンで4打点ですが、 タップ・シナジーから最も頼りになる《メロウの騎兵》他、ロード達のバックアップによって高ダメージを狙えます。
《魂の略奪者》 |
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2ターン目に出て6打点という及第点のアタッカーです。 ダブルシンボルと、明確なデメリット能力を持ちますが、戦線を維持する能力が特徴です。 余談ですが、自身を墓地から戦場に戻す能力のテキストが、誰が読んでも分かりやすいものになりました。
《冥府の傷跡》 |
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こちらも1マナクリーチャーにエンチャントすることで2ターン目6打点を持ちながら、アドバンテージを狙えるカードです。 ただ自身が初動になれない点で、《魂の略奪者》より優利な点は多くありません。
《茨弓の射手》 |
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1マナの6打点ですが、タフネス2です。相手のタフネス2を越えられない点で2/2に劣りますが、 逆に高タフネス相手にも攻撃にいけるのと、同じ打点のエルフである《イラクサの歩哨》と違いデメリット能力そのものは持ちません。
《ツキノテブクロの浸潤》 |
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若干特徴的な挙動を見せるコンバット・トリックのカードです。多くの場合、1打点です。 "複数体にブロックされている二段攻撃とトランプル持ち"を対象にすることで最大のダメージを形成出来ます。 スタンダードでは《予言の炎語り》と《魂剥ぎ》とのシナジーです。
《満月の呼び声》 |
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2マナで+3/+2は黒のエンチャントにも匹敵する修整値で、9打点です。ライフやプレイそのものに関するデメリットがありません。 更にトランプルを持たせるのでブロッカーを越えることにも有用です。
《カラデシュの火、チャンドラ》+《燃え盛る炎、チャンドラ》 |
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コンバット・トリックの赤いインスタント呪文と最良のシナジーのあるカードです。 1度アンタップを誘発させると5打点です。
《極上の炎技》 |
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3マナ4点の、挙動がとても簡単な火力カードの登場です。 この上なく分かりやすく、また打ち消されないという文言は《差し戻し》環境に於いて非常に強力です。
《ゴブリンの群衆追い》 |
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基本となる2打点に、攻撃したとき他の攻撃ゴブリンの数だけ2打点が追加されていきます。 最大では1マナゴブリン1体(2攻撃)+《ゴブリンの熟練扇動者》(計4攻撃)+《ドラゴンの餌》+《ゴブリンの奇襲隊》(計3攻撃)と、 プラス18打点まで計算出来ます。逆に余りもの振れ幅の大きさから計算しにくい1枚でもあります。
《伝染性渇血症》 |
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2マナの+2/+1と《満月の呼び声》に劣る修整値ですが、速攻を与えるのとサーチ能力が特色です。 《怨恨》にも似た復帰能力ともいえ、終盤の軽量クリーチャーとのかみ合わせが非常に強力です。
《瘡蓋族の狂戦士》 |
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速攻の5打点に加えて、相手のクリーチャーでない呪文にダメージによる制限を与えます。
《飛行機械技師》 |
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自身もトークンを作り、アーティファクト・クリーチャーに速攻を与える3打点持ちです。 ダイナミックなサイズを持つアーティファクト・クリーチャーを第4ターン目に走らせられるでしょうか。
《ドゥイネンの精鋭》 |
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エルフの新顔。ドゥイネン本人は少し重いが、こちらはトークンをお供に出来れば6打点。 頭数の確保という点で、《モグの戦争司令官》にも似ている。
《万神殿の伝令》 |
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英雄的や族霊鎧を活かしたワン・トップ系のデッキに活路があるかもしれない。
《群れのシャーマン》 |
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3打点にエルフの頭数に等しい数の打点が加わる為、最低4打点。 3体あたりから効果的であり、第4ターンにも機能するのが強み。
《搭載歩行機械》 |
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「ロボッツ」などのアーティファクトか"+1/+1カウンター"シナジーのあるデッキでは、継戦力が期待できる1枚。 4ターンキルそのものに影響するパターンは少ないかも。
