岡本桂多のKill them All!~『団結のドミナリア』編 ~ 前編
タグ:MTGシングル, 団結のドミナリア, 岡本桂多, 岡本桂多のKill them All!, 統率者, 統率者戦, 読み物
お久しぶりです!BIGWEB統率者戦担当の岡本桂多です!
皆さん楽しい統率者戦ライフをお過ごしでしょうか?
個人的には前回の『バルダーズ・ゲートの戦い』の新要素イニシアチブが思っていた以上に強力なギミックだったこと、新しい統率者が思っていた以上に強力だったことから結構楽しめました!
今回は『団結のドミナリア』という事でお馴染みのキャラクターが多く登場する人気次元ドミナリアに戻ります。
今回の新システムは後援、先読、麻痺カウンター。再録システムは版図、キッカー。
今回の新しいシステムはリミテッドやスタンダードなどでは影響がありそうですが、そこまで統率者戦には影響が無さそうです。
強いて言えば先読持ちの英雄譚に関して、1ターンに1章しか進まないという英雄譚の欠点を補ってくれるため、採用出来る可能性が広がるかな、ぐらいでしょうか。
今回はドミナリアなので伝説のクリーチャーが多い=統率者候補が多いという事で、そのあたりは注意して見ていく必要がありそうですね!
目次
・各色の注目カード
・統率者デッキを強化しよう!
・各色の注目カード
この項目では個別のカードを見ていきます。
・白
《ベナリアの希望、ダニサ/Danitha, Benalia's Hope》
新たな白単の統率者候補。
前回の《模範となる者、ダニサ・キャパシェン》に比べるとマナ総量・サイズともに上がっているので統率者ダメージを狙いやすくなっています。
能力も分かりやすく《ベナリアの希望、ダニサ》を強化してくれるものです。
マナ総量や装備コストは度外視してとにかく火力を上げるオーラや装備品をつけたいですね。
《アージェンタムの鎧/Argentum Armor》
《エルドラージの徴兵/Eldrazi Conscription》
《鎧をまとった上昇/Armored Ascension》
《再鍛の黒き剣/Blackblade Reforged》
あたりは白単色でも打点をしっかり上げてくれるので必須と言えるでしょう。
また、これらのオーラや装備品を探してこれるように
《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》
《鋼打ちの贈り物/Steelshaper's Gift》
《悟りの教示者/Enlightened Tutor》
《武器庫の開放/Open the Armory》
なども採用したいですね。
《ベナリアの希望、ダニサ》をサポートする手段はパーツが少ないので、それ以外のデッキの構成を好きなように出来ます。
例えば《レオニンの裁き人》《スレイベンの守護者、サリア》《弁論の幻霊》のようないわゆるヘイトクリーチャーをたくさん採用して、対戦相手のデッキを機能不全にしながら戦う構築にするのも良いでしょう。
統率者ダメージを狙う以外にも、《不死の贈り物》のように「ついているクリーチャーが死亡した時に戦場に戻すオーラ」を使うと無限生け贄のコンボが作れます。
手順は簡単で、《ベナリアの希望、ダニサ》に《不死の贈り物》をつけてから《爆破基地》などで生け贄に捧げると《ベナリアの希望、ダニサ》が戦場に戻るので、戦場に出たとき能力で《不死の贈り物》を回収するだけです。
《ベナリアの希望、ダニサ》を統率者にすると白単色になるので該当するオーラが《不死の贈り物》だけになってしまう事、直接勝利につながる生け贄手段が《爆破基地》ぐらいしかない事など難点が目立つため、他の固有色も入った統率者で搭載するのが良いでしょう。
青があれば《誘拐》《まやかしの死》《愚か者の死》、黒があれば《下僕の復活》《影の形態》《不浄の契約》《不浄な証約》が《不死の贈り物》の代わりとして使えます。
《ベナリアの希望、ダニサ》の代わりに《加護織りの巨人》も使えるため比較的無限コンボは成立させやすいでしょう。
《信仰を穢すもの/Defiler of Faith》
各色に存在する、パーマネント呪文の色マナを1つファイレクシアマナにしてくれるサイクル。
《ヨーグモスの息子、ケリク》とは異なり色マナ全てをファイレクシアマナにしてくれるわけではありませんが、ライフが潤沢にある統率者戦においては事実上1マナ軽くなるので非常に強力です。
サイクルのどれにも言えますが、パーマネント呪文にしか影響がない点に注意が必要です。
白のパーマネント呪文は《ドラニスの判事》などのヘイトクリーチャー、《沈黙のオーラ》《息詰まる徴税》などのヘイトエンチャント等々、該当するものは多いです。
難点としては、統率者戦では白が濃いめのデッキが少なく、コスト軽減が活きてくる構築は工夫が必要な点でしょうか。
サイクルの白はオマケで白のパーマネント呪文を唱えるたびに1/1のトークンがついてくるようになります。
オマケとしてはこれだけでは少々心もとないため、可能であればトークンデッキで採用してオマケも強く扱えるといいですね。
本体サイズが5マナ5/5と大きく、警戒も持っているため能力頼りのシステムクリーチャーとは異なり盤面を支えてくれるのも強みです。
《セラの救い手/Serra Redeemer》
本体のサイズはそこまで大きくありませんが、中々強力な能力を持っています。
5マナのこのカードを先に出しておく必要はありますが、《輝かしい聖戦士、エーデリン》《ブレタガルドの守護者、メイヤ》などのトークンデッキで採用すると一気に戦力増強が見込めます。
その際、《ヘリオッドの指図》などの常在型能力によってパワーが強化されているとこのカードが誘発しなくなるのでその点は注意が必要です。
《聖戦士の進軍》《分かち合う憎しみ》のように《セラの救い手》の能力をちゃんと誘発させられるような強化カードを採用していくと良いでしょう。
《胞子の教祖、ゲイヴ》のようなコンボ系のトークンデッキでも採用できそうです。
《胞子の教祖、ゲイヴ》+《セラの救い手》+《アシュノッドの供犠台》で無限トークンのコンボになります。
