凶暴なゴリラ/Savage Gorilla
タグ:Card of the Day, MTGシングル, Savage Gorilla, アポカリプス, 凶暴なゴリラ, 岩SHOWCard of the Day -今日の1枚- 2015/08/26
凶暴なゴリラ/Savage Gorilla
1つだけツッコミたいことがあって、しばらくその時が来るのを待っていた。今日、ようやく公の場でそれをすることが叶ったわけだ。満を持して、さあ言わせてもらおう。《凶暴なゴリラ》というこのカード...どう見てもオランウータンやん!顔の側面、両頬にあたる部分が平たく大きく発達しており、これはオランウータンの雄に見られる特徴である。このでっぱりをフランジと呼ぶ。これは不思議なもので、他の雄との喧嘩などで勝利し、強さを証明することによって発達する。個体によっては生涯発達しないものもいるし、20年間何もなかったのにある日の喧嘩で勝利してからみるみるうちに膨らみはじめたという例もある。脳内麻薬的なものが作用しているのだろうか、不思議なものである。
話は戻って、こいつはどう見てもオランウータンだろう。フランジといい、オレンジ・茶色のフサフサした長い毛といい...ゴリラっぽさを探す方が難しい。と、長い間思ってきた。このカードが活躍することももうないだろうし、実況なんかしていて「そう言えば今盤面にいる《凶暴なゴリラ》、あれオランウータンですよねどう見ても」なんて言うこともないだろうからこのコラムしかないなと思っていた。「サル・ウィーク」は半分はこれを言いたくてやった。マジックの世界にはゴリラとオランウータンの両方が生息しており、それらの前例を見てもこのカードがオランウータンにより近い特徴を持っていることは明らかだ。これは「ファイレクシア人を喰らうサルを描いてくれ!」とオーダーしたのか、アーティストがオランウータン的特徴をゴリラに加えたのか、その経緯が気になるところである。多分、地球でこれについてあれこれ考えていた人間は非常に少ないと思うので、今ここでそれが共有出来て本当にスッキリした気持ちだ。
延々見た目の話をしてきたが、カードとしての能力はなかなか面白い。5マナ3/3、緑の単色のクリーチャー、それもゴリラを冠するカードとしてはサイズ不足な点は否めない。このカードが真価を発揮するのは、青と黒のマナを用いることが出来る3色以上のデッキにて。その能力は、2色のマナとこれを捧げることで-3/-3修正を飛ばしつつ1ドローが出来ると言うもの。アドバンテージを失わない、優良除去能力だ。
かつては現在の何バイも強力なカードだった。このカードが出た『アポカリプス』当時は、"当て逃げ"というテクニックが存在した。クリーチャーが攻撃しブロックされ、そしてダメージが...今とは違って、スタックに積まれる。いわば、発生保証だ。このゴリラの場合、相手のクリーチャーをブロック後、ブロックされているクリーチャーに3点のダメージを与えることがまず保障される。その後、これの能力を起動させて生け贄に捧げる。対象とするのは、ゴリラにブロックされているクリーチャー、これが5/5だったら、修正を受けて2/2に。その後、3点のダメージが解決される。タフネスに3点ダメージで見事撃退、というわけだ。ゴリラはもう戦場にいないのにダメージが与えられる、かつてのマジックの不思議ルールだ。これを上手く使えば、ゴリラ1体で2体以上のクリーチャーを迎え撃った上に1ドローまで。さすがに重さと色拘束で構築では活躍しなかったが、リミテッドでは極めて強力なクリーチャーとして良い仕事をしていたものだ。個人的に、『タルキール覇王譚』『運命再編』に再録されることを願っていた1枚だった。...よく考えたらアジアにゴリラはいないのか、やっぱりオランウータンだったなら...。