MMM Finals&Eternal Party2017へ向けて~MMM&KMC主催者インタビュー~
タグ:Eternal Party, KMC, MMM, Monthly Modern Masters, マンスリー・モダン・マスターズ, モダン, レガシー, 日下部恭平, 読み物
モダンというフォーマットは、スタンダード落ちした思い入れの強いカードが使えたり、広大でありながらもエターナル環境に比べると抑えられたカードプールに基づいて様々なデッキが群雄割拠するさま、競技性の高さ...などなど、いかにも日本のプレイヤーが好きそうなものとなっている。
それでありながら、PPTQは特定のシーズンのみ・グランプリに至っては開催されない年もあったりと、いつでも遊べる場が設けられているというわけではないのが実に勿体ないところ。
せっかくの面白いゲームも、遊ぶ機会がなければプレイヤーはデッキを作らなくなり、カードを手放し、廃れてしまう。
日本のモダンがそうなってはならない、折角の面白いゲームを存続させ、モダンを通して日本の...というのは少々大げさだが、関西のマジックシーンを盛り上げるためにくーやんこと日下部恭平ら、BIG MAGICのスタッフが立ち上げたのがMMM(マンスリー・モダン・マスターズ)だ。
その名の通り、月に1回定期的に開催されるモダンの、所謂"草の根大会"であり、基本的には参加人数に応じたスイスドロー方式で優勝者を決定する。その初回から70人ほどのプレイヤーが参加し、開催から1年を経た現在ではすっかり月に1回の恒例イベントとして定着した感がある。
東京や名古屋でもトーナメント開催を予定するなど、その勢いはこれからも増していくに違いないMMM。年末には、MMM Finalと題して、レガシーなどでは恒例となっている豪華賞品などを用意した大型トーナメントの開催も控えている。
そんなMMMの先輩格とも言えるのが、KMC(Known Magician's Clan)だ。
こちらは、日本で根強い人気を誇るレガシーの草の根大会。レガシーが好き、でも遊ぶ場所が少ない、だったら自分が主催者になってそれを用意すれば良い!とその誕生経緯はMMMにも通ずるものがある。
第1回開催よりX年、今では定着どころか...日本のマジックシーンにおける最大級の草の根大会として、その名を天下に轟かせている。
ポイント制度、インビテーショナル大会、年間王者決定戦など...様々なことにチャレンジしてきたKMC。
レガシーの最新情報を得るには、このトーナメントの結果を見るのが最も手っ取り早いかもしれない。
現在、この2つのトーナメントは共同開催という形をとっている。モダンとレガシーという、共通点の多いフォーマットを同会場で行うことで、参加者間の交流を図ったり、確保が難しくなった会場の問題をクリアすることに成功している。
毎月、2つのトーナメントを同会場で行い、合計で150名以上のプレイヤーがマジックをじっくり楽しめる空間を作り出しているMMMとKMC。
今回は、年末のMMM FinalとEternal Partyの告知も兼ねて、これらのトーナメントがどのようなものなのかをレポートでお届けしよう!
12:30PM。MMM、KMC両運営陣が会場に集合する。
MMMはくーやん、りゅうじ含む3人、KMCは主催者・三星に参加者であり運営サポートを担う水口の2人だ。
会場は大阪市の港区民センター。合同開催の際にはここが定番の開催地となっているようだ。200人は収容可能で、より規模の大きいトーナメントでも問題なく運営することが可能だ。
かつてはGPTやPTQの会場としても使われてきた過去があり、馴染みの深いプレイヤーも多いことだろう。
この港区民センターのホールへの入場が許可されると、この時点で集まっていた5人はすっかり慣れているようで、特に誰が何を言うでもなく、黙々とテーブルと椅子を設営していく。
この際に、ススーッと会場入りして、挨拶も手短に設営を手伝う人々が。一体誰なのか?一人は遅れてやってきたKMC運営サポートの関本と、そしてそれ以外はKMCに毎度参加されるお客さんだという。
毎回のように設営を手伝っているようで、こういうのはBMOといった賞金制トーナメントなんかではまず見ることのない"草の根"ならではの光景だよなぁと、どこか懐かしい気持ちになった。
僕もKMC発足時・黎明期には遊びに行って設営を手伝っていたのを思い出した。
設営を終えるころには、会場の入り口付近にぼちぼちとお客さんが集まってきている。受付を行うPCなどの設営も完了し、くーやんが「MMM受付開始しまーす!」とコールすると、ぞろぞろとMMM参加者がホール内へと入ってくる。
