【GP名古屋2016】グランプリ・名古屋2016 レガシー選手権Winter 準々決勝 森嶋 亮太(京都) 対 長谷 武則(愛知)
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グランプリ・名古屋2016 レガシー選手権Winter 準々決勝 森嶋 亮太(京都) 対 長谷 武則(愛知)
Text by 森安 元希 スイスラウンド7回戦を終えて、八傑が決まった。内7人が2引き分けないし1敗の成績でまとめている。 いずれ劣らぬ強豪たちが、いよいよシングルエリミネーションでの斬り合いを始める。 いわゆる二番卓。 6勝1敗の森嶋 亮太 対 5勝2ID 長谷 武則よりフィーチャーをお届けする。 合意引き分け(ID)によってスイスの点数・順位が引き下げられる現象によって、スイスの順位はその地点での彼らの実力差を全く示さない。事実、点数の低い長谷は今日、無敗の成績とも言える。 (左)森嶋 亮太。 レガシーを代表するアドストームを使い、6勝を収めてきたテクニック・プレイヤーだ。 レガシーの盛んな京都でもその実力と名は知れている。 (右)長谷 武則。 コンボとは対照的な、汎用性・万能性に優れる「エスパーブレードのようなもの」とトップ8プロフィールには記している。 しかしてその実態は―…? Game 1 決勝トーナメントのルールに従いスイス上位の森嶋が先手を宣言する。メイン戦の圧倒的な勝率を特徴とするアドストームが取れる先手のメリットは果てしなく大きい。 森嶋のオープニングハンドは土地、マナ加速、《ギタクシアス派の調査》、《苦悶の触手》と揃っており、少しのカードで始動できそうだ。 対する長谷は悲運に見舞われた。トリプル・マリガン。 それでも頷いてキープしたハンドを《ギタクシアス派の調査》によって森嶋に暴かれる。 《暗黒の儀式》と《Hymn to Tourach》と土地2枚。 知られているリストから考える"エスパーブレード"という名前の響きから、《暗黒の儀式》は想定しにくいスペルだ。 どうしても《石鍛冶》や《渦まく知識》のようなカードのマナに使えない消耗カードの出番は控えめとなっている。 森嶋、そのままセットランドから《思考囲い》で《Hymn to Tourach》を落として長谷のハンドから実質的な有効牌を失くすのだが―… 返し、長谷のトップデックは《ヴェールのリリアナ》―…!? 1T目《ヴェールのリリアナ》という黒単コントロールのような動きをしてみせた。 ワンショットを狙うアドストームにとって複数枚のハンドを落とされるカードは厳しい。 森嶋の驚き共に浮かぶ苦い顔。 続いて長谷が《思考囲い》をトップする。ここに森嶋は《暗黒の儀式》から《むかつき》で対応し、ライフを10払って20枚近く引き込む。《思考囲い》の選択が20択にも及ぶのは、レガシーといえども珍しい。 返しのターン、あふれ出るハンドから、大量のキャントリップ呪文、0マナ呪文を唱えて、《苦悶の触手》。 短いターンの間に非常に珍しい光景が連発したGame 1であった。 珍しい光景ということは想定しにくいということもであり、互いのサイドボーディングが難しい。特に長谷のデッキのアーキタイプの全容を知れない森嶋は、自らの経験と勘を頼りに悩みぬいていた。 森嶋 1-0 長谷 Game 2 長谷が《思考囲い》、《死儀礼のシャーマン》、《ヴェールのリリアナ》と展開していく。 ハンドと墓地を攻める、対アドストームへの"猛攻"打線だ。 森嶋はハンドに貯めたところへのハンデスによってマナが足りなくなるという事態を回避するべく、《水蓮の花びら》を2枚、ストーム用に貯めずに着地させていく。 《石鍛冶の神秘家》から《梅澤の十手》を担いで積極的にアタックにいき、ライフに余裕を持たせていく長谷。