他にも《台所の嫌がらせ屋》(など、本来のパワーが3以下の頑強持ちクリーチャー)+《セラの救い手》+生け贄手段で無限頑強コンボも可能です。
《セラの救い手》と似たような能力を持つカードはいくつかあるので、用途やマナ域に応じて取捨選択しましょう。
特に《出産の殻》のようなマナ総量を参照するクリーチャーサーチを使用する場合は注意が必要です。
《一時的封鎖/Temporary Lockdown》
《選別の儀式》のようにマナ総量の小さいカードを根こそぎ処理してくれるエンチャント。
《選別の儀式》と同様、自分のパーマネントも追放してしまう点に注意が必要です。
白お得意の《払拭の光》タイプの追放の処理方法のため、また戦場に戻ってしまう可能性もありますが、一時的にでも対処はしてくれます。
統率者戦ではマナ加速が非常に重要なため、《ラノワールのエルフ》のようなマナクリーチャー、《秘儀の印鑑》のようなマナアーティファクトを使うデッキが多いです。
他にも《頭蓋骨絞め》《森の知恵》のような軽くアドバンテージを稼げるようなパーマネントが採用される事も多いため、「出したけど特に何も追放できなかった」ような盤面はそうそうないでしょう。
・青
《星界の天啓/Cosmic Epiphany》
マナ総量が重いものの大量ドローの可能性を秘めたカード。
《知識の噴出》《啓示の終焉》などと比較すると5枚以上引けると高効率となります。
ソーサリーである事、マナ総量が6マナと重い事から青いデッキならなんでもとは言えません。
《星の大魔導師、ヴァドリック》《イズマグナスのミジックス》などインスタントやソーサリーを多用しつつ、マナ総量の重さをカバーできる統率者でのみ光るカードと言えるでしょう。
《夢を穢すもの/Defiler of Dreams》
各色に存在する、パーマネント呪文の色マナを1つファイレクシアマナにしてくれるサイクル。
青は打ち消し呪文をよく使うため強力なパーマネント呪文のイメージが少ないものの、《瞬唱の魔道士》などのシステムクリーチャーが1マナ軽くなるのは非常に強力です。
サイクルの青はオマケで青のパーマネント呪文を唱えるたびに1ドローがついてくる、非常に強力な能力を持ちます。
《金切り声のドレイク》は特に強い組み合わせで、2点ライフを支払うたびに1ドロー出来るすごいドローエンジンが完成します。
他にも《大クラゲ》《冬のエラドリン》など自分自身を手札に戻せるカードと組み合わせればマナの続く限りドローを進める事ができます。
デッキとしては《精霊の魂、アニマー》《伝承の語り部、チュレイン》《羊頭スフィンクスの君主、アネシ》などの青を含んだクリーチャーベースのデッキと相性が良いでしょう。
特に《精霊の魂、アニマー》《羊頭スフィンクスの君主、アネシ》は《夢を穢すもの》が軽減できない無色マナの部分を軽減してくれる多く含まれていますし、どちらも《夢を穢すもの》のコストも軽減できるため非常に相性が良いです。
今後も青絡みのクリーチャーベースのデッキを作る際は忘れてはいけないクリーチャーになりそうですね。
《皇帝ミハイル二世/Emperor Mihail II》
新たな青単の統率者候補。
分かりやすくマーフォーク部族デッキを作ろう、という能力を持っていますね。
モダンやレガシーで使われているマーフォークは《アトランティスの王》《真珠三叉矛の達人》など固有色的には青単でも十分採用出来る範囲内です。
部族の中でもマーフォークは特にロード能力を持つカードが多く、青単に似つかわしくない打点の高さが魅力的。
《皇帝ミハイル二世》は自身の能力で(不確定ながら)ライブラリーの上からマーフォークを唱える事もできて、オマケで1/1とはいえマーフォークトークンを生成して戦力を横に拡大できるのでロード多めの部族構成と非常に噛み合っています。
青単色でクリーチャーを横並べさせる戦略を取る場合、《沿岸の海賊行為》《タッサの二叉槍》などの攻撃が通ったらドロー系のカードと《時間のねじれ》《時間操作》などの追加ターン系のカードを使って手数と攻撃回数を増やしていく構成が強力です。
デッキの構成としてはマーフォーク多め、上記のドロー系と追加ターン系、そして打ち消し呪文などの妨害と比較的わかりやすい構成になるでしょう。
部族マーフォークデッキとしての強力なライバルは《オラーズカの暴君、クメーナ》。
《オラーズカの暴君、クメーナ》の方が固有色が多く採用出来るマーフォークのバリエーションが増えていますし、分かりやすいドロー能力も備わっています。
《皇帝ミハイル二世》で差別化していくなら《基本に帰れ》など単色である事を活かせる構成にすると良いでしょう。
また、もちろん《オラーズカの暴君、クメーナ》など他の部族マーフォークデッキに《皇帝ミハイル二世》を採用するのもアリです。
将来またマーフォークが増えた時のためにも覚えておきたいカードですね。
《ザルファーのフェイジング/The Phasing of Zhalfir》
先読持ちの英雄譚。
1,2章はパーマネントをフェイズアウトさせる能力で、3章は《急速混成》を全てのクリーチャーに使ったような全体除去能力。
本来のデザインとしては1,2章で自分のクリーチャーをフェイズアウトさせ、3章の全体除去でそのクリーチャー以外を一掃するというものです。
1,2章は土地でないパーマネントであればフェイズアウトさせられる点を忘れないようにしましょう。
自分のクリーチャーを守るだけでなく、対戦相手のパーマネントを2ターンの間どかすことが出来るので、疑似的なバウンスとしても使えます。
3章の全体除去は非常に強力で、ソーサリータイミングの4マナ全体除去は《神の怒り》《滅び》と同効率。
オマケとして出てくるトークンも《急速混成》とは異なり2/2とワンサイズ小さく、初期ライフが多い統率者戦ではそこまで影響はないでしょう。
昨今の統率者戦では《ドラニスの判事》《敵対工作員》などの厄介なシステムクリーチャーが多く使われるため、そういったクリーチャーをまとめて処理できるのは重要です。
