【GP名古屋2016】Coat of Arms ~部族モダンへの誘い~
タグ:カバレージ, グランプリ・名古屋2016, 部族モダンtext by 岩SHOW
0.はじめに
部族モダン。
このフォーマットは、GP神戸のサイドイベントにて初めてトーナメントが開かれ、主催者側の僕らも驚く100名オーバーの参加者を集めた(当初は定員を64名で設定し、30名は来るかなという読みだったが...まさかまさかの108名)。
まずは、参加された皆様。本当にありがとうございました。その場のノリでデッキを組んだ方も、普段から愛用していたデッキでそのまま来た方も、この企画のために温めたネタを持ち込んだ方も...参加者全員があの瞬間を楽しんでくれていたら、一トーナメント発案者としてそれに勝る喜びはない!
このフォーマットの誕生経緯について語ると...GPサイドイベント会議中のこと。
正直、眠かったのを覚えている。
何か色々と思考が混ざり合った状態で、議題は「何か新しいサイドイベントはないか」というものへ。
ちょうどその頃はPPTQがモダンシーズンに突入したころで、モダン楽しい!頑張るぞ!などモダンに対してポジティヴな発言がネット上に発信されだしたタイミングで...
《血清の幻視》がゴリゴリと値を上げだしたあの頃だ。そのシーズンが終わって迎える11月のGP神戸で、モダンプレイヤー達に遊び場を提供してあげたいという方向で話は進んでいた。
「部族モダン、すね。」
気が付けば、その謎の単語を口にしていた。部族デッキってやっぱ良いよな~とか、そういうことを考えていたのだと思う。
後付けで「モダンはカードプールが広く色々な部族デッキが組めるし、たぶん秋の『戦乱のゼンディカー』にはエルドラージと同盟者が多数収録されるから、それらを使う喜びもあるはず。
ガチガチの競技思考プレイヤーはSuper Sunday Seriesに参加するから、どちらかと言えばカジュアル寄りのプレイヤーも楽しめるイベントをやりたい。のであれば、部族モダンこそが!」
みたいな理念を掲げ、周囲を納得させて正式採用に至る、と。
いや~何でもノリで言ってみるものだね。何気ない一言が、100名の心に響いたのかと思うと嬉しくてしょうがない。
1.部族モダンとは
部族モダンとは、なんてことはない、一言で言ってしまえばモダンである。
『第8版』以降の、所謂新枠の通常エキスパンションセットに含まれるカードのみを用いた構築フォーマット。
禁止カードは...やたら多いので、Wikiでも調べてくれ(丸投げ)。
このフォーマットは環境の多様性を重視しているようで、部族スキーにはありがたいことに《罰する火》《梅澤の十手》のような致命的なカードを禁止し、《魂の洞窟》などはフリー状態。
この広大なカードプールで、皆それぞれに思い入れのある部族をフィーチャーしたデッキ同士で遊ぼう!というのが部族モダン。
モダンフォーマットのルール内で、メインデッキに同一のクリーチャータイプを持つカードを20枚以上入れたデッキを構築し、それで対戦する。
これだけ。《苦花》や《すべては塵》などの部族カードもそれとカウントするが、基本的にはナチュラルにクリーチャーが20枚以上入ったデッキを作ることになるだろう。
ちなみに、『ローウィン』『モーニングタイド』の"多相"能力を持った連中は、すべてのクリーチャータイプを持っているが、どの部族としてもカウントする、というわけではない。能力は抜きにして、あくまでカードとして与えられているクリーチャータイプのみを参照するので、上記の連中は「多相の戦士」としてのみカウントする。
全国のアバター党の皆さんには申し訳ないが、《運命の大立者》をアバターの1マナ域として換算することは出来ない。