そのまま《ヴェールのリリアナ》の忠誠値が溜まり次第奥義を解き放つと、パーマネントでマナを貯めていた森嶋にクリティカルヒットしてしまう。 《梅澤の十手》、《未練ある魂》、《死儀礼のシャーマン》、そしてライフ。 いずれも角度の異なるプレッシャーに、森嶋は遂に手立てを失った。 森嶋目線で、Game 1で見てないカードが多かった。そしてそれはGame 3でも同じ台詞となる。 森嶋 1-1 長谷 Game 3 《強迫》2枚と《思考囲い》、《不毛の大地》、《ヴェールのリリアナ》の打ち合いからハンドを消耗し合い、お互いストレートな展開のなくなった、序盤の動きが一旦落ち着いた頃。 長谷がおもむろに黒黒のマナから唱えた呪文が、再び森嶋の驚きの感情を甦らせる。 《墓忍び》。元祖探査クリーチャーが、残りのゲームスピードを一気に縮めた。 5点。5点。森嶋の残りライフを示すライフの針が、45度ずつ減っていく。 残り9。森嶋は、ハンド2枚から、《むかつき》で起死回生のめくりに賭けた。キャントリップ呪文が幾つかと《ライオンの瞳のダイアモンド》をめくり、ライフは残り3。未だセットランドはなく、土地がめくれれば少なくとも盤面への対処は行えそうであった。もちろん枚数的にも確率は低くない。 パッ。 森嶋が最後にめくった1枚は―…《僧院の導師》。 最近、アドストームのサイドボードにも居場所を見つけた《僧院の導師》は、《ヴェールのリリアナ》によってハンドを攻められている盤面でも逆転に繋がる、強力なサイドカードだが。 今、この瞬間だけは、めくれてほしくなかった。心のつぶやきを口にして漏らす。森嶋の表情が一気に曇った。 森嶋、ライフ、0。 森嶋 1-2 長谷 長谷の『エスパーブレードのようなもの』と称するデッキは、確かに見たことのあるカードは少なくない。 しかしその組み合わせを信じて、磨き上げてきたのは彼のオリジナリティの成せる業であるのは間違いない。 ※詳しいデッキリストはトップ8デッキリストに掲載されます。 残り2戦、相手の予想を上回るパワーカードを叩き続けられるかが見所だ。 グランプリ・名古屋2016 サイドイベントカバレージページに戻る
Text by 森安 元希 スイスラウンド7回戦を終えて、八傑が決まった。内7人が2引き分けないし1敗の成績でまとめている。 いずれ劣らぬ強豪たちが、いよいよシングルエリミネーションでの斬り合いを始める。 いわゆる二番卓。 6勝1敗の森嶋 亮太 対 5勝2ID 長谷 武則よりフィーチャーをお届けする。 合意引き分け(ID)によってスイスの点数・順位が引き下げられる現象によって、スイスの順位はその地点での彼らの実力差を全く示さない。事実、点数の低い長谷は今日、無敗の成績とも言える。 (左)森嶋 亮太。 レガシーを代表するアドストームを使い、6勝を収めてきたテクニック・プレイヤーだ。 レガシーの盛んな京都でもその実力と名は知れている。 (右)長谷 武則。 コンボとは対照的な、汎用性・万能性に優れる「エスパーブレードのようなもの」とトップ8プロフィールには記している。 しかしてその実態は―…? Game 1 決勝トーナメントのルールに従いスイス上位の森嶋が先手を宣言する。メイン戦の圧倒的な勝率を特徴とするアドストームが取れる先手のメリットは果てしなく大きい。 森嶋のオープニングハンドは土地、マナ加速、《ギタクシアス派の調査》、《苦悶の触手》と揃っており、少しのカードで始動できそうだ。 対する長谷は悲運に見舞われた。トリプル・マリガン。 それでも頷いてキープしたハンドを《ギタクシアス派の調査》によって森嶋に暴かれる。 《暗黒の儀式》と《Hymn to Tourach》と土地2枚。 知られているリストから考える"エスパーブレード"という名前の響きから、《暗黒の儀式》は想定しにくいスペルだ。 