基本的には先読を活用していきなり3章を放つ使い方になりそうです。
クリーチャーをしっかり強化していくデッキに対してはいきなり3章から始めるのではなく、1章か2章から初めて、「次のターン全体除去されるからちょっと展開は待っておこう」という空気にして展開を遅らせる使い方もアリです。
《ヴェズーヴァの複製術/Vesuvan Duplimancy》
《万物の姿、オルヴァール》のような能力を持ったエンチャント。
《万物の姿、オルヴァール》とは異なり統率領域に置けないため、このエンチャントメインのデッキにするのは中々難しいでしょう。
《燃えがらの風、エイデリズ》《双対の声、ヴェイラン》のような軽いインスタントやソーサリーを連打するような構成の統率者は非常に相性が良いですね。
どちらも統率者のコピーを生成出来ると火力が段違いに跳ね上がります。特に《双対の声、ヴェイラン》は《ヴェズーヴァの複製術》のコピー能力もコピーするため、一気に盤面を《双対の声、ヴェイラン》で埋め尽くして凄まじい火力になるでしょう。
どちらかというと青のインスタントやソーサリーは妨害するものが多いため、赤の打点をサポートしてくれるようなインスタント、特にドローがついている《祖先の怒り》《たなびく真紅》《促進》《苛立ち》などは使い勝手も良いため多めに採用したいところです。
もちろん《万物の姿、オルヴァール》デッキでも採用されている《金粉の水蓮》を《ヴォルラスの気まぐれ》で無限にコピーするコンボも出来ますが、自然と《ヴォルラスの気まぐれ》を採用出来るデッキは少なく、このコンボを目当てに《ヴェズーヴァの複製術》を採用する事は少ないでしょう。
《ヴォーデイリアの呪詛抑え/Vodalian Hexcatcher》
新しいマーフォークのロードは打ち消し能力も兼ね備えています。
《呪い捕らえ》に似てマーフォークを生け贄に捧げる必要はありますが、クリーチャーでない呪文はなんでも対象に取れる範囲の広さが魅力的。
統率者戦では着地を許してはいけないアーティファクトやエンチャントも多いのでこれは便利ですね。
統率者戦の部族デッキの中ではマーフォークはあまり人気ではありません。
《オラーズカの暴君、クメーナ》《海と空のシヴィエルン》《川の案内者、シグ》など統率者自体はいますが、他の部族、他の色に比べるとそこまで圧倒的な強さを持っているわけではありません。
《ヴォーデイリアの呪詛抑え》だけではそんなマーフォークを一線級まで持っていけるかは正直怪しい所ですが、試す価値はありそうです。
統率者戦で使う際に特に相性が良いカードは《凪魔道士の導師》と《リトヤラの反射》。
前者は《ヴォーデイリアの呪詛抑え》の打ち消し能力のために必要なマーフォークを用意してくれるので継続的に打ち消しが出来る点、後者はマーフォークを用意するだけでなくロード能力を更に重複させる事が出来て火力アップにもつながる点が優秀です。
・黒
《目覚めた潜伏工作員/Activated Sleeper》
《影武者》のようなちょっと特殊な多相の戦士。
このターンに墓地に落ちたクリーチャーカードのコピーとしてしか出せないというちょっと特殊な能力を持ちます。
デッキの固有色に白が混ざっていれば《霊体の先達》と無限コンボが可能です。
他にも赤が混ざっていたら《騙し討ち》などで使い捨てにしたクリーチャーに成り代わる事で疑似的に戦場に定着させるという使い方も出来ますね。
黒のクリーチャーベースのデッキであれば生け贄手段も豊富に採用出来るため、無限コンボが出来ない時でも一定以上の働きを見せてくれるいぶし銀カードと言えるでしょう。
《甦りし悪夢、ブレイズ/Braids, Arisen Nightmare》
3代目のブレイズ。禁止推奨カードになってしまった初代ブレイズ(《陰謀団の先手ブレイズ》)と同様に、生け贄に関する能力を持っています。
その能力は中々トリッキーで、自分が生け贄に捧げたカードと同じカードタイプのカードを生け贄要求させるというもの。
弱点として生け贄要求が強制ではなく任意のため、「どうしてもあのパーマネントを処理したい」という盤面の時にそれを処理できないというもどかしさがあります。
その代わりに生け贄に捧げられない/捧げない事を選んだ対戦相手1人につき1ドローと2点ライフルーズのオマケが付いてきます。
対戦相手がコントロールしている狙ったパーマネントを処理できないため、除去能力としては信用できません。
どちらかというと生け贄に捧げられなかった時の1ドローのオマケを目的にする事が多いでしょう。
統率者にする場合、これだけで強力に盤面を制圧できませんし、何らかの無限コンボもできないため、ドロー能力を持った統率者として何らかの無限コンボを揃えに行くような構成になりそうです。
クリーチャー、土地、アーティファクトは対戦相手もコントロールしている事が多いので、エンチャントを生け贄に捧げればドロー能力として信頼できそうです。
《裏切る恵み》《悪魔の契約》などの戦場に残り続けるとマズいエンチャントを上手く活用できるといいですね。
プレインズウォーカーも生け贄に捧げられますが、戦場に出てすぐにマイナスを使い、後はどうなってもいいプレインズウォーカーであれば採用するのはアリです。
《リリアナ・ヴェス》《ソリン・マルコフ》など、小マイナス能力が比較的強力なプレインズウォーカーは出した後相手に攻撃されてすぐ落とされる事が多いため、《甦りし悪夢、ブレイズ》で生け贄に捧げてドローにかえてしまうのがいいでしょう。
統率者としてではなく、普通にデッキに採用するのもアリです。
その場合は《裏切る恵み》のような特有のカードはあまり使う事がないため《胞子の教祖、ゲイヴ》などのトークンデッキでのドロー手段として使うとコストに困る事なく扱えるでしょう。
《ギックスの残虐/The Cruelty of Gix》
先読持ちの英雄譚。
1章は統率者戦では使う事がほぼないため、大体は2章か3章から読み始める事になりそうです。
2章は《不気味な教示者》。統率者戦でのサーチ能力は言わずもがな強力。
3章は《墓場からの復活》。対戦相手の墓地からも戦場に出せる点は忘れないようにしましょう。
