ラクァタスのチャンピオン/Laquatus's Champion
タグ:Card of the Day, Laquatus's Champion, MTGシングル, トーメント, ラクァタスのチャンピオン, 岩SHOWCard of the Day -今日の1枚- 2015/08/18
ラクァタスのチャンピオン/Laquatus's Champion
ラクァタスのチャンピオン/Laquatus's Champion
「チャンピオン」とは即ち優勝者と考えてしまうが、その語源を遡ればこの言葉が他の意味も内包していることがよくわかる。ラテン語にて平地・平野などを「campus」と呼ぶ。
この平野にて、部族紛争を解決するための闘争や領地を巡る戦争が行われていた。そこで戦う戦士達を指す言葉、それが転じてChampionが現在持つ勝者という意味になったとされている。部族を代表し、戦う者。マジックでも、最近ではこの単語を「勇者」と訳していたりもする。
ならばこのカード、《ラクァタスのチャンピオン》はどうか。ラクァタスというのはオデッセイ・ブロックの背景世界に登場する人物《大使ラクァタス》のことだ。このマーフォークは知略・奸計・精神魔法に優れており、ミラーリを手にしてこの世の全てを手に入れんと悪巧み。自身の警護及び武力行使の担い手としてアヌーリッド(カエル)族の戦士、ターグというピットファイターと精神結合し、彼を使役させていた。
ラクァタスが恐るべき魔力と魅力に溢れたアーティファクト・ミラーリを強奪しようと同じ海の敵対勢力に攻撃を仕掛けた所、同勢力の護衛役の大王イカによりこれを阻まれる。激闘の末、ターグは戦死した。
この時、ターグと精神結合していたラクァタスは、ターグの感じた死と大王イカの恐怖の悪夢に苛まれる。これをチェイナーという男が結晶化し、ナイトメアという悪夢を元に生まれたクリーチャーを生み出した。ラクァタスの悪夢から彼の新たなる「戦士」が誕生したのだ。
こんなストーリーにもがっつり絡むクリーチャー、その見た目は最高に邪悪でカッコイイ。炎を背景に立つ筋肉質の...そして触手を携えた怪物。「アメイジング・スパイダーマン」のヴェノムやカーネイジを思わせるそのルックスは、『トーメント』という漆黒のエキスパンションの看板となるに相応しいものだ。
そのカードとしての性能も素晴らしく、まさしく看板レア。6マナ6/3、各種タイタンを見た後だと物足りないかもしれないが当時は黒でここまで高打点を誇るカードも珍しかったのだ。
その上低めのタフネスを補うように黒1マナによる再生もついている。これでガンガン殴りに行けるし、ブロッカーとして用いることも出来る。パワー6もあれば大抵のクリーチャーをぶち抜ける、低タフネスのために黒1マナ毎ターン払うのは必要経費みたいなものと割り切ろう。
これだけだとアンコモンくらいの性能だが、さらにオマケがついていてそれが強力となれば...評価は変わるもの。戦場に出た時に、プレイヤー1人のライフを6点失わせる直接火力的能力。これが強烈。
黒には旧来ライフを失わせる呪文は多くあるが、マナ効率は赤のそれと比べて悪い。しかしこのチャンピオンは6マナ6点、効率は良く、かつ6点という数字は無視できない致命的なパンチ。これ自身が戦場を離れるとそのライフは返還されてしまうが...そこは再生能力で粘ろう。
このライフルーズ能力とそのパンチ力で黒単コントロールなどのフィニッシャーで使われたりもしたが、これを複数同時に戦場に出して一撃で決めるコンボデッキにトライする者の姿も多く見た。というか僕らのグループがそうだった。《生き埋め》《納墓》《黄昏の呼び声》...最終的に「素直に使おう」という結論に辿り着いた時、僕らは1つ大人になった。