BIGMAGIC Sunday Legacy Round 2 吉森 奨（神奈川） 対 上坂 謙太（福井）

text by Seigo Nishikawa   ここ最近のM:tGの話題として「モダン環境を一気に塗りつぶしたエルドラージ」というトピックスを避けて通ることができない。複数の２マナランドを持つモダンにおいて、エルドラージはその持てる力をこの上も無く発揮しているのはいまさら語るまでも無い。 ならば、モダン以上の土地基盤を持つ「レガシー」であれば、その性能はより深化、デッキとしての真価も比肩しえないものになるのではないか。 そう考えたプレイヤーは実に多く、ここ最近レガシー環境においてもエルドラージの姿を見かけるのは珍しくなくなってきた。果たして今の勢いは一時的なものなのか、それともレガシーの勢力図を塗り替えるほどのものなのか。  

BIGMAGIC Sunday Legacy Round 2 吉森奨（神奈川）vs上坂謙太（福井）

BIGsに所属する吉森奨は、その手にエルドラージを携えて「久々」というレガシーに名乗りを上げた。一方の上坂は「いつもレガシーしかしていない」というプレイヤーで、その右手に持つのは4Cデルバー、長期にわたってレガシー界を制覇している《秘密を掘り下げる者》デッキである。 現行のチャンピオンと異界からのチャレンジャーの一戦はどのような展開を見せてくれるのだろう。  

Game1

先手を取った吉森は、１マリガン後の手札に悩む。《エルドラージの寺院》と《猿人の指導霊》があり、１ターン目に《作り変えるもの》は出せるものの、確定している動きはそこまで。もし土地が引き込めないと、以降何もできない可能性がある。 これをだいぶ悩むも、最終的には受け入れた吉森。当然１ターン目に《作り変えるもの》をキャストするのだが、そこには「レガシーを象徴する１枚」《Force of Will》が上坂から飛ぶ。悔しそうに頭をかかえる。 上坂も１マリガンをしているのだが、吉森のアクションを弾き返した後、自身の第１ターンには《秘密を掘り下げる者》。そして土地を置けない吉森を見るや、２ターン目には《渦まく知識》で即座にこれを《昆虫の逸脱者》へと変身させるという実にパーフェクトな動き。   なんとか続くターンには《古えの墳墓》を引き込むことに成功した吉森は、再びの《作り変えるもの》。だが目の前の《昆虫の逸脱者》を前に、土地から被るこの2点のダメージがずしりと体に響く。 上坂は《ギタクシア派の調査》を使用し、《作り変えるもの》《現実を砕くもの》《歪める嘆き》という吉森の手札を確認すると《思案》を重ねていく。 吉森は既に見られてしまっている3体目の《作り変えるもの》を送り出すのだが、そこも《Force of Will》で防がれてしまい、ダメージレースが追いつかない。加えて上坂から《稲妻》も飛び出すと最早万事休す。そのまま一気に押し切られてしまうのであった。 吉森 0-1 上坂  

Game2

《魂の洞窟》《海門の残骸》《梅澤の十手》《アメジストのとげ》《漸増爆弾》《難題の予見者》《作り変えるもの》 という初手に再び考え込む吉森。それでも妨害手段も除去手段も備えるこの手を意を決してキープを宣言する。 そんな吉森のファーストドローは見事に《猿人の指導霊》。即座にこれをマナへと変え《作り変えるもの》。これは上坂の《稲妻》に撃墜されるが代わりに《果てしなきもの》へと変化し、吉森の手へと帰る。 《悪意の大梟》をエルドラージへの防波堤として準備した上坂に対し、《エルドラージの寺院》《不毛の大地》と連続で引き込めた吉森は《梅澤の十手》。次第次第にエルドラージとの親和性があがってきたか。 吉森は《アメジストのとげ》をキャスト。これが設置されると動きが鈍くなってしまう上坂は、その着地前に《古えの遺恨》で《梅澤の十手》を破壊する。その上で《果てしなきもの》を《悪意の大梟》で受け止めると《若き紅蓮術士》を送り出す。 吉森は《ウギンの目》を引き入れると《難題の予見者》。その力により《四肢切断》《思案》《思案》《目くらまし》から《四肢切断》を奪い取るのだが、《思案》を重ねる上坂に次々と産まれるエレメンタルの前にこの予見者の攻撃を通す術が見つからない。 そして《難題の予見者》をも越えるサイズの《グルマグのアンコウ》が登場するに及ぶと、いよいよもって道が閉ざされていく。吉森からも5/5の《果てしなきもの》が送られ、サイズではまだ負けていないのだが上回ることはできず、数では負けてしまっている。 吉森は道をこじ開けるために初手から抱える《漸増爆弾》を遂に設置。だがそこに上坂から《Force of Will》が突き刺さる。それでも《現実を砕くもの》を通すことに成功するのだが、上坂の姿が遠くに霞んでいく。 《果てしなきもの》は《グルマグのアンコウ》 《難題の予見者》はエレメンタルトークン４体 《現実を砕くもの》はエレメンタルトークン２体と《稲妻》そして《目くらまし》 を自身の命と引き換えに奪い取るのだが、それでも根幹たる《若き紅蓮術士》は戦場に残り続ける。   吉森が強大な攻撃をしかけてもしっかりとかわし続ける上坂。遂に《秘密を掘り下げる者》を手に入れ、これが《稲妻》を捲ることで《昆虫の逸脱者》へと変身すると、かくも強大なエルドラージでも手を出すことができない空中戦力が戦場に登場する レガシー界のチャンピオン《秘密を掘り下げる者》そして《若き紅蓮術士》が、新参勢力エルドラージを見事に撃退したその瞬間であった 吉森 0-2 上坂 上坂「エルドラージと戦ったのは初めてだったんですが、うまく回ってくれましたね」