受付で参加費を払い、DCIナンバーなどを告げる。同一会場ということでレガシーのKMCに参加する予定の人も列に並んだりしていたが、こちらの受付はもう少し後から。MMMの受付がひと段落ついたところで、MMM受付からフィーチャーテーブルを挟んで、KMC受付にてスタンバイを終えた三星から「KMC受付開始しまーす!」とコール。
(ちなみにMMMフィーチャーテーブルはこんな感じ。この日はYou Tube Liveで試合の模様を配信していた)
実際の受付を担当するのは、運営サポートの2人。参加費を受け取り、プレイヤー情報を入力していく。
この日のMMMは、運営陣曰く入りは今一つとのこと。
外出する気を削ぐような熱気や、同日にモダンのPPTQが開催されていることで競技志向の強いプレイヤーはそちらへ流れているのでは、とのこと。最終的な参加人数は38名となった。
対してKMCは、参加者70名。十分な値ではあるが、2年ほど前のピーク時には毎月のように100名近くのプレイヤーが参加していたものである。
一時期の熱気は落ち着いたのか、あるいは100名集まっていたことがある種の異常事態だったのか。このあたりの変化を、主催の三星に聞いてみた。
付き合いの長い友人なので、今日は色々とぶっこんでみようかなと。
(KMC主催:三星氏。カメラを向けるといつもこのポーズ)
本日のKMCはどうでしょう?
三星「(70人は)十分多いね、最近の平均は60くらいやから。沢山来ていただけて有難い限りです」
一時期に比べると落ち着いた印象はあるけど、最近のKMCの盛り上がり具合はどう?
三星「正直なところ、KMC自体の回数が増えたから、月一の頃に比べて1回あたりの参加者は減ったね」
確かに、今後の予定を掲示してるけど、2回以上開催する月もあるね。ていうか明日もあるんや(笑)
三星「せやねん(笑)まあそういうのもあって、定例大会で100人行ったりはもう難しい感じはするかな。でも、色んな場所で遊び場は提供できているかなと」
なるほど、合計で見れば月に100名以上は参加していると
ここでちょっと話は変わるが、今後についても聞いてみた。
長いこと主催してるけど・・・ぶっちゃけ、「隠居したい」とか思う?
三星「それはね、思うよ」
主催引退しても良いんじゃないかっていうレベルやね、サポートの2人がばっちりやってくれてるし。
KMC発足時と違って、三星君も家庭があるわけですし。
(左:水口氏 右:関本氏 彼らはKMC参加者最古参であり、自身の遊び場の存続のために運営を手伝っている)
三星「う~ん、ただ実は彼らは"あくまでサポートならやりますよ"っていう形でやってくれてて」
主催を引き継ぐとかそういう話は?
三星「そういうのは違うっぽいね、そうしてくれたら僕も楽やけど(笑) でもいつも手伝ってくれて、本当に助かってるよ」
彼らも後ろ盾になってくれる三星君がいるからサポートできるわけで、となるとまだまだ隠居出来ないのが現実と(笑)
三星「うん、しばらく続けていくしかないよね。ここで終わる、ってなったら、これだけ集まってくれてる皆が困ることになるよね」
俺たちの遊び場が~って
三星「それね。折角これだけの人がいつも遊んでくれてるから、残したいよね。その一心で今後もやってくことになるかなぁ」
遊び場を提供する者の責任、ってやつですかな。
いつも、新しいことをやってる印象があって...プレイヤー単体のみではなく、コミュニティでのポイントレースとかを始めたらしいね
三星「あれはね、皆に参加して楽しんでもらうにはどうしたら良いかと考えてね。『コミュニティの皆が出てるのに俺だけ寝てたらあかんな...』と熱くなってほしくてね、関西はそういうの(寝たい)で欠席する人多いから(笑)」
なるほど、寝坊勢への抑止力やね(笑)
三星「まあ、今までKMCではポイントレースとかもやってきたけど、コミュニティのそれは個人が突き抜けた成績をとるよりも皆で1回でも多く出たほうが有利、という設定にして。今までにチャンスがなかった人にも、そういうものを勝ち取る喜びは知ってもらえるんじゃなかなぁって」
せっかく毎回参加してるのに勝てず、これまでスポットライトを浴びることがなかった層には、そういうのは嬉しいね。
コミュニティで思い出したけど、前からちょっと聞きたかったことを。KMCって、今現在色んなコミュニティが1つの大会のもとに集ってる、そんな状態かなと
三星「確かに、いろんなグループがいてくれてるよね」
そういう、コミュニティって、悪く言えば内輪ノリの側面もあるなと思っていて。三星君は運営するにあたって、内輪ノリになりすぎないように気を付けたこととか工夫したことってある?
