尊い祖霊/Benevolent Ancestor

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Card of the Day -今日の1枚- 2015/08/12

尊い祖霊/Benevolent Ancestor

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 お盆とは、先祖の霊が現世に還ってくる期間である。茄子なんかのお野菜で馬を作ったりするのは先祖が使う乗り物で、こういうものを子ども達とこしらえるところに日本人の先祖への思いが見て取れて好きだったりする。僕は生まれる前にじいちゃん二人共が亡くなっているので、先祖と言われてもピンとこなかったのが小さな頃の正直な感想だ。じいちゃんのじいちゃんとか言われてもわからんしなぁと。ただ歳を経るにつれて、こうやって故人を・会ったこともない人々を偲ぶのも素敵なことだなぁとしみじみ思うようになった。会ったことがないからこそ会いたくなるんだなぁと...。

 

 さて、当コラムも明日からしばらくお盆休みをいただくことになるが...その間に、ここを護ってくれる祖先の霊を召喚しておこうと思う。《尊い祖霊》を紹介しよう。

 

 「扉は薄っぺらで鍵も情けないほどの小ささだが、ジョスリの一家は夜など全然怖くない。」

 

 ラヴニカなんて見るからに治安が悪そうな場所で、ジョスリさん家の人々は夜中に出歩いたり安心してグッスリ眠れるようだ。それは祖先の霊が彼の一族を護ってくれるから。3マナ0/4防衛、タップ能力でクリーチャーかプレイヤーに与えられるダメージを1点軽減。優しさに満ちた能力で、自身の家族を護りつづける守護霊的カードだ。実はほぼ同じ能力の《石膏の壁》が既に『メルカディアン・マスクス』にて作られていた。差異は壁かスピリットか。この違いは、『ラヴニカ:ギルドの都』登場前年に『神河物語』にて"防衛"がキーワード能力となり、攻撃できないクリーチャー=壁の方式が取っ払われたことが大きく影響しているだろう。壁役を壁でないクリーチャーが担えるようになり、非生物すぎる壁は積極的に作られなくなっていった。また、同神河にてスピリットがプッシュされた余韻とも言えるだろう。ラヴニカでは生けるものは死後、幽霊となってこの都市に埋め尽くされた次元に住み続ける。これらの条件が重なって、《石膏の壁》はより部族シナジーの強いスピリット《尊い祖霊》へと生まれ変わった...って考え過ぎか。

 

 あまり強いカードとは言えないが、所謂"ヒーラー""プリベント"であるためリミテッドではそこそこ有用。こういったカードで地上を固めて、飛行クリーチャーで殴っていくのはリミテッドの基本中の基本だ。言うまでもなく、構築では使われるレベルのカードではなかった。それから長い時を経て、今では《ニクス毛の雄羊》というある意味このカードの調整版とも呼べる1枚がバリバリ使われていたり。マジックの進化を感じずにはいられない。皆が今触っているカードも、こういうご先祖カードがあってこそ。たまには思い出してあげるというのが、我々が出番のないカード達にしてやるべきことだったりするのではないかな。


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