Browse the Deck! Vol.6 「エスパー石鍛冶」
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こんにちわー!
いよいよ『イニストラードを覆う影』(SOI)が発売されました!
レガシーにも採用出来そうなカードがいくつかありますが、前回の『ゲートウォッチの誓い』後のエルドラージデッキ登場のような環境を変えるほどのセットでは無かったようにように思います。
《大天使アヴァシン》とか使えたらかっこ良いんですけどね!
個人的なSOI収録カードでレガシーでチャンスあるかな?と注目しているのは《倒し霊》です!
「Death&Tax」のようなデッキで採用してみたいですね。
話が脱線してしまいましたが、今回もネットからデッキを拾い読み!
ここのところ立て続けに青く無いデッキを紹介してきましたが、レガシーと言えばやはり青いカード!
《渦まく知識》が使いたいねん!という方のために今回は青いデッキを紹介します。
日本のレガシートーナメントシーンに明るい方なら一度くらい名前を聞いたことがあるかもしれませんが、石鍛冶一筋で有名なOmonishiさんの「エスパー石鍛冶」になります。
個人的に「エスパー石鍛冶」はデッキの強さの割に使用者の少ないデッキだなと常日頃から思っていたので、この機会に紹介させていただきます。
まずデッキの大まかな内容ですが、手札破壊やカウンターをバックアップに《石鍛冶の神秘家》や《精神を刻む者、ジェイス》で勝つデッキです。
シンプルですが、本当にそれだけです(笑)
特徴としては圧倒的有利なマッチアップこそ存在しませんが、レガシー環境のほぼすべてのデッキに五分以上の勝負が出来ます。
使用者の腕でかなり勝率の変わってくるデッキですね。
また「粘り強く戦えるデッキ」に構築されていて、レガシーでも「青白奇跡」に次いで安定したデッキだと思います。
元々スタンダードで大暴れした「Caw-Blade」をレガシー版にブラッシュアップしたようなデッキですので、基本的にやることは単純です。
ですので資産的な問題を除けば、普段レガシーをプレイしない方にかなりオススメのデッキにもなっています。
それではパーツを個別に見ていきましょう。
4:《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》
デッキ名にもなっているので、当然の4枚採用です。
今更特筆すべきことはありませんが、能力の起動のタイミングだけは常に気を付けたいですね。
例えば...土地が《島》《平地》フェッチランドという状況で《島》をタップして《思案》をプレイ。
これを解決後、フェッチランドを起動すると...石鍛冶の能力起動のマナが一時的に払えなくなってしまい、除去を挟まれると装備品が出せなくなってしまいます。
また、相手の《ヴェンディリオン三人衆》をケアして、自分のターンであっても相手のマナが無い時に起動したり、あるいは相手に自由なマナがある時は我慢して動かないことも大切です。
戦場にある《殴打頭蓋》を一旦手札に戻して即出し直したい場合は、石鍛冶の能力を起動してそれをスタックに積んだまま優先権を渡さずに《殴打頭蓋》の能力を起動すると、例えスタックで石鍛冶が除去されてしまっても問題なく《殴打頭蓋》は場に出ることが出来るので、覚えておいて損は無いテクニックです。
2:《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
こちらも説明不要ですね。
除去、ドロー操作、ハンデスと何でも使いまわせる上に、インスタントタイミングで出てくる装備先と大活躍です。
2:《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang》
レガシーではパワー5であることと相手の《Karakas》に戻されないことから、こちらよりも《グルマグのアンコウ》が優先されることが多いですが...このデッキは長期戦も見越しているため、アドバンテージの取れるタシグルが優先されています。
デルバー系のデッキでは能力を起動している暇はないのですが、このデッキでは問題なく起動出来るのでアンコウよりも優先されているのは納得です。
4:《渦まく知識/Brainstorm》
2:《思案/Ponder》
定番のドロー操作。
もはや語られ過ぎていて書くことが無さすぎて...《思案》のテキストレス版は趣があっていいよね^^
くらいしか思い浮かびません(笑)
4:《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
レガシーを代表する除去です。
4枚採用は固定みたいなものだしこちらも語られ尽くされていて『アイスエイジ』版のイラストが至高^^
くらいしか思い浮かびません(笑)
3:《思考囲い/Thoughtseize》
1:《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》
ハンデスは2種類合わせて4枚に抑えられています。
初手に石鍛冶があれば積極的に撃っていきたい所ですが、相手のデッキが分からない状況で手に石鍛冶も無い場合は、あえて使わない場合もあります。
1枚《コジレックの審問》に散らされているのは4枚目を引いてしまった場合のライフペイが痛いからでしょう。
注意したいのは、コンボデッキやデルバー系のハンデスのように序盤の展開を阻害して速やかに勝ちに行く、という役割では無く
どちらかと言うとゲームをスローダウンさせる目的で使用することが多いので、落とすものには注意したいですね。
4:《Force of Will》
やはりこれも特に書くことが無いレガシー定番スペル!