2章と3章の能力はどちらも5マナのソーサリータイミングのカードとしてはちょっとマナ総量に見合っていないので、どちらか片方だけでなく両方を有効に使えるようなデッキで採用するといいですね。
これも先読を持っていなければほぼお呼びがかからないようなカードですが、先読のおかげで比較的柔軟に使う事が出来る点があるため採用の余地があります。
特に《秘儀の織り手、ゲン》統率者のデッキであれば勝手に墓地に行ってくれるエンチャントという事だけでも無理なく採用できそうです。
《肉を穢すもの/Defiler of Flesh》
各色に存在する、パーマネント呪文の色マナを1つファイレクシアマナにしてくれるサイクル。
黒は黒単統率者というだけでも強力なものが多く、その分黒いパーマネント呪文を使うタイミングが増えるため、色マナを1個軽減してくれる事の恩恵を受けやすい色です。
黒絡みのゾンビデッキなどは特に黒いクリーチャーを多く採用するため、展開の一助になるでしょう。
他のサイクルに比べて4マナとちょっとマナ総量が軽いのも魅力的です。
ただし、黒には《ヨーグモスの息子、ケリク》という超強力なライバルがいるのが逆風気味です。
黒はオマケ能力が弱めで、クリーチャー1体をちょっと強化してくれる程度となっています。
オマケ能力というよりは展開力を高めるためのマナ加速カードのような使い方になりそうです。
《影の儀式の司祭/Shadow-Rite Priest》
珍しいクレリックロード。
起動型能力が非常に強力で、コストはかかるもののライブラリーから黒いクリーチャーを探して直接戦場に出す事ができます。
《絶望の魔神》《悪意の力》《穢れた血、ラザケシュ》《囁く者、シェオルドレッド》など、黒くて重い強力なクリーチャーは多く存在するため、それらを比較的軽いコストで戦場に出せるのは中々強力です。
クレリックを用意する必要があるので使える統率者は限られますが、《スカイクレイブの秘儀司祭、オラー》《希望の死、タボラックス》あたりは相性がよさそうです。
どちらもクレリックが死亡する事でメリット能力が誘発して、《スカイクレイブの秘儀司祭、オラー》であればコストにしたクレリックを回収する事も、ヤバそうだからと処理されてしまった《影の儀式の司祭》を回収する事も容易です。
他の部族に比べるとクレリックは部族的に強化される事は少ないものの、たまに注目される事があるため、今後もこのカードを忘れないようにしたいですね。
《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse》
帰ってきたシェオルドレッド。
今回は大分サイズがシェイプアップして4マナ4/5となっています。
能力は自分がカードを引くたびにライフを回復、対戦相手は逆にカードを引くたびにライフを失うというもの。
前回が派手だっただけにちょっと地味に見えてしまいますね。
黒は《スランの医師、ヨーグモス》《ファイレクシアの闘技場》のようにライフを失いつつカードを引くというものが多く、いくら初期ライフが多い統率者戦であってもライフが足りなくなることが多々あります。
《黙示録、シェオルドレッド》はそんな足りなくなりがちなライフを補ってくれる便利クリーチャーとして採用できます。
対戦相手の影響の方が割と強力です。
統率者戦では青の《リスティックの研究》《Mystic Remora》《聖別されたスフィンクス》、緑の《威厳の魔力》《森の知恵》、アーティファクトの《頭蓋骨絞め》等々、大量にドローして他のプレイヤーにアドバンテージ差をつける行為が強力です。
1ドローにつき2点ライフとはいえ、そういった大量ドローの際に《黙示録、シェオルドレッド》がいれば今は亡き《船殻破り》ほどの抑止力にはなりませんが、十分なプレッシャーを与える事が出来るでしょう。
昔からよく使われる《精神力》+《寺院の鐘》のライブラリーアウトコンボなどもしっかりと牽制してくれますね。
・赤
《本能を穢すもの/Defiler of Instinct》
各色に存在する、パーマネント呪文の色マナを1つファイレクシアマナにしてくれるサイクル。
赤は他の色と異なり《背信のオーガ》という強力なライバルがいます。
1マナごとに必要なライフが2と3という違いはありますが、《背信のオーガ》はシンボル1個だけという制限がないので《本能を穢すもの》を優先する場面は少ないかもしれません。
また、赤単の統率者も黒と同様に多いものの《屑鉄の学者、ダレッティ》などのようにアーティファクト多めの構成になる事が多く、恩恵を受けられる機会が少なくなりがちなのも逆風気味。
サイクルの赤のオマケはパーマネント呪文を唱えるたびに1点ダメージを飛ばせる、というもの。
1点なのでプレイヤーを狙い続けるのは厳しいものがありますが、クリーチャーにもダメージを飛ばせるのが偉いですね。
赤単色だと装備品に頼る必要がありますが接死をつけるといきなり大量殺戮兵器と化します。
それでなくともマナクリーチャーなどのシステムクリーチャーをついでのように処理できるのは中々優秀です。
ゴブリンデッキなど特定の部族デッキではパーマネント呪文を多用するため、オマケ能力をちゃんと誘発させられるなら《背信のオーガ》よりも優先して採用したいですね。
《ランドヴェルトの大群率い/Rundvelt Hordemaster》
新たなゴブリンロード。
《ゴブリンの酋長》《ホブゴブリンの山賊の頭》などの今までのロードとは異なり2マナというマナ総量の軽さが強み。
ゴブリンデッキであれば《英雄たちの送り火》で探しやすいのは魅力的です。
オマケ能力はゴブリン死亡時に次の戦力を探しにいけるというもの。
数を並べやすいゴブリンはその分全体除去の影響を受けやすいですが、《ランドヴェルトの大群率い》がいればリカバリーしやすくなりますね。
唱えられるのはゴブリン・クリーチャーだけという制限はあるものの十分と言えるでしょう。