ただし、構築の20枚縛りの枠内にカウントしないだけで、デッキに他の部族カードを入れてはいけないという訳ではない。
《傲慢な完全者》で《カメレオンの巨像》のサイズを上げてもよし。
究極論、土地20エルフ20ゴブリン20で一人デュエルデックなんて構築もOKだ。
既存のモダンデッキでこの条件を満たしているものは勿論存在する。例えば「マーフォーク」デッキなんかはそのまま持ち込むことが可能だ。
その他のデッキも、それをベースにちょっと工夫するだけで簡単に専用デッキを作ることが出来るだろう。今回は、そういったデッキ及び個人的にオススメな部族デッキを紹介していこう。
2.メジャー部族・メジャーデッキの紹介
「マーフォーク」
まずは先ほど例にあげたマーフォークを紹介しよう。
『基本セット2013』で《真珠三叉矛の達人》、『テーロス』で《波使い》と、ここ数年強力なカードを獲得した青の代表部族。
元より《アトランティスの王》《メロウの騎兵》《銀エラの達人》《呪いとらえ》と駒が揃っていた所にこれらが加入して、古くからのマーフォークマニア達は大歓喜。
モダンではずっとマーフォーク一本でやっているよというプレイヤーも少なからず存在する。
《霊気の薬瓶》による展開と《広がりゆく海》や軽量カウンターによる妨害を同時に行ってくる手数の多いデッキだ。
通常のモダンと違って部族モダン専用の構築をするならば...《魂の洞窟》環境なのでカウンターよりも《水大工の意思》を積極採用してそれらを攻めた方が良いのかもしれない。
・主要カード
《アトランティスの王》
《真珠三叉矛の達人》
《メロウの騎兵》
《銀エラの達人》
《呪いとらえ》
《波使い》
...etc.
「エルフ」
マーフォークと同じく最古の部族の1つであり、多くの次元に生息しているためモダン環境でもバラエティ豊かな面々でデッキ構築が可能だ。
《遺産のドルイド》と《イラクサの歩哨》《ドゥイネンの精鋭》が絡むと、それはもう溢れんばかりのマナが。これを用いて大量展開したら、《エルフの大ドルイド》から大量のマナを捻出し《背教の主導者、エズーリ》の能力を起動しまくって相手を踏み潰す!
《集合した中隊》《召喚の調べ》で《群れのシャーマン》を複数展開するのも強力な勝ち方だ。
レガシーのデッキと違って《ワイアウッドの共生虫》や《死儀礼のシャーマン》を使えないためトリッキーな立ち回りは出来ないが、真っすぐに展開し大ダメージを叩き出す気持ち良さはモダン仕様の方が勝っている。目指せ三桁ダメージ!
・主要カード
《遺産のドルイド》
《イラクサの歩哨》
《群れのシャーマン》
《エルフの神秘家》
《エルフの大ドルイド》
《エルフの幻想家》
《背教の主導者、エズーリ》
...etc.
「ゴブリン」
古の部族御三家の赤はゴブリン。かつては《ゴブリンの従僕》《ゴブリン徴募兵》でエクステンデッドの天下を取ったゴブリンも、モダンでは戦果を残してはいない。
それはやはり赤ゆえの悩み。モダンに溢れるコンボデッキには、妨害を持たない色であるためなかなか勝てないのだ。
ただ、今夜設けられたステージはそういった連中が不在の部族モダン。《ゴブリンの熟練扇動者》という頼もしい打点王が、火を噴けるかもしれない。今なら《ゴブリンの群衆追い》もいるぞ。
こちらも赤緑で組んで《集合した中隊》から展開すると気持ちよくなれるだろう。速攻を与える《ゴブリンの酋長》がいるため、他の部族よりデッドリーなアクションが行えるだろう。
・主要カード
《ゴブリンの酋長》
《巣穴の扇動者》
《ゴブリンの熟練扇動者》
《ゴブリンの群衆追い》
《ゴブリンの先達》
...etc.
