Whippoorwill

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Card of the Day -今日の1枚- 2016/06/16

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1993年に発売されてから、実に23年間。マジックのその長い歴史の中ではいろんなことがあった。数多の「やっちまった」が...数々のマナアーティファクトと《トレイリアのアカデミー》と《時のらせん》...アーティファクト土地と"親和"と《頭蓋骨絞め》と《電結の荒廃者》...ファイレクシア・マナ...いずれも、結論としては「あかん」ものだった。今となってはあれも思い出として振り返ることが出来るが...。まあこういうのが大きいやっちまったなら、小さい、極小のやっちまったなんてそれこそ山ほどあるわけで。今日の1枚もそんな小さなやらかし、《Whippoorwill》。

 

古くは『ザ・ダーク』のカード。このセットはマジック初にして唯一のイラスト主導セットで、アーティストに「暗黒時代」というお題で描いてもらったイラストにカードとしての能力を与えているらしい。Douglas Shulerはこのお題に対して、ヨタカのイラストを描いて応えた。ホイップアーウィルヨタカという、地表近くを飛行する夜行性の鳥である。落ち葉や木に同化できる羽毛と、大きな目・裂けたような巨大な口が特徴で、これを開きながら低いところを飛行して昆虫をとらえる。この鳥の鳴き声が聞こえると、不吉なことの前触れ的な意味合いがあるらしい。闇夜を飛ぶ不気味な鳥で暗黒感を表現したのだろう。出来上がったカードはこうなった。《Whippoorwill》という名で、緑の1マナ1/1。そしてテキスト欄には...「GGタップ:クリーチャー1体を対象とする。このターン、それは再生できない。このターン、そのクリーチャーに与えられるダメージは軽減されず、また代わりに別のクリーチャーやプレイヤーに与えられることもない。このターン、そのクリーチャーが死亡したとき、そのクリーチャーを追放する。」なるほど、黎明期らしい、その色らしくない能力を持ったカードだ。対象のクリーチャーを絶対に死なせ、そして追放するのだという強い意志を感じる。破壊不能を無視できないのはなんか色々惜しいね。今でなら赤いカードになっていそうだし、そもそもカード1枚使ってまでやることでもないかな。ダメージの移し替えを禁じる、というのはニッチすぎる能力なので、そういう意味では忘れちゃならないカードかもしれない。

 

て、問題はそこじゃない。そこも大事だけど、もっと注目すべきこと。飛んでいない、飛行を持っていないのだ。イラストではバッチリ飛んでるのに...こりゃ問題だろう。どう見ても飛んでいる小鳥のイラストで、しかし飛行を持っていない(もし持っていたら1マナ1/1飛行で、当時の緑クリーチャーとしては優秀なスペック)。こりゃいかん。マジックのカードとはもっと体感的にわかりやすくあるべきで、以降イラストを見ればそいつが飛んでいるのかいないのかがわかるように注意されることとなったのだとか。

 

カードタイプも元々は鳥ではなく、ホイッパーウィルという独自のもの。天空を飛ぶわけじゃない鳥だから飛行がなくても良いだろうってことだったのかもね。実際、この種類のヨタカは地面の落ち葉の上に卵を産んで育てるらしい。かなり変わった生態の持ち主のカードがちょっと変なのも、なんか納得。

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