「日本ヴィンテージ選手権2015 Autumn」ROUND6 輪田一樹vs上杉善教

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「日本ヴィンテージ選手権2015 Autumn」ROUND6 輪田一樹vs上杉善教 text by Seigo Nishikawa ヴィンテージを愛する22名のプレイヤーによって、スイスドロー6回戦+シングルエレミネーション2回戦で行われている今大会。ヴィンテージとしては珍しい長丁場でありながらも脱落者も少なく、ここまで皆がにこにこと対戦をしている。ヴィンテージをできることの楽しさを全身で享受している。 それに加えて「王者」の称号も現実的になってきているのだ。これで心躍るなというほうが野暮というものである。そんなプレイヤーの中でも終始楽しそうな笑顔を浮かべる二人をフィーチャー席にお迎えした。   vitage-r6-01 Game1 先手は上杉、《思案》はあるも、それ以外が土地だらけ。それでもじっと考えた上でキープする。一方の輪田には土地が無く、これでは検討することもできずテイクマリガン。続く6枚も土地が1枚ではあるが、《死儀礼のシャーマン》の存在を認めて、ゲームの開始を宣言した。 上杉は《Volcanic Island》から予定通りの《思案》。ここで見えたカードが《定業》《噴出》《精神的つまづき》という安定感溢れる3枚。《Mox Jet》と《Blacker Lotus》をセットして第1ターンを終了する。 輪田は《汚染された三角州》から《Underground Sea》を調達すると《死儀礼のシャーマン》をキャスト。上杉はこれには動かず、輪田は一先ずマナトラブルを解消する。 上杉は《定業》を唱え、ここで見つけた《露天鉱床》で輪田の土地を奪い取る。それでも《死儀礼のシャーマン》を残せた輪田は《闇の腹心》を戦場に送り込む。上杉・輪田の双方から《Force of Will》が飛び、無事に《闇の腹心》は戦場へ。そしてこの《闇の腹心》が悪鬼のごとき活躍を見せる。 《闇の腹心》は輪田に土地を供給し、輪田への忠誠心の高さを示すと、輪田はそれに応えて2枚目の《死儀礼のシャーマン》。1マリガン・1枚土地キープとはとても思えない快調な動きを見せる。 一方の上杉。マナソースだらけのハンドで開始した上に、そもそもクリーチャー対策手段に薄いヴィンテージということもあり、この輪田のクリーチャーに抗することができない。 輪田は追撃の手を緩めない。《精神を刻む者、ジェイス》で追い討ちをかけると、上杉のライブラリートップから《僧院の導師》を奪い取る。神はヴィンテージの世界でも輝いている。 上杉はフェッチランドを起動するとライブラリーをひっくり返し「お前、そこにいたのか」と嘆息。場所が1枚分ずれていれば、勝負はひっくり返っていたかもしれない。 vitage-r6-02 その支配力はまさに神の名こそがふさわしい。 《闇の腹心》はひたすら土地を捲り、そしてこつこつと上杉のライフを蝕む。続くターンに、《精神を刻む者、ジェイス》が、上杉のトップ1枚を下に送ると上杉は苦笑い。輪田が《三角エイの捕食者》まで追加すると、上杉は「もう無理でしょう」と一言告げる。 上杉が《死儀礼のシャーマン》を打ち消していたら、《僧院の導師》がもう少し上にいたら、ついたらればを言いたくなるような、ギリギリのGame1。 輪田 1-0 上杉 Game2 上杉が土地3枚《Mana Crypt》《Force of Will》《狼狽の嵐》《渦まく知識》を深く考えながらもこれをキープ。輪田は再びのマリガンを宣言し、奇しくもGame1と似た立ち上がりとなる。果たしてゲーム展開までそうなってしまうのだろうか。 上杉が《Volcanic Island》から《渦まく知識》。これに輪田は《精神的つまづき》で待ったをかける。世の中に登場するや、即座にレガシー界から追放された凶悪スペルもヴィンテージであれば4枚使用可能。そしてその打つ対象はより取り見取りだ。 初手をキープした理由となった《渦まく知識》を失ってしまった上杉だが、ここで引き込んだのが《ダク・フェイデン》。即座に輪田も《Force of Will》で応じるが、上杉が打ち返し、Game1とは逆行した展開となる。 1枚1枚のカードが強力なヴィンテージでは、《ダク・フェイデン》の+1能力が想像以上の破壊力を誇る。これを輪田は許容することはできない。《突然の衰微》でこれを即座に排除して一息。盤面の優位はいまだ二人の間で揺れ動く 輪田は《ヴェンディリオン三人衆》で仕掛けていく。手に除去カードを持たない上杉はこれを《Force of Will》せんとするのだが、残すカードを《誤った指図》と《精神的つまづき》で悩み……最終的につまづきを放棄することを選択。 いずれにせよ、《ヴェンディリオン三人衆》は成就しない。 輪田の第二の矢は《漁る軟泥》。これは無事着地し、ようやく戦場が活気を呈し始める。しかし上杉のドローは現代に生まれ変わった《Ancestral Recall》こと《宝船の巡航》だ! 両者の強力なトップデッキ対決が繰り広げられる。まだまだ予断を許さない。 それでもやはりクリーチャー除去が薄い上杉のデッキ。3枚のドローでは足りないのか、輪田の旗下に《漁る軟泥》が残り続ける。とにかくこれを排除しないと身動きの取れない上杉は《思案》をキャスト。これに少し反応を示す輪田だが、すぐに許可の意思を示す。輪田の手札には《精神的つまづき》が残されているか。 思案からは《Time Walk》とつなげ、1枚もう1枚と掘り進める上杉。だが無情にもどうしても《漁る軟泥》を排除する術が見つからない。上杉のライフがじわりじわりと削られる。輪田から《死儀礼のシャーマン》まで追加されると思わず頭を抱える。 ライブラリーのトップを覗き込むと「良いとこなかったなぁ……」とデッキを片付けるのであった。 輪田 2-0 上杉 輪田、決勝トーナメントへ進出決定!