「エルドラージ」
最新セット『ゲートウォッチの誓い』で最も強化される部族がこのエルドラージ。そもそも、現状モダンで有力デッキの1つとされているのが「黒単エルドラージ」。
《エルドラージの寺院》《ウギンの目》から高速でエルドラージを叩き付けるこのデッキ、出てきた時は「なんか派手なのが結果残してるな~ブン回ったのかな」くらいの扱いだったが...それ以降も安定して勝ちを重ね、研究が進んで白をタッチしたものなどが広く使われるようになった。そしてここに来て、無色で強力なエルドラージが大量加入!
特に《難題の予見者》は2ターン目に叩き付けることが可能で、手札を確認しながらキープ基準となった1枚を奪いつつ、4/4が戦場に残るというギャグのようなアクションで対戦相手に地獄を見せることが出来る。
他にも《作り変えるもの》《現実を砕くもの》など選択肢は豊富で、通常のモダンでもプロツアーで使用率が高そうだと目されているこのデッキ。部族モダンでも最強の一角を担うことだろう。
特殊土地にかなり依存している構成なので、それらに刺さるカードを...具体的には《血染めの月》が使えると、本来の動きをされる前に完封することが出来るだろう。と考えると、先に紹介した「ゴブリン」は対抗馬としてなかなかやりそうな気がする。
また、前回の部族モダンではモダンの「トロン」にエルドラージと《すべては塵》をガッツリ積んだ「エルドラトロン」もちらほら見られた。《大いなる歪み、コジレック》も使いたくなるカードだもんなぁ。
これを踏まえても、《血染めの月》むっちゃ強そう。
・主要カード
《難題の予見者》
《忘却蒔き》
《不毛の地の絞殺者》
《現実を砕くもの》
《作り変えるもの》
《絶え間ない飢餓、ウラモグ》
《完全なる歪み、コジレック》
...etc.
「同盟者」
メジャー部族・デッキの項でこの部族を紹介するのも違う気はするが、エルドラージを紹介したのでその対比となる存在として。
『戦乱のゼンディカー』では、同盟者固有の新能力"結集"を持った新顔が登場。以前のゼンディカーブロックの面々とは少々趣が異なる彼らの加入で、それまでのただ出して殴るデッキではなく、別の勝ち手段を獲得。これまた《集合した中隊》で攻める速攻型ナヤカラーか、《カラストリアの癒し手》と《墓所からの行進》で一気に相手のライフをドレインするコンボを携えた4カラーデッキなんかがオススメだ。
5色で全同盟者を《タズリ将軍》が従える構築も、一度はやってみたいもの。エルドラージに勝つことはまあ...難しいだろうが、だからこそ挑む価値はある。
・主要カード
《ハーダの自由刃》
《カザンドゥの刃の達人》
《オラン=リーフの生き残り》
《カビーラの福音者》
《カラストリアの癒し手》
《ランタンの斥候》
...etc.
「フェアリー」
フォーマット制定時より禁止だった《苦花》が解禁されたことで、かつてスタンダード環境を席巻した「フェアリー」がモダンでも使えるようになった。
《苦花》はそのまま『モダンマスターズ2015年版』に再録され、当時憧れていたけど手が出せなかったというプレイヤーが組みやすくなったの朗報だ。
ファンの多い部族ではあるが、プレミアイベントで大きな結果は残していない。通常のモダンと違った環境であれば、そのポテンシャルを発揮できるか。
クリーチャータイプ的に、近年のセットでは追加のカードがなく、ワクワク補強はない状態。むしろ補強された面々をどう迎え撃つか?《難題の予見者》に本家本元《ヴェンディリオン三人衆》のなんたるかを見せつけることは出来るか?
・主要カード
《苦花》
《呪文づまりのスプライト》
《ヴェンディリオン三人衆》
《霧縛りの徒党》
《誘惑蒔き》
《ウーナの末裔》
...etc.
