擬態の原形質/The Mimeoplasm
タグ:Card of the Day, MTGシングル, The Mimeoplasm, 擬態の原形質, 統率者Card of the Day -今日の1枚- 2016/11/2
擬態の原形質/The Mimeoplasm
統率者シリーズの中でも最も重要なセットは『統率者』だということに異論の余地は...そんなにないと思う(ちょっと自信なくなった)。Elder Dragon Highlanderはここから統率者戦へと名を変え、それまでこそこそ遊ばれていたマイナーフォーマットから公式が推すマジックの遊び方の1つに晴れて加わることとなった。メジャーデビューしたってところやね。インディーズの頃の良さは失われてしまったように思えるのは置いといて...当時は実に盛り上がったものである。前情報が全くなかった新キャラクターがゾロゾロと登場し、そのどれもがそれまでに見たことがないような能力を持っており...デッキを組むワクワク感は、新統率者登場が年に1回の定番イベントとなった今のそれとは比較の仕様もなかった。《漁る軟泥》《狼狽の嵐》と構築レベルのカードも多数含まれており、そういう意味での注目度も高い特殊セットであった。
《擬態の原形質》はこの『統率者』第1世代であり、青黒緑(当時はスゥルタイという呼び名もなかった)の看板を担った由緒正しき伝説のクリーチャーである。その、固有名詞ではない呼び名がまずインパクト大。あまり統率者に興味のない人は、これを伝説のクリーチャーと思っていなかったりしたものである。原形質=マジックの世界ではスライム的クリーチャーを指す。どんなクリーチャーにも擬態するというこのスライム。クリーチャータイプはウーズだ。このウーズ、3色5マナにして0/0...と絶望的なサイズではあるが、これはそれが持つ特殊な能力によりいくらでも強化される。このクリーチャーは戦場に出るに際して、墓地にある2枚のクリーチャーカードを媒介とする。取り除いたクリーチャー1体のコピーとなり、もう1体のパワーに等しい+1/+1カウンターが乗った状態で戦場に出る。クリーチャー2体をミックスするようなもので、本来戦闘には向かないシステムクリーチャーになりながらサイズをむちゃくちゃ大きくして文武両道的な使い方が出来る。
この能力は予想外の組み合わせを生み出し、ゲームを非常に楽しいものにしてくれることだろう。また、致死性のコンボも様々組めるため、統率者戦のみならずレガシーでも墓地を利用するコンボデッキのフィニッシャーに用いられたりしたこともあった。最も有名なのは「セファリッド・ブレックファースト」。古くからあるデッキだが、このデッキでライブラリーをすべて墓地に送った後に《ナルコメーバ》などを生け贄に捧げて《戦慄の復活》をフラッシュバックし、それで《擬態の原形質》を釣り上げて...《残忍なレッドキャップ》+《絶滅の王》に化けるのだ。《絶滅の王》のパワーは墓地にいる時も墓地の枚数を参照する。即ち、パワーが50くらいの《残忍なレッドキャップ》が戦場に出て、対戦相手を一撃のもとに屠るのだ。他にも様々なクリーチャーを絡めたコンボが狙えるので(これを統率者にした場合はレッドキャップは使えないが)、皆も思いつく限りの墓地・クリーチャーコンボを搭載したデッキを作ってみてほしい。
《擬態の原形質》は古代文明・ムラガンダの世界に生息していたという謎の生命体。このうろつく原形質はその道中で出会った生物を飲み込み、その特徴を自身の肉体に反映させる。この怪物を、ある者は来世とのつながりを示す鍵と見る。またある者は生と死の循環そのものだと言う。これが何者かの手によって作られ、ムラガンダに送り込まれたものなのか・あるいは自然発生した純粋なる生命体なのか。この謎が明かされることはおそらくないだろう。