放浪熱/Wanderlust
タグ:Card of the Day, MTGシングル, Wanderlust, アルファ, アンリミテッド, ベータ, リバイズド, 岩SHOW, 放浪熱, 第4版, 第5版Card of the Day -今日の1枚- 2016/07/23
放浪熱/Wanderlust
何にでも熱くなるってのは良いことだ。プロツアーやグランプリ、BMOが終わった後なんて、皆のマジック熱気にやられて「よ~し僕もガッツリやるぞぉぉぉ!」なんて気持ちになるもんだ(一晩明けてMOとかやって「こりゃあかんわ」と現実を見るのも含めてワンセット)。熱くなっていこう、そんな気持ちで書き始めた「熱気ウィーク」の最後は...この熱にかられるのは大丈夫なのかな?《放浪熱》を紹介しよう。/p>
Wanderlustという英名が《放浪熱》と訳されているが、要するに放浪癖のことである。一所に留まっておれずに彷徨い歩いてしまう性分のことであるが、これをクリーチャーに与えようという呪文である。このオーラがつけられたクリーチャーのコントローラーのアップキープに、《放浪熱》は1点のダメージを与える。緑には珍しい、プレイヤーに直接ダメージを与えるカードだ。だが...1点って、ちょっと弱すぎるだろう。ピチピチと小パンチを刻んでいくだけで格闘ゲームに勝てないのと同様、1ターンに1点とはなんとも緩慢で、決め手にならない。これをつけられているクリーチャーが1/1だったとして、ようやくダメージレースがイーブン。2/2だったらこっちが先に負けることになる。/p>
おそらくは、クリーチャーに触れない緑という色がどのようにこれに対処していくのか、破壊出来ないのであればせめていやがらせだ!という経緯で作られたのだろう。ただ、緑はクリーチャーが巨大であることをウリにしている色である。ダメージレースをするのであれば、対戦相手よりも強力な1枚を叩き付けてやればよく、このようなまどろっこしいカードは不要だ。このカードは《フィードバック》《呪われた地》《歪んだ秘宝》らと初代マジック基本セット『アルファ』にてサイクルとして収録された。まあ、いずれも強くないことから、これらのカードはお役御免となり、いずれも『第5版』を最後に基本セットから去っていった。/p>
ただこれらのカードの存在意義がなかったのかと問われれば、そんなことはまったくない。『ラヴニカへの回帰』で最高のコモンであるとも言われた《刺し傷》は、色は変われどこの《放浪熱》の魂を受け継いで、より強力なものへと昇華したものだ。このカードを見た時、その生まれ変わった姿に「良かったなぁ」と涙を流したプレイヤーもいたことだろう(いるよね?)。/p>
クリーチャーがふらふらと放浪するのを引き留めるのに労力が必要でプレイヤーがダメージを受ける、というフレイバーはなかなか面白い。『第5版』のイラストはあのRebecca Guayが担当もしていて美しいものとなっている。忘れられないカードやね。