「人間」
マジック全体でも断トツの枚数を誇る最大勢力。基本的なクリーチャーからトリッキーな1枚まで、何でもござれの超万能部族。何も考えずに組んだデッキがそのまま人間部族デッキとして使用できるレベルだ。
「ノリンシスターズ」なんかはそのまんまでも人間部族デッキであり、なおかつ対クリーチャーデッキにも強くて良いチョイスではないだろうか。あるいは「5色人間ズー」なんてデッキもある。《教区の勇者》から《カマキリの乗り手》とマナカーブに沿った展開をするだけで尋常ならざる打点を叩き出す爽快感溢れるデッキだ。
・主要カード
...いっぱい!
「スリヴァー」
部族と言えばやはりスリヴァー。そもそもすべてのスリヴァーが、他のスリヴァーと並べることに意味があるカードとしてデザインされている。
お互いの能力をお互いに付与しあうこの部族、モダンではサイズアップの《筋力スリヴァー》《捕食スリヴァー》《菅草スリヴァー》3種12枚が使用可能。このロードの数はマーフォークにだって負けちゃいない。
そして彼らには得られない飛行や速攻、絆魂などのキーワード能力も全体に付与することで、ダメージレースでは最強の部族と言ってもいいかもしれない。
同種間のマナコストが2と3で固められているため、《霊気の薬瓶》で怒涛の展開が可能。《集合した中隊》との相性の良さは...言うまでもないよね。
オールドファンも多いため、トーナメントにおいてもかなり使用者が多い部族になると予想される。《魂の洞窟》《スリヴァーの巣》《変わり谷》と、特殊土地に依存したデッキであるためそれを突くカードをサイドに持っておくと有利に立ち回れるだろう...と思いきや、前述の薬瓶と《マナ編みスリヴァー》でなんとかしちゃうしぶとさもあって、一筋縄ではいかぬ印象。
・主要カード
《風乗りスリヴァー》
《筋力スリヴァー》
《捕食スリヴァー》
《菅草スリヴァー》
《吸管スリヴァー》
《暗心スリヴァー》
...etc.
「シャーマン」
個人的にかなり好きな部族なのでプッシュしたい。そもそもモダンでも強いデッキではあるし、前回の部族モダンでも準優勝につけている実力派だ。
サンプルリスト 「シャーマン」 Tsujisaka Shoichi 部族モダン準優勝 |
22land 2《変わり谷/Mutavault》 2《魂の洞窟/Cavern of Souls》 18《山/Mountain》 24creatures 4《火飲みのサテュロス/Firedrinker Satyr》 4《炎族の先触れ/Flamekin Harbinger》 3《トゲ撃ちの古老/Spikeshot Elder》 4《炎樹族の使者/Burning-Tree Emissary》 3《激憤の巫師/Ire Shaman》 4《憤怒の鍛冶工/Rage Forger》 2《地獄乗り/Hellrider》 14spells 4《稲妻/Lightning Bolt》 4《灼熱の血/Searing Blood》 3《電弧の痕跡/Arc Trail》 3《伝染性渇血症/Infectious Bloodlust》 sideboard 1《大爆発の魔道士/Fulminator Mage》 2《月の大魔術師/Magus of the Moon》 2《鋳塊かじり/Ingot Chewer》 1《斑点の殴打者/Stigma Lasher》 2《頭蓋割り/Skullcrack》 2《火柱/Pillar of Flame》 2《焙り焼き/Roast》 2《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》 1《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》 |
《鏡割りのキキジキ》もシャーマンなので、無限コンボを仕込むのも簡単。
「構築物」
サンプルリスト 「酔いどれ構築物」 Takatsuki Ryo 部族モダン優勝 |
16lands 1《山/Mountain》 3《空僻地/Glimmervoid》 4《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》 4《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》 4《ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel》 28creatures 4《メムナイト/Memnite》 4《搭載歩行機械/Hangarback Walker》 4《電結の働き手/Arcbound Worker》 4《鋼の監視者/Steel Overseer》 4《鋳造所の隊長/Chief of the Foundry》 4《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》 4《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》 16spells 4《オパールのモックス/Mox Opal》 4《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》 4《頭蓋囲い/Cranial Plating》 4《鞭打ち炎/Whipflare》 sideboard 4《感電破/Galvanic Blast》 4《ファイレクシアの破棄者/Phyrexian Revoker》 3《刻まれた勇者/Etched Champion》 2《呪文貫き/Spell Pierce》 2《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》 |
ちなみに《電結の荒廃者》はタイプがまさかのビーストなので、このリストをいじろうという人は気を付けて。
この構築物親和に限らず、装備品も強い環境ではあるので、サイドにアーティファクト対策は必至だ。
狙われる側となった王者が、挑戦者たちに再度そのデッキパワーを見せつけることになるか?ここも今回のトーナメントの焦点となろう。
この他にも、キスキンや戦士、ウィザードなどもシナジーが用意されていてそれらを集めればそのままデッキになる部族だ。
ウィザードに関しては、シナジーゼロでも青黒のクリーチャーを適当に集めてればデッキになるレベル。
3.歴史に名を刻め!マイナー部族で勝つ!