デッキ内のブルーカウントが17枚とそれほど多くないので「FoWと《渦まく知識》しか手札にないけど、《渦まく知識》をコストにするの勿体ないから、とりあえず《渦まく知識》プレイしてから考えるかー」
とか、絶対やっちゃいけないです(そもそも誰もそんなことやらない)。
2:《未練ある魂/Lingering Souls》
デルバー系のデッキ、「奇跡コントロール」などフェアなデッキ相手にめちゃくちゃ強いこの一枚。
出てくるトークンは装備先としても優秀ですので、長期戦を見越したこのデッキにぴったりですね。
1:《呪文貫き/Spell Pierce》
一枚採用のカードですが、ゲーム中一度見せられるとどうしても意識せざるをえなくなるので、いぶし銀の働きをします。
メタや意識するカードによっては《もみ消し》や《呪文嵌め》などに差し替えても面白そうですね。
1:《対抗呪文/Counterspell》
一時期レガシーではまったく見ませんでしたが、最近また復権してきましたね。
序盤から終盤までいつ引いても強いのでデッキにフィットしています。
出来れば2枚目の採用を検討してもいいくらいですね。
1:《議会の採決/Council's Judgment》
こちらも「奇跡コントロール」よろしくレガシーの中速デッキの嗜みである《議会の採決》がしっかりと採用されています。
古くから同じような役割で採用されていた《名誉回復》と比べると、土地に触れない分《真の名の宿敵》のような対象に取れない類のカードをしっかりと処理出来るため、現在のレガシーのメタではこちらでいいと思います。
流行りの《現実を砕くもの》の能力も誘発しない!(一発殴られていますが・・・)
1:《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
こちらも一枚採用定番の万能アーティファクトですね。
『イニストラードを覆う影』から両面カードのルールが変わって、表面のマナコストを参照するようになったため注意が必要です。
相手の《昆虫の逸脱者》とこちらの《殴打頭蓋》の菌類トークンが一緒に流れなくなった代わりに、相手の《若き紅蓮術士》のエレメンタルトークンと《昆虫の逸脱者》が一緒に流れなくなったり、逆に《死儀礼のシャーマン》が一緒に流れたりと微妙にルールによって強くなったような気がしますね(笑)
1:《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》
1:《殴打頭蓋/Batterskull》
メインからは2種類しか装備品が採用されていませんね。
《饗宴と飢餓の剣》のような装備品がもう一種類あっても良さそうですが、2枚に抑えている明確な理由が少し回したくらいでは分からなかったので本人にメールして聞きました(笑)
「このデッキでは装備品は初手にあった時のキープ基準にならないから、枚数を増やし過ぎるとマリガンが多くなります。あとは素で引いた時に十手と《殴打頭蓋》は勝ちうるカードだけど、
《饗宴と飢餓の剣》は有利な状況をより有利にするだけなので、メインでは採用していません。コンボや「奇跡コントロール」には強いのですが、相手を選ぶカードなのでサイドに落としています。」
とのことです。
確かにその通り!
いや~コピペで尺稼げるって楽ですね^^
3:《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
こちらも説明不要の歴代最強PW。
ハンデス→石鍛冶→ジェイスと動けばたぶん勝ちます!