三星「う~ん、内輪ノリね。そういう点では、どれかのコミュニティやプレイヤーに肩入れしないように、という方法で気を付けてるかな。コミュニティはむしろ、どんどんと自然発生している状態で、それを放置してる」
どれかに肩入れすることもなく、逆に抑制することもなく、放置ってことやね。
三星「そうやね。それで、結果的に色んなコミュニティが生まれたり、新しいコミュニティが丸ごと参加してくれるようになったり、なんとか上手いこといってるね。色々言う親よりは、親戚のおじさん的ポジションであり続けてるよ(笑)
まあ、たまに特定のコミュニティの、強くてキャラクターが立ってるプレイヤーを...持ち上げるじゃないけど、ピックアップすることはあるよ。それで「○○デッキでは××が最強の使い手?いやいや俺らのグループにもっと強いやつおるし!」ってなって、それまでKMCに来なかった新規層が増えて、いつの間にか常連になってたなんてこともあって...何でも、使いようかなって思うね」
なるほど...それで成功してるもんなぁ
(MMM決勝戦の様子 トロンに相対するのは、壁デッキ!)
これを踏まえて、同じく運営作業を行っていたくーやんにも話を聞いてみた。
MMM、今後どうしたい?
く~やん「とりあえず、KMCぐらいの人数が安定して参加するレベルにまでもっていきたいですね」
発足時から絶えず60人以上参加してたイメージあるけどね
くーやん「今回の38人でも草の根としては十分な数字ではありますけど、回を重ねるごとに人数に変動があるというよりは、とにかく安定して人が集まる場所にしたいですね。60人以上毎回集まっていれば、「今日もMMMにいけばモダンをたっぷり6回戦は楽しめる」と思ってくれる人が増えるかなと。とにかく、安心して遊びに来ることが出来る空間づくりを目指したいですね」
確かに、数字により安心感は増すね。それを見て、自分も行ってみようと思えるお客さんも増えるし。不安定な大会は、参加するのもやや不安になるかも(笑)
くーやん「誰でもいつでもウェルカム、来たら絶対にモダンを遊べる。これを推していきたいなと。だからMMMでは、参加人数が奇数・即ちBYEが発生する場合、スタッフが参加してなるべく全員がマジックを楽しめるようにしようと心がけています。折角休みの日に時間を作ってきたのに、1時間ぼーっと過ごしてもらうなんてのは申し訳ないですからね」
いいね、「マジックを・モダンをしたい人」のための大会。本来の草の根大会の、あるべき形って感じがするね
くーやん「勿論賞金なんか出せませんし、例えばデュアルランドのような高価なカードが上位賞で手に入るというわけでもないですけど...僕らが草の根にガンガン行ってた頃って、そういうのは二の次でマジックをしたかったっていう気持ちが強かったですからね。モダンプレイヤーにはそういう、遊び場を純粋に求めている人が多いと思います。そういう方々にいつまでも提供できる空間でありたいなと」
う~ん応援しちゃう!
KMCより先に始まったMMMは、合計で1時間半ほど早く全行程が終了した。KMC側もドロップして夕食に向かうプレイヤーが増え始める。
「お疲れさまでした~!」
TOP8入賞者とその友人くらいしか残っていない会場に、三星の声がよく響く。
上位入賞者が賞品を受け取り、デッキリストを記入する。
その間にも、参加者はスタッフを手伝い、椅子とテーブルを片付ける。
そして、すべてのプレイヤーが会場を後にしたのが、午後9時。
プレイヤーとして参加している時は何も思わなかったが、大会運営って、規模に関わらず一日仕事なんだなぁ。
誰かのマジックに満ちた休日のために、誰かが1日を捧げている。
それもいやいやではなく、喜んで。
自分がずっとずっと遊び続けていきたい、マジックを存続させるために。
2017年末、MMMとKMCはそれぞれのお祭りイベントを計画している。
MMM Finals
Eternal Party2017
それぞれ気になったのなら、ちょっとサイトを覗いてみてほしい。
関西のみならず、全国各地でトライアル大会も開催される予定だ。
ほんの少しでも興味を持ったのであれば、手元のデッキだけ持って会場に足を運んでみよう。
草の根大会、楽しいよ!