メジャーなクリーチャータイプ、即ち部族シナジーを意識してデザインされたカードが多いタイプはデッキを組むのは簡単だ。
だからこそ、何のサポートも存在しないヤツらを20体採用したデッキを組みたくなるのもまた人情。
前回の部族モダンでも、そういった我が道を突き進む構築で参戦した勇者たちの姿を多数見ることが出来た。ここではその一部を紹介しよう。
「ホラー」
ホラー...マジックの生誕から今日まで、ありとあらゆるセットに定期的に収録されているクリーチャータイプだが、これがフィーチャーされたことは未だかつてない。
前回の部族モダンはホラーが初めて日の目を浴びた瞬間だった。部族シナジーを持たない彼らを20体集めてデッキを作るとは...男の中の男、と言っても過言ではあるまい。
残念ながらデッキリストまでは見ていないのだが、赤黒の除去コン・ミッドレンジのように見えた。盤面に見えたのは...
《ファイレクシアの破棄者》
《ファイレクシアの憤怒鬼》
《ファイレクシアの抹消者》
《ニヒリス》
までは確認できた。後は皆で考えてくれ!
《ファイレクシアの破棄者》のカードタイプがインクのしみではなく意味のあるものだった瞬間を作ったプレイヤーに拍手。
「サイ」
「サイいましたよ!」GP神戸のカバレージ・ステージイベントスタッフが集うバックヤードに、部族モダンダイジェスト担当者の報告が響いた。その新たな発見への好奇心に満ちた言葉に、カバレージを描き上げている途中のスタッフ数名が席を立って現場に向かったような記憶があったり。それだけ、強烈な響きでありながら「なるほどな」と納得させられる側面もある。モダンでも最強4マナクリーチャーの呼び声も名高い《包囲サイ》を使うには、部族サイで統一すれば良いというシンプルな解答。モダンで使えるサイね...