どうしても《石鍛冶》や《渦まく知識》のようなカードのマナに使えない消耗カードの出番は控えめとなっている。 森嶋、そのままセットランドから《思考囲い》で《Hymn to Tourach》を落として長谷のハンドから実質的な有効牌を失くすのだが―… 返し、長谷のトップデックは《ヴェールのリリアナ》―…!? 1T目《ヴェールのリリアナ》という黒単コントロールのような動きをしてみせた。 ワンショットを狙うアドストームにとって複数枚のハンドを落とされるカードは厳しい。 森嶋の驚き共に浮かぶ苦い顔。 続いて長谷が《思考囲い》をトップする。ここに森嶋は《暗黒の儀式》から《むかつき》で対応し、ライフを10払って20枚近く引き込む。《思考囲い》の選択が20択にも及ぶのは、レガシーといえども珍しい。 返しのターン、あふれ出るハンドから、大量のキャントリップ呪文、0マナ呪文を唱えて、《苦悶の触手》。 短いターンの間に非常に珍しい光景が連発したGame 1であった。 珍しい光景ということは想定しにくいということもであり、互いのサイドボーディングが難しい。特に長谷のデッキのアーキタイプの全容を知れない森嶋は、自らの経験と勘を頼りに悩みぬいていた。 森嶋 1-0 長谷 Game 2 長谷が《思考囲い》、《死儀礼のシャーマン》、《ヴェールのリリアナ》と展開していく。 ハンドと墓地を攻める、対アドストームへの"猛攻"打線だ。 森嶋はハンドに貯めたところへのハンデスによってマナが足りなくなるという事態を回避するべく、《水蓮の花びら》を2枚、ストーム用に貯めずに着地させていく。 《石鍛冶の神秘家》から《梅澤の十手》を担いで積極的にアタックにいき、ライフに余裕を持たせていく長谷。そのまま《ヴェールのリリアナ》の忠誠値が溜まり次第奥義を解き放つと、パーマネントでマナを貯めていた森嶋にクリティカルヒットしてしまう。 《梅澤の十手》、《未練ある魂》、《死儀礼のシャーマン》、そしてライフ。 いずれも角度の異なるプレッシャーに、森嶋は遂に手立てを失った。 森嶋目線で、Game 1で見てないカードが多かった。そしてそれはGame 3でも同じ台詞となる。 森嶋 1-1 長谷 Game 3 《強迫》2枚と《思考囲い》、《不毛の大地》、《ヴェールのリリアナ》の打ち合いからハンドを消耗し合い、お互いストレートな展開のなくなった、序盤の動きが一旦落ち着いた頃。 長谷がおもむろに黒黒のマナから唱えた呪文が、再び森嶋の驚きの感情を甦らせる。 《墓忍び》。元祖探査クリーチャーが、残りのゲームスピードを一気に縮めた。 5点。5点。森嶋の残りライフを示すライフの針が、45度ずつ減っていく。 残り9。森嶋は、ハンド2枚から、《むかつき》で起死回生のめくりに賭けた。キャントリップ呪文が幾つかと《ライオンの瞳のダイアモンド》をめくり、ライフは残り3。未だセットランドはなく、土地がめくれれば少なくとも盤面への対処は行えそうであった。もちろん枚数的にも確率は低くない。 パッ。 森嶋が最後にめくった1枚は―…《僧院の導師》。 最近、アドストームのサイドボードにも居場所を見つけた《僧院の導師》は、《ヴェールのリリアナ》によってハンドを攻められている盤面でも逆転に繋がる、強力なサイドカードだが。 今、この瞬間だけは、めくれてほしくなかった。心のつぶやきを口にして漏らす。森嶋の表情が一気に曇った。 森嶋、ライフ、0。 森嶋 1-2 長谷 長谷の『エスパーブレードのようなもの』と称するデッキは、確かに見たことのあるカードは少なくない。 しかしその組み合わせを信じて、磨き上げてきたのは彼のオリジナリティの成せる業であるのは間違いない。 ※詳しいデッキリストはトップ8デッキリストに掲載されます。 残り2戦、相手の予想を上回るパワーカードを叩き続けられるかが見所だ。 グランプリ・名古屋2016 サイドイベントカバレージページに戻る