《スカークの探鉱者》《Goblin Chirurgeon》などの生け贄手段があれば、自分で並べたゴブリンを生け贄に捧げて《人目を引く詮索者》《稲妻造り士》《鏡割りのキキジキ》などのコンボパーツを探しに行く能動的な使い方もアリです。
《群衆の親分、クレンコ》《上流階級のゴブリン、マクサス》《ボガートの汁婆》などゴブリンデッキであればほぼ間違いなく採用できるでしょう。
《肉裂きの大包丁/The Reaver Cleaver》
赤単色の装備品は最近流行の宝物生成タイプ。
マナ総量が3マナ、装備コストが3マナと若干重いものの、能力は強力で、戦闘ダメージがプレイヤーに通ったらその分の宝物トークンを生成してくれます。
装備までの総コストの重さもすぐに宝物という形で補填してくれるため、見た目よりも身軽に動く事ができます。
更に強化部分も+1/+1修整という最低限の修整に加えてトランプルという回避能力もあり、誘発型能力とのかみ合いも非常に良いですね。
攻撃が通ればすぐに隙を埋められるという点では《饗宴と飢餓の剣》に近いものがあります。
《饗宴と飢餓の剣》に近いので、条件を満たす必要はありますが《ヘルカイトの突撃者》や《追い討ち》で無限戦闘フェイズのコンボも可能です。
このコンボを元々採用しているデッキであればほぼ文句なしに採用できるでしょう。
そうでなくとも、《饗宴と飢餓の剣》に比べてターンをまたいでも宝物トークンという形でマナを貯めておけますし、二段攻撃持ちのクリーチャーに装備した時にもフェイズをまたいでマナを貯めておけるので状況によっては《饗宴と飢餓の剣》を凌駕するパフォーマンスを見せてくれそうです。
・緑
《ワーム語り、バルー/Baru, Wurmspeaker》
新たな緑単の統率者候補は初の部族ワームデッキ用統率者。
ワームは元々サイズが大きいため、ロード能力のトランプル付与は強力。
更に、元々トランプルを持っているワームも多いですが、それらにとっては+2/+2という無視できないサイズアップが効いてきます。
起動型能力によってワームを生成出来ますが、生成したワームも自身の能力で強化でき、ワームの最大パワー分起動するためのコストが軽くなるので、ほぼ2マナ+自身タップでワームを生成出来るという非常に高効率で戦力増強が可能です。
固有色緑単でも《Nature's Chosen》《賦活》《千年霊薬》など《ワーム語り、バルー》をアンタップさせる方法は非常に多く、ワームトークンを大量に生成する事も可能です。
生成したワームトークンはそもそもサイズが優秀なので、これだけでライフを削りにいく事も十分現実的です。
また、サイズが大きいトークンを活用するため、《よりよい品物》も採用しておくと一気に手札を補充する事も出来るのでオススメです。
緑単らしくデカいクリーチャーをたくさん並べて殴って勝つ!というシンプルで分かりやすい統率者デッキが組めそうです。
《活力を穢すもの/Defiler of Vigor》
各色に存在する、パーマネント呪文の色マナを1つファイレクシアマナにしてくれるサイクル。
緑はエルフデッキを始めとしてマナクリーチャーを多用するデッキが多く、恩恵を非常に受けやすい色です。
更にクリーチャー呪文を連打できると嬉しい《垣間見る自然》《獣に囁く者》などと組み合わせるとどんどんドローを進めていく事も出来ますね。
緑のオマケ能力は+1/+1カウンターを各クリーチャーにばら撒くという強力なもの。
クリーチャーが多くなる構成とかみ合っていますね。
特にエルフデッキで《垣間見る自然》などでドロー加速しつつ《ワイアウッドの共生虫》でエルフを出したり戻したりを繰り返しているだけで、《孔蹄のビヒモス》などに頼る必要もないぐらいにムキムキの軍団が完成している事でしょう。
《葉冠の幻想家/Leaf-Crowned Visionary》
新たなエルフロード。
《エルフの部族呼び》など2マナのエルフロードはいましたが、今回はオマケ能力が非常に強力。
エルフ呪文に対して《造命師の動物記》のようなドロー能力がついてきます。
エルフは元のマナ総量が軽く追加の1マナを支払いやすい事や、《ワイアウッドの共生虫》《ティムールの剣歯虎》などで出し直すギミックがある事からドローする機会は非常に多いでしょう。
今後もエルフデッキを作る際は必須カードとなります。
・多色
《刃を持つ者、アスター/Astor, Bearer of Blades》
新たな白赤の統率者候補。
装備品と機体シナジーのデッキが組めそうですが、装備品と機体はあまり同居しにくいため、どちらかに特化させた方がいいでしょう。
戦場に出すだけで装備品か機体を探しに行くことが出来、アドバンテージを失わないのは良いですね。
どちらに特化させるにしても《耕作者の荷馬車》は戦場に出たとき能力で手札に加えられるマナサポートとして優秀なので採用したいですね。
本体スペックは4マナ4/4と可もなく不可もなくといったところ。
装備品でサポートしてあげれば統率者ダメージも十分狙えるラインです。
装備品のサポートは装備コストが1マナと最小コストになるというもの。
モダンでお馴染みの《巨像の鎚》を始めとして、装備コストが重めの装備品を使っていきましょう。
《殴打頭蓋》《カルドラの完成体》などの生体武器はマナ総量も大きいですが装備コストが重いものが多く、恩恵を感じやすいですね。
無理に装備コストが重いものばかりを採用する必要はなく、《火と氷の剣》など普段よく使われる装備品のコストが軽くなるだけでも十分強力です。
装備品シナジーのデッキだと《鋼の魂、ワイレス》という強力なライバルがいます。
アドバンテージに関しては流石に《鋼の魂、ワイレス》に軍配が上がってしまいます。
《鋼の魂、ワイレス》はなんでもいいから装備できればいい、という構成になるため《ゴーレム皮の篭手》など火力を一気に上げるカードを引かない限り打点が上がりにくいという欠点があります。
《刃を持つ者、アスター》に関してはしっかりと強化してくれる装備品で固めるため、平均打点が高めで継続して攻めにいけるという点が強みと言えるでしょう。
機体のサポートに関しては、搭乗コストが1と最小になるというもの。