《神々の兜》 |
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《天上の鎧》と同じ修整の方法ながら、自身は装備品。 単体では打点を持たないのが悩ましいところ。見落としがあるかもしれませんが、以上の19枚が今までモダンになかった新顔の"高打点"持ちのカードです。
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『高打点順』
こう列挙しただけでは少し分かりづらいので、高打点持ちの上位数枚を並べてみます。
《ゴブリンの群衆追い》 |
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能力と部族の特性上、非常にバラつきのある打点ですが、1→2→3→4(速攻)と動いても10打点で、今回の中では唯一の平均2桁です。
《満月の呼び声》 |
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9打点かつ第4ターンにも機能することで、安定した点数が計算出来ます。
《領事補佐官》 |
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平均8打点かつ、自身のみでも打点が仕掛けられるのが上位2枚にない強みです。
この3枚以外は基本的には"4~6打点+メリット能力"の顔ぶれになります。
組むべきデッキが絞られてきました。 《ゴブリンの群衆追い》を入れた「ゴブリン」か、《領事補佐官》を加えた「白単系のアグロ」か。
ここは最高打点を優先して、「ゴブリン」を検討してみましょう。
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またかよ―...と言われてしまいますが、《ゴブリンの熟練扇動者》にも登場していただきます。
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『レガシーのゴブリン』
"下の環境のゴブリン・デッキ"という話題が上がるとき、必ずと言って良いほどレガシーのゴブリンが想定され易いです。
Legacy Daily #8141551(外部リンク)
マナコストがグラフ化されているdig.cardsさんのリストに直接リンクを貼らせていただいています。
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《ゴブリンの従僕》の能力によって最序盤から高マナ域のアドバンテージを取るゴブリンたちを展開して行き、 その圧倒的な物量差でもって対アグロや対ヘビーコントロールに優位に立ち回るデッキです。 《ゴブリンの女看守》によって1枚挿しのカードを持ってくるツールボックス的な側面も強くあります。
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殴って勝つというよりは、相手の妨害を弾いて弾いて生き残ったゴブリンがアドバンテージを作っていって、殴りきる。 という、ミッドレンジの動きが要求されやすいデッキリストとなっています。このリストを念頭に置いてモダンでゴブリンを組もうとすると、あまりにもパーツが足りないことに直ぐ気づくと思います。 特に《ゴブリンの女看守》と《ゴブリンの首謀者》、《ゴブリンの戦長》の不在から、 引いてくる動きと引いてきたカードをタイムラグ少なく展開するという動きが困難です。
あとそもそもの話なのですが、レガシーのこのデッキでは4ターンキルが想定されていません。
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『モダンのゴブリン』
それではモダンで《ゴブリンの群衆追い》を活かした「ゴブリン」とはどういうものなのでしょうか。 リストを埋めていく形で考えていきましょう。
デッキ
2マナ 4 《ゴブリンの群衆追い》
まず現状のモダンを語る上で決して外せないゴブリンがいます。
《ゴブリンの先達》です。
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アドバンテージよりむしろディスアドバンテージ的な要素の強い能力ですが、 1マナ速攻2/2という未だに比肩するものがない"安定した8打点"持ちは唯一無二のものがあります。 現在モダンでは「バーン」で火力的な採用がされています。2回のアタックが通るだけで1マナ4点なので、十分な仕事ですね。そして1マナにはスタンダード・プールに高打点持ちがもう1体。 第1回(リンク)でも取り上げた《鋳造所通りの住人》です。
これまでも繰り返し話をさせていただいている、 "1マナクリーチャーは9枚いると初手に来やすい"という考え方からすると、 もう1枚の1マナクリーチャーが必要ですが、ここでは一旦後回しにします。
"土地24/1マナ9枚/2マナ8枚/3マナ7枚/4マナ6枚/フリースロット6枚" という、いつもの基本枠を用意して、あてはめていきましょう。
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Sample Deck
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