BMInvi vol.2 Round1 岸 紘(駄菓子のたまやvs佐久間 俊充(岩手)

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 2016年1月には、店舗が主催するシリーズ制の大会を「WPNプレミアムトーナメント/Wizards Premium Event Series」として開催できるようになることが発表された。

 様々な厳しい条件<span style="font-size:0.8em;">(直近12か月以内に最低1回以上参加者250人規模のイベントを開催していることや、決勝イベントへの参加資格をかけた予選イベントを20回以上開催するなど)</span>をクリアした上で、ウィザーズ社の承認を受けることによって開催できるこのイベント。その最大の目玉は<strong>プロツアーへの出場権利が1枠提供される</strong>という点である。

 この発表からわずか2か月しか経たないうちに開催された前回の<a href="http://mtg.bigmagic.net/tag/big-magic-invitational/" target="_"><strong>BM Invitational vol.1</strong></a>では残念ながらプロツアー権利までは提供されなかったが、しかし前回の実績もあって、今大会から「BIG MAGIC Invitational」は「WPNプレミアムトーナメント」としてウィザーズ社から認定を受け、プロツアー権利が1枠提供される運びとなった――


 優勝者には賞金240,000円に加えて夢の舞台への切符が手に入るとあって、会場はかつてのPTQを思わせる熱気に包まれている。況してやここにいる誰もが全国津々浦々で開催された厳しい予選を勝ち残ってきた猛者であり、その闘気はオープンイベントの比ではない。

 第1回戦でフィーチャーマッチテーブルへと呼ばれたのは前回優勝者である<strong>河浜 貴和(BMIvi vol.1優勝)。</strong>

 BIGMAGICのユニフォーム契約プレイヤーであり、関東の強豪プレイヤー集団「チーム豚小屋」のリーダーでもある彼は今日もいつも通り悠然とした<span style="font-size:0.8em;">(飄々とした?)</span>様子でテーブルに着いた。

 そのデッキは「青白スピリット」。<a href="http://coverage.mtg-jp.com/ptkld16/" target="_"><strong>プロツアー『カラデシュ』</strong></a>のスタンダードラウンドで驚異的な勝率を誇ったデッキであり、まさに前回王者に相応しいデッキ選択と言えよう。

 そんな河浜と相見えるのは<strong>岸 紘(駄菓子のたまや)。</strong>

 公式の<a href="http://mtg-jp.com/reading/kochima/0014490/" target="_"><strong>マジチャレ</strong></a>でも紹介された岩手のカードショップ「駄菓子のたまや」で開催された予選を勝ち抜き、今日ははるばる横浜へと足を運んだという。

 デッキは独創的な「青黒ゾンビ」。《屑鉄場のたかり屋》や《憑依された死体》といったしぶといクリーチャーたちを戦場に並べ立て、《ヴォルダーレンの下層民》で一気にゲームを決めるコンボ要素を内包したミッドレンジデッキだ。


 第1回戦で勝利を収め、今大会の最初の一歩を好い形で踏み出すことができるのは果たしてどちらになるのか――?


<h3>Game 1</h3>


 先攻の岸は2枚の《詰まった河口》をプレイし、《密輸人の回転翼機》、《屑鉄場のたかり屋》と展開しクロックを刻みながら《憑依された死体》を捨てる好スタートを切る。

 対する河浜は《無私の霊魂》を戦線に送り込んだのち立て続けに2枚の《反射魔道士》をプレイし、岸の展開をしっかりと妨害していく。ここまでなめらかなゲームプレイだったが、第5ターンのドローを見て岸がひとたび手を止めた。

<strong>岸</strong>「いやぁ、なんだか頭回ってないなぁ......」

 と自信なさげに漏らす岸。河浜は笑みを浮かべて応じるが、この発言の数秒後に分かったことは、岸の発言は河浜の《反射魔道士》たちによってテンポを奪われ押され気味......というわけではなく、<strong>どうしたら最も効率的に河浜を殺し切ることができるか</strong>を考えあぐねていた、という宣言であった。

 少々の思案ののち《ヴォルダーレンの下層民》を戦場に追加しながら《憑依された死体》を墓地から戦場に戻し、《密輸人の回転翼機》を起動してクロックを刻みつつ「変身」することで河浜の戦場を一掃する。

 河浜は《スレイベンの検査官》をプレイし1ドローに望みをかけるが《血統の撤廃者》のクロックを捌くには至らず、敢えなく一戦目は岸に勝利を譲ることとなった。


<strong>岸 1-0 河浜</strong>


<h3>Game 2</h3>

 両者マリガンスタートながら、岸が2ターン目に《屑鉄場のたかり屋》をプレイしてゲームが動き出す。《密輸人の回転翼機》を戦線に送り込む河浜だが、岸は《集団的蛮行》でハンデス+2点ドレインで前のめり気味に河浜を攻め立てる。

 河浜も負けじと《スレイベンの検査官》を《密輸人の回転翼機》に「搭乗」させ、3点ずつクロックを刻みながら土地を探す。しかしその間にも岸は《憑依された死体》を戦場に戻してクロックを増大させており、ダメージレースの体を為していない。


 《反射魔道士》で《屑鉄場のたかり屋》をバウンスしわずかに猶予を得たかに思われたが、岸は《ヴォルダーレンの下層民》プレイ→即「変身」で河浜の反撃を許さない。かろうじて岸の《血統の撤廃者》を除去するが、岸はすぐさま《憑依された死体》と《屑鉄場のたかり屋》を展開し、依然岸がゲームのペースを握っていた。


 2枚目の《ヴォルダーレンの下層民》に対して手札の《呪文萎れ》を見つめながら少考する河浜だったが、この致命的なクリーチャーを通すことを選択。

 続く岸の全軍アタックには《呪文捕らえ》をプレイして即座に「搭乗」。《密輸人の回転翼機》が《憑依された死体》を打ち取る。これで岸の盤面のクリーチャーは全部で3体、《ヴォルダーレンの下層民》の能力は起動できないはずで、何とか生き延びることができるはずだった。

 だが、続くターンの岸のトップデッキは《墓所破り》。再び《ヴォルダーレンの下層民》が「変身」できる状態になり、河浜は窮地へと追いつめられる。もはや岸がコンバットをミスしてくれることを祈るのみとなるが......

 残念ながら、岸の思考力はここまでの戦いでエンジンがかかっていたようだ。最後の攻撃もミスすることなく、全軍突撃が河浜のライフを摘み取った。


<strong>岸 2-0 河浜</strong>