このサポートをアテにして機体デッキを作る事も可能ですが、統率者ダメージを狙うよりも勝ちきるのが難しくなってしまいます。
また、固有色は違うものの《天才操縦士、コトリ》という強力な機体シナジー統率者のライバルの存在も懸念点としてあります。
アーティファクト多めの構成になると赤よりも《加工》《発明品の唸り》《現実への係留》など機体を探しにいきやすい青を固有色に持っている方が安定性が高いという事もあります。
機体シナジーで組む場合は
《巨大な鋤/Colossal Plow》
《征服者のガレオン船/Conqueror's Galleon》
《領事府の弩級艦/Consulate Dreadnought》
《パルヘリオンⅡ/Parhelion II》
《ウェザーライト/Weatherlight》
など、搭乗しにくいがその分能力は強い機体を多く採用しましょう。
《戦闘魔道士の隊長、バルモア/Balmor, Battlemage Captain》
青赤らしい、インスタントやソーサリーを使いこなすタイプの統率者候補。
能力的にもサイズ的にも《燃えがらの風、エイデリズ》に近い構成になりそうです。
《戦闘魔道士の隊長、バルモア》は強化対象がウィザードに限らない点が大きな強み。
デッキとしては《ドラゴンの餌》《軍族童の突発》などトークンを生成出来るインスタントやソーサリーで数を並べ、《選択》《考慮》を始めとした手札が減らないインスタントやソーサリーを使って《戦闘魔道士の隊長、バルモア》の能力を何度も誘発させてガンガン殴っていくような構成になりそうです。
《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》
《ゴブリンすべり/Goblinslide》
《つぶやく神秘家/Murmuring Mystic》
《崇高な工匠、サヒーリ/Saheeli, Sublime Artificer》
など、インスタントやソーサリー以外でもトークンを生成できるものであれば採用していきましょう。
《燃えがらの風、エイデリズ》と比べると何度誘発させてもタフネスが上がらない点が欠点としてあります。
打点を上げるために数を並べようとするとどうしても基本のタフネスが小さいトークンばかりになってしまうため、相討ちなどを繰り返していくうちに戦力が足りなくなってしまいます。
そのため《巨岩の門》《空中浮遊》など、安全に攻撃を通せる手段もある程度採用したいですね。
《ケルドの血拳、ガルナ/Garna, Bloodfist of Keld》
黒赤の統率者候補。
前回も黒赤でどちらかというとコンボ寄りの能力でしたが、今回もコンボのお供に良さそうな能力を持っています。
平常時はクリーチャーが死亡するたびに各対戦相手に1点ダメージを飛ばすので、《ズーラポートの殺し屋》のように無限頑強など戦場と墓地を無限に行き来するコンボの際にフィニッシャーとして活躍してくれます。
死亡するクリーチャーが攻撃していた場合はダメージの代わりにドローがついてくるようになるので、チャンプアタックになりがちなゴブリンなどのブロックを躊躇させる事が出来ます。
死亡したときに攻撃クリーチャーである必要があるので、能動的にドローするためには《ゴブリンの砲撃》などの生け贄手段を別途用意する必要があります。
統率者としては《金属ミミック》+《朽ちゆくゴブリン》などの無限頑強コンボを搭載し、フィニッシャーとして活用するようなデッキが考えられます。
なるべくトークン生成や《組み直しの骸骨》などの戦場に戻りやすいクリーチャーと生け贄手段を用意してドローの方でも能力を誘発させられるような構成にしたいですね。
統率者ではなく、黒赤系のデッキで採用する事も考えられます。
チャンプアタックになりがちなゴブリンを活用した《ボガートの汁婆》、後述する新統率者《憎悪の手、ラゴモス》など、クリーチャーが戦場と墓地を行き来するようないわゆるガチャガチャ動くタイプの統率者で採用出来ると中々の活躍を見せてくれそうです。
《老いざる革新者、ジョイラ/Jhoira, Ageless Innovator》
通算3枚目のジョイラは今回も青赤の統率者候補。
今回はアーティファクトシナジーの能力を持っています。
最初はマナ総量の軽いアーティファクトしか戦場に出せませんが、すぐに重いアーティファクトも戦場に出せるようになります。
《通路の監視者/Corridor Monitor》
《教術師の石/Magewright's Stone》
《貴族の印章/Patriar's Seal》
《棘噛みの杖/Thornbite Staff》
《千年霊薬/Thousand-Year Elixir》
など、《老いざる革新者、ジョイラ》をアンタップできるアーティファクトを出せると、発明カウンター稼ぎにも展開力アップにもつながるので極力採用した方が良いでしょう。
何度も起動しているとすぐに手札が尽きてしまいます。
アーティファクトで手札を補充できたら動きとしては綺麗ですが、継続的にたくさんドローしようとして《運命の塔》のようにドローするために追加でマナが必要なものを使ってしまうとあまり相性が良くありません。
《ニンの杖/Staff of Nin》
《不滅の太陽/The Immortal Sun》
この2枚は多少時間がかかるものの継続的にドロー出来るため比較的使いやすいでしょう。
《砂岩の予言者/Sandstone Oracle》
《意外な授かり物/Windfall》
《這い耽り/Slithermuse》
《魂の再鍛/Reforge the Soul》
《輪の大魔術師/Magus of the Wheel》
など、「対戦相手よりも自分の方が手札が少ない時にたくさん引けるカード」は展開力に特化した《老いざる革新者、ジョイラ》にマッチしたドローカードと言えるでしょう。
《砂岩の予言者》は特にこの中では唯一アーティファクトなので是非採用したいですね。
分かりやすいアーティファクトでの勝ち手段としては《ブライトハースの指輪》+《玄武岩のモノリス》の無限マナコンボがあります。
