抜目ないガーゴイル/Leering Gargoyle

タグ:, , , , ,

Card of the Day -今日の1枚- 2015/03/24

抜目ないガーゴイル/Leering Gargoyle

抜目ないガーゴイル/Leering Gargoyle

抜目ないガーゴイル/Leering Gargoyle

今日の1枚のこのカードの購入ページはこちら
 

マジックがマジックであるために必要なもの。沢山あるとは思うが、僕はやっぱりフレイバーだと思っている。このゲームに初めて触れた時、そのイラストとフレイバーテキストに書かれた固有名詞や世界観に心を鷲掴みにされたという人は少なくないはずだ。第一次ブームとでも呼ぶべき「ウェザーライト・サーガ」の頃。僕らはウェザーライト号のクルーvsファイレクシア軍の戦争に心を焦がした。続くブームの訪れは、『ラヴニカへの回帰』からかな。非常に多くのプレイヤーが、彼らがかつて愛した次元の物語の続きに惹かれて帰ってきた。そこから続く現行スタンダードの2ブロックは全く新しい世界を描き、マジックの可能性を見せつけることとなった。物語の加速とともに、プレイヤー人口も伸びに伸びて「すごいこと」になっている。

 

ただ、いきなり「ライオンのヒューマノイドが兄貴を陰謀で殺されて、灯がBoom!気がつけば見たこともない巨獣が宙を舞う火山地帯に」とか話を切り出されても、困るっちゃ困る。その点、マジックのカードは素晴らしいもので。ほどよく興味を持ってくれるようなフレイバーを持ったカードが多数登場する。

 

特にクリーチャーにそれが顕著にみられる。《抜目ないガーゴイル》なんてのは良いサンプルだ。まず、名前。動く石像であるガーゴイルにも「抜目がない」とか、そういう性格レベルの個性があるのかという小さな驚きを与えてくれることだろう。そしてイラスト。めちゃくちゃ嬉しそうやん、こら抜目ないやつの顔ですわ。そしてフレイバーテキスト「雷雨にこれほど喜ぶのはガーゴイルくらいのものだ。-アミーカットの大臣、クハッティーブ」程よい、程よいね。情報量のバランスが程よい。ガーゴイルは雷雨が嬉しい。それを言っているのはアミーカットの大臣であるクハッティーブさん。「アミーカットって国かなんかの名前かな?クハッティーブさんはこうやって名前が出てくるくらいだから、何か作中で役割を与えられている人物なのだろう。」そういうことが、マジック知識が1つもなくてもわかる。

 

そして、そのカードデザインもいいね。3マナ2/2飛行だが、ガーゴイルらしく石となって0/4の壁役になることも出来る。この世界のガーゴイルは石像が動き出す、というよりは自由行動している生物が石像の如くな姿と化すことも出来る、っていうニュアンスなんだなぁと理解することが出来る。カードとしてそれ独自の機能を持ちつつ、ゲームの背景にある世界を伝える。このゲームは本当に奇跡的なバランスのとれたデザインなんだなとつくづく思う。

 

そして、このカードがレアというレアリティを与えられていることも...いや、それはあんまり関係ないか。『ミラージュ』当時初めて引いたレアがこれだった人に「レアは必ずしも強くない」という事実を教えた功績も持っていることだろうな。


Card of the Day 過去のカード一覧(2015.11.19~)