ヴァルショクの狂戦士/Vulshok Berserker
タグ:Card of the Day, MTGシングル, VENSER VS KOTH, Vulshok Berserker, ミラディン, ヴァルショクの狂戦士, 基本セット2011, 岩SHOWCard of the Day -今日の1枚- 2017/2/20
ヴァルショクの狂戦士/Vulshok Berserker
先日、プロツアー『霊気紛争』に行った時の事。初日全勝のセゴヴィアさんのドラフトで《捕獲飛行機械》がパックから出た時の事。「飛び茶辰」という謎のフレーズが実況陣コメント含め飛び交ったものである。順を追って説明しよう。
「飛び」は飛行を指す。これは大体わかるものだが、では「茶」は?最近のプレイヤーには通じないのだが、アーティファクトのことだ。『スカージ』以前のセットでは、アーティファクトはカードの枠が錆び茶色だったため、昔の日本のプレイヤーはこれを「茶色」「茶」と呼んだのだ。茶破壊、茶単などの言葉が今も業界に残っているので、最初困惑したという方も少なくないだろう。
では...「辰」。これはなんなのか。マジック的には、これが意味するところは「3/2速攻」である。はっきり言って意味不明だが、これはそういう文化なのだ。元々は3/2速攻持ちのクリーチャーを戦場に出して攻撃する時に「いったれ辰吉!」と日本の一時代を築いたボクサーの名前を言いながら攻撃するというネタであり、これが発祥の地・大阪から有名プレイヤー達を通じて広まっていった、というものである。鍛冶友浩さんもこのネタをご存じだったので、東京・埼玉あたりまで広まっていたのか。いつしか、その3/2速攻持ちクリーチャーのこと自体を「辰吉」と呼ぶようになり、以降同様・あるいは近いスペックのクリーチャーのこともすべてそのように呼ぶ、という流れが出来てしまった(一部でだけだけどね)。ネットも今ほど使用されていなかった時代に、マジックを通じて流行語が口伝で広まっていく...というのはすごいなと改めて思うわけで。ラスゴとかゲドン、バッパラといったカードを名を縮めたもの、あるいはイカリングや高層ビルといった、雑誌媒体でも取り上げられるあだ名が広まるのはわかるが、辰吉はさすがに触れられんしなぁ。
その初代・元祖・始祖の辰吉こと《ヴァルショクの狂戦士》。初出は『ミラディン』、後に『マジック2011』に再録された。カードとしてのスペックはもう3/2速攻と明かしてしまったので、特段語るところはない。フレイバーテキストでも見てみよう。
「感情には情熱が宿り、侮辱には復讐が伴う。」
「彼は己の二つの手で、己のための伝説を彫り上げる。」
謎のカッコ良さ。何故かボクサーらしさも感じられるあたり、辰吉は運命的なものだった...?
今週はこんな感じで、変なあだ名を持つカードを紹介していこう。「俗称ウィーク」とでもしようか。有名なものからマイナーなものまで、僕が聞いたことのある特殊な名前をプレイヤーによって授けられたカードを紹介していこう。