《ブライトハースの指輪》はシンプルに《老いざる革新者、ジョイラ》の起動型能力をコピーするだけでも強力なので採用しましょう。
また、シンプルにデカい《荒廃鋼の巨像》を叩きつけるのも分かりやすい勝ち手段としてアリですね。
《憎悪の手、ラゴモス/Lagomos, Hand of Hatred》
新たな黒赤の統率者候補。
誘発型能力は毎ターン2/1のターン終了時に消えてしまうトークンを生成するというもの。
これだけで戦線を維持したり殴り切るのはサイズ的にも数的にも厳しいものがあります。
継続的にクリーチャーを出してくれるので、《ゴブリンの砲撃》でダメージに変えたり、《頭蓋骨絞め》でドローに変えたり、最後まで有効活用してあげましょう。
起動型能力はなんとタップするだけで《悪魔の教示者》が出来ます。
条件として5体以上クリーチャーが死亡していないといけないというものがあるので、これをどう乗り越えるかが問題となります。
対戦相手のクリーチャーが死亡しても良いので、《ゴブリンの砲撃》で対戦相手のクリーチャーを破壊すればこれで2体分のカウントになります。
他にはエルドラージ・落とし子とエルドラージ・末裔、《スカークの探鉱者》《無謀なバーバリアン》《ファイレクシアの供犠台》など生け贄に捧げてマナを加えてくれるカードを活用すれば5体という条件は簡単に達成できるでしょう。
《老いざる革新者、ジョイラ》の項目でもピックアップした《憎悪の手、ラゴモス》をアンタップ出来るカード、特にシャーマンなので《刺噛みの杖》は非常に相性が良く、一度この起動型能力を起動できるようになったら「コンボパーツを探す→何かを生け贄に捧げてコンボパーツを探す」のループで無限コンボを揃える事が出来るでしょう。
《永遠の策謀家、ズアー/Zur, Eternal Schemer》
通算2枚目のズアーは今回も白青黒の統率者候補。
能力もエンチャントにちなんだ能力を持っています。
1つ目の能力はクリーチャー・エンチャントにキーワード能力を持たせるもの。
接死・絆魂によって戦闘において優位に立てますし、更に呪禁を持つのが非常に大きく、クリーチャー・エンチャントをメインアタッカーとして運用する事を現実的にしてくれています。
《永遠の策謀家、ズアー》のカードタイプにエンチャントを追加出来ると自身に呪禁を付与できますが、《魔法の夜》ぐらいしかありません。
2つ目の能力は2マナと軽いコストでエンチャントをクリーチャー化してくれます。
ずっとクリーチャー化するのはコスト的には助かりますが、全除去耐性という意味ではちょっと微妙なので一長一短。
変にクリーチャー・エンチャントを採用するよりも能力が強いエンチャントをこれでクリーチャー化してアタッカーにしていくのが分かりやすい戦術でしょう。
エンチャントが多めの構築になるため、各種エンチャントシナジーのカードを採用していく事になるでしょう。
《雲の鍵/Cloud Key》
《星原の神秘家/Starfield Mystic》
《シュタルンハイムの駿馬/Starnheim Courser》
《類似の金床/Semblance Anvil》
エンチャントのコストを軽くするカードたち。
採用するエンチャントはマナ総量が重い方が強力な戦力になってくれますが、もちろん唱えるためのコストがかさんでしまうのがネック。
これらのコストを軽くするカードで軽くしていく事が重要です。
他にもエンチャントシナジーのカードは数多くあります。
《神聖なる憑依/Hallowed Haunting》
《メサの女魔術師/Mesa Enchantress》
のようにエンチャント呪文を唱えたときにボーナスが誘発するもの、
《屋敷の踊り/Dance of the Manse》
《ヘリオッドの高潔の聖堂/Hall of Heliod's Generosity》
《ニクスの星原/Starfield of Nyx》
のように墓地からエンチャントを回収するもの、
《悟りの教示者/Enlightened Tutor》
《牧歌的な教示者/Idyllic Tutor》
《導きの嘆願/Plea for Guidance》
のようにエンチャントを探してくるもの、
《破滅喚起の巨人/Doomwake Giant》
《エレボスの代行者/Agent of Erebos》
のように星座能力をもつもの等々。
その他採用するエンチャントも
《法の定め/Rule of Law》
《秘儀の研究室/Arcane Laboratory》
のようなロック系
《力線の束縛/Leyline Binding》
《忘却への旅/Journey to Oblivion》
のような除去系
《リリアナの契約/Liliana's Contract》
《新たな視点/New Perspectives》
のような戦場に出たときに(大体の)仕事を終える系
《栄光の頌歌/Glorious Anthem》
《ヘリオッドの指図/Dictate of Heliod》
のような全体強化系など、デッキの方向性によって採用するものが変わってくるので、自分の好みに合わせてエンチャントを選別できる自由度の高さも《永遠の策謀家、ズアー》の強みですね。
・無色
《生けるレガシー、カーン/Karn, Living Legacy》
新たなカーンは今回も4マナ。
+1能力はマナアーティファクトトークンを生成しますが、アーティファクトでない呪文を唱えるためには使えない、という制限つき。
アーティファクトを唱えるためや起動型能力のためのマナなどには使えるため、アーティファクトメインのデッキでなくとも《スカラベの神》《胞子の教祖、ゲイヴ》のようなマナ食い虫の統率者デッキでの採用もアリです。
-1能力は余ったマナをつぎ込んでライブラリーを掘り進める事ができます。
このカード自体は無色なのでドローサーチが乏しい固有色のデッキでコンボパーツ探しのこの能力のために採用するのも良いですね。
-7能力はアーティファクト1枚のタップだけでいい《ギラプールの霊気格子》。
フィニッシュ手段としてはやや心もとないものの、制圧力は抜群です。