このデッキはレガシーでもメジャーなカードばかりで構成されているのでコメントに困りますね(笑)
2:《不毛の大地/Wasteland》
マナベースは一般的なリストと比べても特に変わった部分は無いですが、ひとつだけ特徴的なのがこのリストは《不毛の大地》が採用されています。
「土地単」や「エルドラージストンピィ」のようなデッキに対して有効なのはもちろんですし、その他のデッキにも効くので納得の採用です。
その代わり《真の名の宿敵》のような序盤にダブルシンボルが必要なカードの採用は見送られていますね。
というわけでOmonishiさんのエスパー石鍛冶をパーツごとに見ていきました。
各パーツのコメント欄の内容のスカスカさ(笑)からも分かってもらえると思いますが、とにかくレガシー環境でも群を抜いて丸いカード達で構成されています。
レガシーは様々なデッキがあるのでどうしても相性差というものが生まれていますが(例えば「ベルチャー」デッキはFoWを使うデッキに当たりたくない)
極力相性差の無いデッキを使いたい!と考える人には一番良いデッキかもしれませんね!
サイドボードにもいつもと同じく、軽く触れておきましょう。
非常に1枚採用の多いサイドボードですが、これも丸さを追及した結果一枚一枚が幅広いデッキにサイドイン出来るように考えられています。
特徴的なのは《謙虚》でしょうか?
《謙虚/Humility》
《実物提示教育》で「せーの」で出してよし、エルドラージ相手に出してもよし「エルフ」に叩き付けてもよしで、自分だけクリーチャーが1/1になっても装備品で強化出来るので、デッキにも噛み合っていますね。
サンプルデッキの15枚は特筆することも無いほどうまくまとめられていますが、このまま終わるのも微妙なので...今回はレガシーにおける「エスパーカラーが抱える悩み」について書いてシメとしましょう。
弱点らしい弱点の無いエスパーカラーの唯一悩ましいところだと回していて感じました。
《赤霊破/Red Elemental Blast》《紅蓮破/Pyroblast》を使えないこと
冒頭でも言いましたがレガシーといえば青!
トーナメントを勝ち進めば絶対に青いデッキに当たります。
そんな青いデッキに対してあまりにも強い《赤霊破》や《紅蓮破》はメインから採用されることもあるほどの超優良カード!...なのですが、当然このデッキは赤マナを入れていないので採用することなど出来ません。
特に一旦場に出てしまった相手の《精神を刻む者、ジェイス》にはほとんど対処出来ないので苦労します。
《相殺》や《真の名の宿敵》、《実物提示教育》のような通してはいけないスペルにたった1マナで対処出来るカードを使うことが出来ないのは、ハンデを背負っているようなものですね...。
とはいえ、エスパーカラーも同じように1マナで理論上何にでも対抗出来る《思考囲い》といったハンデスを採用していますので、それで頑張りましょう。
相手も《渦まく知識》を使ってきますので、上手く落とせるといいのですが・・・
《解呪/Disenchant》を使わざるをえないこと
マジック最初期の『アルファ』から存在するエンチャント・アーティファクト破壊ですが、現在も同じ色で上位互換が出ていません。
赤を使えるならほぼ上位互換になりえる《摩耗+損耗》、緑を使えるなら相手にライフを与える代わりにより軽い《自然の要求》、
《師範の独楽》のようなカードにも対処出来る刹那持ちの《クローサの掌握》、またBGカラーが使えるなら《相殺》すらも無効に出来る《突然の衰微》、
WGなら殴れる《クァーサルの群れ魔道士》(《魂の洞窟》と組み合わせれば《相殺》にも対処できる)
...と、ざっと書き出しただけでも他の色や組み合わせならこんなにたくさんの優秀なカードがあるのに、エスパーカラーだけはインスタントの2マナ以下の呪文となると《解呪》を使わざるをえません。
《相殺》のようなカードは一度通ってしまうとほぼ対処出来なくなるので、注意が必要です。
神よ・・・エスパーカラーにも《解呪》の上位互換を与えたまえ・・・
というわけで、最後は若干ネガティブな話題になりましたが、逆を言うとそのくらいしか弱点がありません!
動きも単純ながら、ハンデスからの石鍛冶で高速でゲームを決めに行くこともあればコントロールチックに動いてゆったりと相手を倒すこともあり、常に相手のデッキと対話する非常に面白いデッキです。
レガシーという環境でもどっしり安定したデッキを使いたい、という方がいたらぜひプレイしてみてください!
それではまた次回!