《ロウクスの戦修道士》
《不屈の随員》
《石角の高官》
《ロウクスの信仰癒し人》
《包囲サイ》
どれもシブく、歯ごたえのあるカード達。《滞留者、ヴェンセール》で《石角の高官》と《包囲サイ》を使いまわす、バントカラータッチ黒のシナジー重視のミッドレンジなんかを組みたい。
回していて楽しいこと請け合いだ。
「工匠」
いやはや皆の想像力の豊かさには驚かされる。否、創造力、が正しいか。工匠というクリーチャータイプをフィーチャーしたデッキなんて、今まで見たことがない。
《主任技師》
《大建築家》
《エーテリウムの彫刻家》
《練達の変成者》
《工匠の神童、ミシュラ》
3種12枚のアーティファクトのコストを軽くする工匠クリーチャーで、《ワームとぐろエンジン》《殴打頭蓋》といった重めのアーティファクトをスムーズに唱え、それを《工匠の神童、ミシュラ》で2枚に増やしている場面を目撃した。さすがにダブルワームダブルバターはダメージレースを完全にひっくり返す、恐ろしき一手。これにもアイディア賞の拍手を。
「リバイアサン」
《ウーラの寺院の探索》という唯一のリバイアサンサポートカードを用いて、マナコストを踏み倒して巨大海洋生物を叩き付けるデッキが、前回の大会では異彩を放っており、ギャラリーも少なくなかった。
そりゃ、こんなデッキが回ってるところなんてなかなか見れるもんじゃないからな。
サンプルリスト 「青緑リヴァイアサン」 小出優一 |
15lands 12《島》 2《ハリマーの深み/Halimar Depths》 1《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》 29creatures 4《エピティアの賢者/Sage of Epityr》 4《占いフクロウ/Augury Owl》 4《ゴロゾス/Grozoth》 4《嵐潮のリバイアサン/Stormtide Leviathan》 4《墨溜まりのリバイアサン/Inkwell Leviathan》 3《シミックの空呑み/Simic Sky Swallower》 3《道理の宿敵/Nemesis of Reason》 3《真珠湖の古きもの/Pearl Lake Ancient》 2《物知りフクロウ/Sage Owl》 1《前兆語り/Omenspeaker》 1《審判官の使い魔/Judge's Familiar》 13spells 4《血清の粉末/Serum Powder》 4《ウーラの寺院の探索》 4《時計回し/Clockspinning》 1《テゼレットの計略/Tezzeret's Gambit》 |
激しいぜ...リストから漂う、日ごろからこのデッキを回している感。
一度コピーして、ウーラウーラして楽しんでみてほしい。しかしリバイアサン20体とは正気の沙汰じゃないな、何度見ても(褒め言葉)。
「巨大戦車」
「粋」である。マジックは、粋なんである。
粋であるか否かを試してくるカードゲームだ。
「部族モダン」と聞いて、一体誰が「じゃあ巨大戦車単を作ろう」となるというのか。
訳が分からない。だが、それが良い。だからこそ、それが良い。
別件で忙しく、実際に巨大戦車軍が強制アタックを繰り返す戦場は見ていないが、さぞや爽快感溢れるものだったに違いない。戦車はロマンだ。
《巨大戦車》
《破衝車》
《電位式巨大戦車》
《電結の破壊者》
《ファイレクシアの巨大戦車》
部族モダンで使用されたリストがどういったものかはわからずじまいだったが、巨大戦車単を作った人間がこの世界にいるという事実に感銘を受けて僕もデッキを作ってみた。
どういうデッキかはこの動画にあるのでお時間があれば。ここではワンショットキルを搭載した超ロマン砲デッキとしての「ジャガーノートロン」を使用しているが、《電位式巨大戦車》とイカれた相性の《陰惨な殺戮》でバリバリ薙ぎ倒す大・巨大戦車コンボを積んだ形もオススメだ。エルフでもマーフォークでもエルドラージでも持ってこいやぁ。
4.部族モダンの明日
参加者108名という予想外の人気を博し、SNS上でも話題になったことでGP神戸の単発企画ではなく、続くGP名古屋のサイドイベントにも採用された。
全国のヘンテコデッキ愛好家は、1月31日(日)GP名古屋の会場へ集え!
当日はイベントの模様を僕、岩SHOWが取材しお届けする予定!
デッキリストも多数掲載予定なので、お家でグランプリ観戦勢も楽しみにしてほしい!
最後に、注意を。
如何にマイナーな、クレイジーな部族を使うかが問われる部族モダンで《蒸気打ちの親分》をメインに据えたデッキを組むぞ!と思った勇者もいるかもしれない。
残念ながら、親分が強化するタイプ「装具工」はこの世に親分含め2枚しか存在しないんだ...だから、親分デッキは諦めてくれ!
むしろ、装具工が2種類いたことに驚きだ。
《モリオックの装具工》、完全に名前に合わせた後付けで、カードに印刷すらされていない。
じゃあ、日曜日にお会いしましょう!
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