この能力を起動するまで最短でも3回+1能力を起動して少なくとも3個はアーティファクトが戦場に出ているので、毎ターン3点ダメージをばら撒けるようになるのは中々の脅威。
実際にこの能力を起動するよりは-1能力を使って何かしらのカードを探しに行った方がデッキの動き的には良い事が多いですが、この能力があるだけでヤバいと対戦相手にプレッシャーをかけられるというのは重要な要素です。
多人数戦ではプレインズウォーカーを維持しにくいものですが、4マナと軽い上に+1から入れば最初は忠誠度5からスタートになるので比較的堅いのもいいですね。
固有色が無色なので今後も意外なデッキで実は採用出来る、可能性に秘めたプレインズウォーカーです。
《ジェラードの砂時計ペンダント/Gerrard's Hourglass Pendant》
特徴的な能力を2つ持つアーティファクト。
1マナのアーティファクトという事で《粗石の魔道士》《ウルザの物語》によるアクセスの良さも見逃せません。
1つ目の能力は《締め付け》のような追加ターン封じ。
デッキによって刺さるデッキと刺さらないデッキがあるので、よほど追加ターンに恨みが無い限りこの能力をアテにして採用する事はほぼないでしょう。
2つ目の能力は全体除去対策のようなもの。
《抹消》などの全体除去にも耐性をつけることは可能ですが、その場合はこのアーティファクトも巻き込まれてしまうのでプレイするタイミングに注意が必要です。
自分から《抹消》《ジョークルホープス》を撃つようなタイプのデッキであれば自分のタイミングで使う事が可能で、その際にこのカードを手札に抱えておいて同一ターン中にプレイして起動までいけば自分だけ元通りという一方的な盤面を作る事が可能です。
赤い統率者でなくとも、白い統率者で《ハルマゲドン》などの土地を全て破壊するカードや《質素な命令》などと組み合わせて使っても十分強力ですね。
《金色の大帆船/Golden Argosy》
搭乗していたクリーチャーを明滅させるという中々特徴的な能力を持っている機体。
分かりやすい活用法としては戦場に出たとき能力を持つクリーチャーの能力を再利用する事。
統率者戦で使われる軽めのクリーチャーは《波止場の恐喝者》など、戦場に出たとき能力を持つシステムクリーチャーが多く、活用は容易です。
搭乗は召喚酔いしていても出来る事、パワーの合計が搭乗の値以上になれば何体でも搭乗できる事から、クリーチャーが多めの構築であれば1枚ぐらい忍ばせておくと多大なアドバンテージを稼げるでしょう。
また、本体が3/6と戦闘で容易に打ち取りにくいスペックをしている点、攻撃するだけで誘発してくれる点から、この能力自体が防がれにくいのも強みです。
ターン終了時まで明滅してくれるので、全体除去を自分から使う際に自分のクリーチャーを逃がしておく使い方も見逃せません。
その場合は《金色の大帆船》も全体除去に巻き込まれてしまうのでその点には注意が必要です。
いずれにせよ固有色のないアーティファクトのため、数多くのデッキで使える可能性もあり、覚えておいた方が良いカードです。
《カーンの酒杯/Karn's Sylex》
特徴的な行動制限能力と除去能力を持っています。
行動制限能力はちょっと特殊で、色を問わなければ《溢れかえる岸辺》を始めとするフェッチランドや《意志の力》《殺し》などのライフを要求する代替コスト、《精神的つまづき》《使徒の祝福》などのファイレクシアマナあたりがよく見かけるカードたち。
行動制限能力が刺さる統率者は《ベレドロス・ウィザーブルーム》《狂気を操る者チェイナー》《ヨーグモスの息子、ケリク》《穢れた血、ラザケシュ》《スランの医師、ヨーグモス》など、どうしても黒系の統率者が多くなりますね。
除去能力の方は《破滅的な行為》のようなもの。
あちらとは異なり《カーンの酒杯》自体がタップ状態で戦場に出てしまう上ソーサリータイミングでしか起動できないというデメリットがあります。
代わりに追放除去のため《完璧な策略》などで回避されたり墓地回収なのでリカバリーされたりしにくいようになっています。
リセットカードとしては若干のタイムラグもあり、パーマネント追放であればコストに関係なく根こそぎ追放してくれる《危険な櫃》というライバルの存在もあります。
行動制限能力をアテにしたり、(マナ総量の重い統率者など)リセットする際のマナ総量調整に意味を持たせる事が出来ればこのカードにも出番が出てくるでしょう。
《伝説の秘宝/Relic of Legends》
新たなマナアーティファクト。
3マナで1マナ加えるだけだと《統率者の宝球》などライバルがいますが、今回のオマケ能力は更にマナを加えられる可能性を秘めています。
《謎の石の儀式》や《大地の知識》のように伝説のクリーチャーがマナを加えられるようになります。
ただのマナ能力ではなく召喚酔いの影響がない《大地の知識》タイプな上、好きな色マナを加える事が出来るので自由度は高いですね。
伝説のクリーチャーに限定されてる点が気になりますが、『神河:輝ける世界』の《永久忠義の義丸》、今回の新しい統率者デッキの《意思を縛る者、ディハーダ》《潜伏工作員の災い、シャニド》など「伝説シナジー」のカードが近年増えてきており、そういったデッキでの活躍が見込めます。
他にもドラゴン、天使、デーモンは伝説のクリーチャーが用いられることが多く、それらの部族デッキを作る場合は自然と伝説のクリーチャーの割合が多くなり、マナ加速の機会は多いでしょう。
《永久の水蓮/Timeless Lotus》
派手なマナアーティファクト。
タップ状態で戦場に出るというテンポの遅さは気になりますが、一度に5マナも加えてくれるのは《彩色の宇宙儀》並みの効率。
《彩色の宇宙儀》と同様《金線の賢者》で(青以外の)有色無限マナコンボが出来ます。
難点としては固有色が5色のため、採用出来るデッキが限られるという点でしょうか。
《彩色の宇宙儀》もマナ総量は重いもののデッキの固有色が多ければ多いほど強力なため、5色デッキを作る際はこの2種+《金線の賢者》の無限コンボを搭載しても良さそうです。
後編 ・統率者デッキを強化しよう! につづく